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ヒエン電工 長田野工場編2

海の上の建築物である船。
船舶用電線は、安全な航海、漁業や貿易、観光など、さまざまな産業を見えないところから支えています。
前回に続き、船舶用電線を製造するヒエン電工 長田野工場の様子や、働くみなさんの声をご紹介します。

工場をご案内いただくのは、入社31年のベテラン社員である京近さんです。笑顔も物腰もやわらかな京近さんは、山鳥社長曰く「社内のムードメーカー」。工場の東側に植わっている桜を見るのが毎年の楽しみなのだそうです。

広い工場にお邪魔します!
京近製造グループ長

京近さん「船舶用電線は、電線の内側にある下線から被覆して、いくつもの工程を経て作られていきます。まずは、銅線を錫(すず)でコーティングする作業を見てみましょう」

船舶用電線の作り方

稼働中の工場にお邪魔します!

ここからは、工程の一部を抜粋してご紹介します。

二段構えのコーティング

こちらは、細い銅線を錫(すず)でコーティングする工程。
天井に取り付けられた滑車から錫引き用のマシンに銅線が通され、表面に錫が引かれていきます。マシンの中には250度以上の高温で溶かされた錫がひたひたに入ったバスタブがあります。

あっという間にピカピカになりました!

錫のコーティングは塩害を防ぎ、銅を守るためのものです。

ゴム被覆され押し出される電線

錫引きした線をロープ状により合わせてから、さらにもう一層、70度で熱したゴムを押し出して均一な厚さに被覆します。機械を通って出てきた電線の表面は、なめらかですべすべです。
京近さん「以前、ゴム被覆に触るだけで厚さをバチンと当てられる職人さんがいました。もちろん検査を経てから出荷するのですが、目での確認や手の感触など、人間の感覚をフルに使って一つのことを突き詰める職人さんの技術は尊敬しています」

機械の力だけでも、人間の力だけでもいい電線は作れないんですね。

働く人たちのお話

さて、電線は製品によって、導体の本数や絶縁材、被覆材の種類などすこしずつ違いがあります。できあがったものの表面だけを見てもその違いを見分けるのは難しいものです。工場で電線を作る人は、どのように違いを判別しているのでしょう?

出荷検査を担当する大野さんにお話を伺いました。

お仕事中に失礼します!

大野さん「この工程では、オーダーに合わせた細かな仕様を確認し、検査しています。10分ごとに別の電線を取り扱い、一日トータルで何種類もの電線を見ています」

うーむ。私だったらつい間違えてしまいそうです。混乱しないのでしょうか。

「製造に気のゆるみやミスを持ち込まないよう、一本ずつ気持ちを切り替えています。仕様を覚えたり、手元の書類をこまめに確認したり、物の置き場を工夫したりもしていますよ。そして場数を踏むのも大切だと思います」

緊張感をもって臨んでおられるとはいえ、工場に緊迫した空気はなく、みなさんおだやかに働かれている印象です。大野さんは、入社して何年ですか?

「私はこの会社に入って7年半になります。盆地である福知山の夏は暑く、冬は寒いです。夏は休憩時に涼めるよう、自由に食べられるアイスが用意されているのですが、仕事に熱中していると食べないままで一日が終わってしまうこともありますね。片手で食べられるアイスが人気です」

製造工程で18年働く田中さんにもお話を伺いました。

急なお願いにもご協力いただきありがとうございます!

田中さん「元々、もの作りの仕事が好きなので、今の仕事は楽しいです。前職も電線に関わる仕事でした。自分の担当している工程の前後の作業をこっそり見に行って、関わったものがどんなふうに形になっていくかを眺めるのも楽しいですね」

手 作りマシンをはじめ、工場で使われる機械の色は統一されています。

電線の製造工程で働く方々はほとんどが男性ですが、仕事の中で難しさを感じるところなどはありますか?

「みなさん、互いが働きやすいよう工夫をしてくれるので助かっています。私の担当する工程には、重い物を持ち上げる作業があるのですが、そこを手助けする機械を社内で一から手作りしてくれたおかげで負担が軽くなりました。」

電線の製造というと、オートマティックに進んでいくようなイメージがありましたが、ひとつひとつの工程に、人の手で行う作業や綿密な確認、工夫が欠かせません。
次回も船舶用電線の製造工程や働く人たちのお話を取材します!

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