ニート働く契約社員編

タノミノです。

僕は大学を卒業してから1年半ニートをしていました。
その間小説やエッセイを書いたりしていました。
しかしある日、カフェインの過剰摂取で救急車に運ばれ、同い年くらいの看護婦さんから治療を受けていて、思いました。このままじゃまずいと。

そこで派遣のバイトを始めました。怒られたり、嫌味を言われました。でもそれでも実家に帰れば母がいました。
しばらくして、ネットカフェでのバイトに受かり、東京で働いていました。お客さんにムカつくこともあるけれど、仲間はいいひとたちばかりで、感動しました。
そして、派遣先で既に出会っていたある人から、ウチの会社で働かないかと誘いを受けました。運命の歯車が動き出した気がしました。
私はその運命の潮流に飛び込み、流れに身を任せることにしました。

ネットカフェでのバイトを辞めることを伝えとき、みんなが寂しがってくれました。たった2ヶ月しかいなかったのに、最高の職場でした。私の肩をぽんぽんと叩いて頑張ってと言ってくれた先輩もいました。私は実家のマンションのベランダで「もしかしたら今日は人生最高の日かもしれない」と思いました。私は神の存在をうすうすと感じるようになりました。

そして、今私は福岡にいます。仕事が始まるまでまだ時間はありますが、福岡にいます。

博多まで母と妹が見送ってくれました。私は実家のベランダで煙草を吸いながら、母にあることを伝えようと決めていました。「俺はママの息子でよかったよ」この言葉を言おうと思っていました。
ですが、言い出すタイミングを逃し、母たちは帰って行きました。
私は博多からの帰り道、西鉄でLINEを開いて「俺はママの息子でよかったと思っているよ」と送りました。ずっと言いたかった言葉を、直接言えなかった言葉をついに伝えることができたのです。

私はシェアハウスに入居しました。母たちがいなくなった瞬間、寂しさが溢れてきました。24歳という歳で、私はマザコンなんだなと悟りました。そして、ああ、母というのはなんてありがたい存在なんだろうと思いました。俺はなんて恵まれていたんだろう。家に帰れば、母が笑顔で迎えてくれて、最近あったことを話すことができる。そして母はいつも私を励ましてくれた。それは今でも変わりません。

私は以前、独り立ちできない苛立ちから、母に死んでほしいと思ったこともありました。なんて愚かだったなんでしょう。私は人の何十倍、何百倍も恵まれていたのです。母と仲が悪い人、母が既に死んでしまっている人に比べてたら、その人たちが今の私をみたら、なんと思うでしょう。羨ましいと思うに違いありません。私はすでにすべてを持っていました。

私は正直、契約社員として働いてく自信がありません。しかし、博多に来たのは大きな利益がありました。母、母。私には母がいる。このありがたさをみにしみて感じました。なんて、なんて素晴らしいことなんだろう。私は翌晩、泣きながら母と電話しました。弱音を吐きました。母は「いつ帰ってきてもいいよ。その方がママにとっても嬉しいから」と言ってくれました。

そのまた翌日、会社にシェアハウスから通勤は可能かと聞きました。元々ここへ来る前から、シェアハウスはダメだと言われていたのですが、来てしまえば黙認されるという甘い考えがあったのです。そうしたら、社長直々に電話があり、お叱りを受けました。なぜ博多に来ることを黙っていたのか、報連相をしっかりしろ。シェアハウスはウィルスの関係上絶対に無理だ、と。私は面接の際、なかなか高評価だったようでしたが、この時社長の私への評価がガクンと下がったのを感じました。

私は寂しがりやなのでシェアハウスでないと働けないと思いここにきました。しかし会社的にどうしも無理らしいのです。私の期待は弾けさり、タフな状況になりました。

一人暮らしなんてとても無理だ、この会社は諦めて、博多でバイトしながら過ごそう。そう思いました。

またその晩、母と電話しました。会社を辞めようと思っている(正確にはまだ入社していませんが)と話すと「じゃあなぜ博多に行ったのか」と聞かれました。「社会というのはそういうもの。会社に従わなくちゃ。どこもそうよ」優しい口調でした。「でも無理なら帰ってきな。インターンシップだと思って1日でも出勤したら」と言ってくれました。私はほっとしました。そうか、いつでも帰っていいんだ。あの天国が、実家という天国が俺を待っているんだ。だったらここでしかできないことをしようと思いました。

私は、幸せ者です。私はついています。

そしてそのあと、社長に謝罪の連絡をしました。素直に謝りました。社長のいうことは確かに最もだと思ったからです。そしたら社長から返信がありました。「逆に行動力があるとも言えますね。私たちは1日でも早くあなたに入社して欲しいと思っているんですよ」
泣きました。ボロボロ泣きました。私はツイているのです。こんな社長の元で働かせてもらえるなんて、私は涙をボロボロ流しながら、床に跪いて、手を組み、神様に感謝を伝えました。

神様というのは本当にいるのではないかと思います。宗教的な話ではなく、自分の心の中に、守護天使というか、自分が素直になったときだけ表れて道を照らしてくれる存在があるのではないでしょうか。

まだ仕事も始まっていませんし、一人暮らしをやっていけるかわかりません。でもやるだけやってみるつもりです。同僚となる人たちが今まで自分にしてくれたことへの恩返しをしたい。もちろん私のできる範囲で、そして勝手なことをしない。相談して、会社のためになる努力をしたいと思っています。

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