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学生にとって最良の教育環境を作る

学校法人 電波学園
名古屋工学院専門学校 産業技術学科 科長
長谷川 和宣 先生

モノづくりの話題には自然と熱が入り笑顔があふれる


どういった経緯で名古屋工学院専門学校へ?


「小さいころからモノづくりに興味があり、進路も自然と工業系へ。大学も受験しましたが、体験入学でのロボット作りが決め手で名古屋工学院専門学校(当時のロボット工学科)へ入学。研究科まで進学しました。就活中に当時の科長から、教員にならないかと声を掛けていただいたのがきっかけです。元々教育に興味を持っていたこともあり一般企業から一転、教員をめざしました。
現在は、産業技術学科に所属。モノづくりを学び、就職に生かす分野です。以前はロボットに関する科目も担当。近年はCADや機械設計に関する科目を教えています。名古屋工学院専門学校は、マイクロマウス中部支部の拠点となっており、ロボット製作・競技会を通じた人材育成・技術者育成をしています。」
 

理解できるまで教える、それが教育


新任時代を振り返って


「若いころは、学生のために色々やりました。授業後の補習はもちろん、朝活も(笑)。毎朝8時集合、遠方から通う学生は始発でもギリギリ。それでも頑張って参加し資格に合格してくれました。毎日続けることで、難しい科目も少しずつ理解できるようになるんですね。一つできるようになると嬉しくなり、また一つできると自分から次を学ぼうという意識が芽生えてくる。やがて、できる学生ができない学生を教えるようになる。学生同士が前向きに元気に励むような環境になっていきました。できるようになると目が輝きますね。顔つきもかわります。
生活指導では、遅刻や欠席者への電話はもちろん、頻繁に家庭訪問もしました。当時は、とにかく学生に寄り添う。その一心でした。
社会研修会でも、他クラスは私服でレクリエーションに行くのに、うちはスーツで機械の展示会や企業見学。事前研究や事後レポートも当然です。文句?でましたよ。でも、きちんと準備・指導して、“何のために参加する”とか“学ぶ内容”を伝えると、楽しんで参加するようになるんですね。」
 

機械系の展示会後にはスーツのままでボウリング


授業以外での思い出は?


「同じ釜の飯を食べて励んだ卒業研究や対外競技会です。学生は毎日のように、終電近くまでロボット製作に励んでいました。
当時は夜間の授業も受け持っていたので、21時以降も付き合っていました。
当然お腹がすくので、ロボットを作っている学生の横で、晩ご飯も作っていました。
いつの間にか残って製作する学生が増え、一升のお米を炊いていた日もあります。大会前日は徹夜はしょっちゅう。朝食を用意したはいいが食べる時間がなく、そのまま炊飯器とおかずを抱えて会場へ持参し、お昼に広げて皆で食べたこともあります(笑)。彼らとは今でも交流があります。以前に富士スピードウェイでママチャリ6時間耐久レースに出るからどう?と誘われ、二つ返事で参加しましたよ。」
 

公式大会でも使用されるロボット競技会のコース


寄り添うことで心を開いてくれる


「ひとこともしゃべらない学生がいました。彼には困りましたね。話しかけてもまったく反応がない。ノートも取らない。あるとき、やっと一言。ノートがもったいないから、、と。授業中はじっと集中して聞いていて成績も悪くない。でも、たまに突飛な行動をするんです。友達もいなくていつも一人。見かねて一緒にお昼を食べようと弁当を持って教室に行ったら、ぼくは食べない、、といってどこかへ行ってしまって。ほかの学生たちは学食へ行ってしまっていたので、教室で一人で弁当を食べました。そんな彼でも根気よく話しかけていって、一言二言返事が返ってくるようになって、わかった事がありました。かまってほしいんですね。ある学生が傘を忘れてびしょ濡れで登校した時、先生含めクラス皆が心配して、それを見て雨の日に道路で寝転んだり(笑)。手がかかりましたが、最後は就職して卒業していきました。当時は大変でしたが、毎日少しずつでも関わって寄り添えば変わってくれる。それを実感させてくれた学生でした。」
 


Ene-1 GP SUZUKA (現:Ene-1 SUZUKA Challenge)

若い担任達へ伝えたいことは?


「限られた時間で、学生の教育環境をどう作っていくか、どう学生と関わりを持っていくかです。自分が良いと思ったことを前面に出し、学生を引っ張ること。その姿を見て学生が前向きに励むようになります。製作実習や資格試験対策、できない学生への指導。自分でできることは限られているので、学生が学生を教える体制を作ると、彼らは自然に自分で考え工夫しうまくやっていきます。最初にその姿を見せることが大事ですね。」
 

モノづくりの基本はアイデアと好奇心!


学生に伝えたいこと


「学校は楽しいところです。同じ目標を持ったクラスメイトが毎日集います。毎日の学校生活の中では、勉強や目標、教員との関わり、友人との付き合い方など、迷うことが沢山あると思いますが、面倒と思わず前へ進むことを考えてください。我々教員は全力でサポートします。自分のやりたいこと、できること。そしてそれが社会でどれくらい必要とされているか考え、悩みや迷いを乗り越えていくために自分一人で悩まず、周りに相談してください。担任に話してみてください。教員自身が教育環境の重要な要素なのだから一緒に解決していきましょう。学びの場は教室だけではありませんし、授業だけが学びではありません。」


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