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回転機

電験3種機械の花形?といってもよい直流機、誘導機、同期機。
これらを学習する前に前段階で抑えておきたい知識をまとめています。

この記事を読んでから勉強すると、各機器を勉強しているときに何をやっているのかわからないということがなくなり学習の見通しがよくなると思います。



回転機の基本的な構造


回転機は動作の原理の違いから、
直流機
誘導機
同期機
と大きくわけることができます。

そして回転機は同じ機械で二種類の使い方ができます。
発電機(ジェネレーター Generator)
電動機(モーター Motor)です。

一つの回転機で使い方を変えれば電動機にもなるし、発電機ともなり得るのです。

ですから3つの動作原理と、2つの機能によって、
直流発電機、直流電動機(同じ直流機)
誘導発電機、誘導電動機(同じ誘導機)
同期発電機、同期電動機(同じ同期機)

と上記のように分類分けができます。
実際の動作原理や、構造は各機器の解説記事で詳しく解説していきます。なのでここでは慌てずに、まずは大まかな理解で十分です。

発電機と電動機の説明をするために、回転機の構造を理解しましょう。

図1:回転機

回転機-簡易図

回転機は超おおまかに、
動かない 固定子(ステーター)
回転する 回転子(ローター)に分かれていることを理解してください。

固定子、回転子がどういった働きをするかなど、
細かいところは各回転機の種類(直流、誘導…)によって変わってくるので、今は固定子、回転子がある‼でダイジョブです。




発電機


発電機は電力をすでに勉強した方は想像しやすいと思いますが、
あらためて何なのかを言いますと、
『機械的な回転のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置』です。
機械的な回転は、蒸気タービンや水車による回転力などが実際に使われます。

例えば同期発電機の場合、
蒸気タービンのタービンの軸を発電機の回転子につなぎ、固定子で電気を取り出すことができます(※1)。
(具体的な電気が起こる仕組みは長くなるので、同期機の記事で解説します。)
この場合はタービンに繋げてるのでタービン発電機と呼ばれます。タービン発電機では同期発電機が多く使われます。

※1必ずしも全ての発電機が固定子で電気を取り出すとは限りません。

図2:タービン発電機

東芝エネルギーシステムズ株式会社-タービン発電機の断面図

電験3種で発電機といえば、
タービン発電機、水車発電機ですね。水力、汽力発電で使われ、計算問題でもよく問われます。どちらも同期発電機です。
直流発電機は計算問題で出題されますが、実際にはほとんど使われていないようです。
誘導発電機は計算問題として出題されることはほぼありませんが、
古い風力発電(新しいものは同期発電機を使用しているものもある)と鉄道の回生ブレーキなどに使われます。




電動機


電動機(モーター)とは何か、
『電気エネルギーを機械的回転エネルギーに変換する装置』
そうです。発電機と逆の働きをする装置です。

なので、今まで発電機として負荷に繋いで電気を送っていた回転機を、負荷でなく電源を繋いで逆に電気を送ったら逆に回転するということです。

例えば、これは誘導機の例ですが、
固定子に交流電源につないで(※2)、回転磁界を発生させて回転子を回転させ回転力を得る。この回転力を水を汲み上げることに使えばポンプになるし、コンベアにもつかえます。

図3:日本初の銅鉱山ポンプ用誘導電動機

東芝未来科学館-日本初の1馬力の三相誘導電動機

※2 全ての電動機が固定子と電源をつなぐとは限りません。

ちなみに誘導電動機は一定の回転を発生させるのが得意なので、定速度電動機と呼ばれます。これも後々詳しくやります。その時に覚えることになるので、今はへぇ~と思っとくぐらいでよいでしょう。

電験3種では電動機というテーマでくくると、かなり幅広く扱われるので、別の記事でまとめようと思います。ここでは大枠を解説します。
なのでここから下は流し見で大丈夫です。


直流電動機(DCモーター)は電車や製鉄用の圧延機など様々なシーンで用いられ
計算問題でも知識問題でもよく出題されます。
誘導電動機(インダクションモーター :IM)は必須です。電験において誘導機は誘導電動機のことと言ってよいほどです。計算、知識ともに毎年と言ってよいほど出題されます。用途は先述した通り定速度電動機などで使われます。
同期電動機(シンクロナスモーター:SM)は送風機、ポンプに使われます。計算問題が主です。

直流電動機は直流電源で動くので、
DCモーター
誘導電動機、同期電動機は交流電源で動くので、
ACモーターと呼ばれます。

上記のものは、”古典”モーターといってよいでしょう。
昔ながらのものが古典モーターです。

現在では、半導体機器、マイコンなどの登場で高性能の回転制御が出来るようになり、様々な電動機(モーター)が開発され、最近の電験でも知識問題で問われるようになってきました。基本的な動作は古典モータと同じですが、
直流電動機の応用版:ブラシレスDCモーター
同期電動機の発展版:PMモーターなどは、
プラスαの知識が必要になってきています。
これらも電動機のまとめ記事で解説していきたいと思います。



まとめ


・回転機は発電機電動機として使える。
・発電機と電動機はおなじ構造
・構造は固定子(ステーター)回転子(ローター)に分かれる
・回転原理によって直流機、誘導機、同期機と種類が分かれる。

ひとまずはこれらが理解できれば合格です。




質問、誤字脱字、訂正ヵ所がありましたらコメントお願いします。

ではまた別記事で👋


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