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「才能の民主化」という表現は適切なのかを私なりに考えてみた話

今、SNSで「才能の民主化」という言葉が話題になっています。

盛り上がりのきっかけになったのは 「AI と著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの結果について(個人)その1 にあったあるコメントです。

「AI と著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメントの結果について(個人)その1より

 この表現に関して、いわゆるAI推進派と、反AI推進派の方によるレスバトルが繰り広げられています。そして、私もこの言葉や表現に賛否両論があるのは非常にわかります。

 みなさんはこの「才能の民主化」という言葉についてどう思われるでしょうか。それもまた色んな意見があると思います。

 広義のAIに関する情報を追い、また発信している私には「この表現は確かに納得できない部分はあるかなと思いつつ、言いたいことはわかるなー」という感じでした。

というわけで、自分の思考整理も含めてまとめることにしました。なお、これはなんらかの組織などを代表する意見ではなく、咲文でんことしての個人の考えです。(そもそも、組織とかには所属してないんですけどね)


 さて、ざっくりと当のパブリックコメントを私なりに要約すると、「自分は遺伝的に才能を持っていないから創作活動ができない。生成AIの手助けを借りることでこれまでの自分にはできなかった表現ができる。それが“才能の民主化”である」という内容です。

 生成AIという技術に関してポジティブな印象を持っている私もこの表現自体には違和感を感じていますし、それが炎上の理由だと思います。

 というのも、“才能”は遺伝的なもの生まれつきの部分と、努力で身につくという2つの面を持っているからです。

 このコメントを投稿された方は、生まれつき手が震えて線がまっすぐに引けないそうです。そうなると確かにマンガやイラストの表現をすることができないかもしれません。その点は多くの人が納得されると思います。

 一方、世の中には努力を重ねて、マンガやイラストの表現ができるようになった方がたくさんいらっしゃいます。それはまさに努力から獲得した“才能”です。

 「才能の民主化」という言葉だけでは、「努力しなければ獲得できない才能を、誰しもが得られるようになる」と解釈できると思います。

 そうすると、努力を否定されたと感じられるでしょうし、「才能は努力して得るものなのだからあなたも努力しなさい」となるのは当然のことだと思います。

 ただ、私は生成AIを使って創作をすることには賛成という立場です。ただ、私がそれを表現するとしたら「才能の民主化」という言葉ではなく、「新たな手段」もしくは「新たな道具」という表現をすると思います。

 私は「AIアートグランプリ」というイベントを見て、AIを使った新しい芸術表現の可能性、新しい創作の可能性を強く感じました。

 私は生成AIを“道具”として考えています。人類は新たな科学技術を獲得することで多くの便利な道具を生み出し、それにより新たな創作物を生み出してきました。

 例えば、私は歩いて東京・大阪間を歩くことはできません。もちろん努力を繰り返してこの長距離を移動できる体力や精神力といった才能を身につけた方はできるかもしれません。

 ただ、私でも新幹線や車という道具を使えば、その長距離を移動することができます。この点を否定する方は殆どいらっしゃらないと思います。

 この例が適切かは置いておきますが、以前にはなかった道具を使うことで、これまでできなかったことができるようになる例ですよね。そして大阪に行くことができた私は、大阪で様々な刺激を受けて新しい創作物を作ることができるようになるかもしれません。

 新しい道具を使ったから新しい創作の可能性が生まれる。それ自体は否定されないのではないでしょうか。

 もちろん生成AIを使った嫌がらせなどがあるのも事実ですし、現時点でAIが問題を孕んでいる部分があるのは事実だと思います。ただ、どんな道具も使い方次第でポジティブにもネガティブにも変わるのはほかの道具でも共通ですよね。

 ですので、ネガティブな面や、そこから生まれる問題について議論をするべきだし、法律をはじめとしたルール面を整備するべき、というのは私もその通りだと思います。

 ただ、今回の話は、努力で才能を身につけて、その才能で創作物を世に送り出す人もいる、生成AIの力を借りて創作物を世に送り出す人もいる。ただそれだけだと思うんです。

 それは“才能の民主化”ではなく、これまでになかった新しい道具が使えるようになった。そういった表現で良いのかなと私は思いました。

 私は、生成AIという道具を使って、多くの創作物が生まれることを期待していますし、誰がやっても結果が変わらない作業の効率化や、日常のちょっとしたタスクを時短することで、人類にしかできない創造力を活かした創作がもっともっと伸びることを期待していますし、楽しみにしています。

 こういった争いがなくなって、そんな素敵な未来が来るといいな、と改めて思いました。

ライター:咲文でんこ

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