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生成AIに対する批判から、AIキャンセルカルチャーやメディア報道の姿勢について考えてみた話

今さら私がどうこう書く必要がなく、生成AIの発展が社会に大きな影響を与えています。文章生成AI、音楽生成AI、動画生成AI……、ありとあらゆるコンテンツの生成AIが生まれていますよね。

2022年に「ChatGPT」が登場したとき、Midjounyの初期などは「こんなの使い物にならないよね」と言われていましたが、気がついたら生成される生成物のクオリティも想像できないほどに上がってきました。

これは、新たな可能性や、作業の効率化の可能性を秘めている一方、様々な問題も引き起こしているのもまた事実だと私も思います。

ですが、大々的に生成AIを批判するキャンペーンを実施することや、大手メディアが一方的にAIを否定する報道をすることが正しいのでしょうか。


生成AIが抱える問題点

まず、著作権面の問題から見ていきます。生成AIは大量のデータを学習しています。そこには著作権で保護されている作品も含まれています。文章生成AIには私が執筆した記事も学習されているでしょうし、その他もネット上で入手できるあらゆるデータが学習されていることでしょう。

現時点では学習自体はルールに反していないという見解もありますが、ルールはどうあれ、学習される側としては感情的には気持ちの良いものではないのはわかります。

また、クリエイターの仕事への影響も少なからずあると思います。海外でライターの需要が減ったとか、翻訳の仕事が減ったというのは言われていますよね。

今後、ほかのクリエイティブな仕事が減る“可能性”があるのは私も正直思うところです(AIで代わることができない仕事がたくさんあると私は思っていますが)。

そして、AIの悪用による問題です。これが一番の問題かもしれませんね。ディープフェイクと言われるAIを使った映像の改ざんや、偽情報の拡散もあるでしょう。著作権を侵害する作品を生成したり、声優さんの声を学習させたボイスデータで悪用するなどはすでに問題になりつつあります。

これらの問題から生成AIに反対する動きがあります。SNSでは #NOMORE無断生成AI というハッシュタグを使って反対運動をしている人もいますよ。

先日は、生成AIを使ったイラストを使ったことをきっかけに、イベントに大きな批判が集まったのは記憶に新しいです(問題点が生成AIだけにあるわけではありませんが)。

そして、これらの問題に対し、メディアも大きな関心を寄せています。先日、日経新聞は、生成AIに関する特集記事を公開し、その問題点を詳細に報じています。

生成AIを使った嫌がらせや問題点があるのは事実です。でも、一部の悪い例や、使い方をだけを見て、生成AI自体を否定していくのは正しいのでしょうか。そして、率先して否定的な意見を煽っていくのがメデイアの役割なのでしょうか?

生成AIがもたらす様々な問題に対して、社会はどのように反応しているのでしょうか。ここでは、「生成AIキャンセルカルチャー」の台頭、メディアの報道姿勢について見ていきます。

「AIキャンセルカルチャー」の台頭

生成AIに対する懸念が高まる中、一部では「AIキャンセルカルチャー」とも呼べる現象が見られます。

SNSなどでは、クリエイターやユーザーがAIを使用することへの批判や非難が多くあります。もちろん、嫌がらせ目的などでAIを使用しているユーザーは批判されても仕方がないと思います。ただ、AIを使ったからといって問答無用で批判するような流れも起きています。

先ほども述べた「池袋アニメーションフィルハーモニー」の事例はまさにその1つと言えるでしょう。

そして、私はそれ以上に、メディアの報道姿勢も問題を含んでいると思います。特に、私がこの記事を書こうと思ったきっかけになった日経新聞の生成AI特集記事はネガティブな意味で衝撃的でした。

記事では、生成AIの問題点、特に著作権侵害の可能性を強く強調しています。私にはAIの脅威を過度に強調し、読者の不安を煽っているようにしか見えませんでした。報道という面では、ポジティブな側面や可能性についての立場の意見も伝えるべきではないでしょうか。

メディアの報道は世論形成に大きな影響を与えるのは事実だと思います。私にはこのような偏った報道姿勢は社会の分断を助長しているように見えます。

技術の進歩と社会の変化

「AIキャンセルカルチャー」の台頭やメディアの偏った報道は、新技術に対する不安や懸念を増幅させる一方だと思います。

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