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科学エッセイ分冊 考古学編

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2021年11月の記事一覧

空想考古学・邪馬台国はココだ!#5 出発地と狗邪韓國

 魏志倭人伝には、目的地までの距離が書かれている箇所があります。しかし、目的地ははっきりしているものの、「どこから出発したのか?」が明確に書かれていないので、解釈する人によって混乱を招いています。連続した経由地までの場合は比較的分かりやすいのですが、特に邪馬台国までの全旅程である(一)万二千里や水行十日陸行一月は、どこから邪馬台国までの距離かがはっきりわかりません。この出発地点については、これまであまり議論が無かったように思います。魏志は中国の正史ですから、出発地は当時の中国

空想考古学・邪馬台国はココだ!(番外編) 倭人とアイヌ

 魏志倭人伝の倭国には、南方を思わせる記述が多く出てきます。例えば、『倭地温暖 冬夏食生菜 皆徒跣』(倭の地は温暖で、冬も夏も生野菜を食べる。みな、裸足である)です。縄文時代の途中から、平均気温が上昇しましたが、それにしてもビニールハウスの無い時代に、北部九州や畿内では年中生野菜は食べられなかったはずです。  また倭国の(南方系の)風習で、刺青の記述も数ヶ所出てきます。『男子無大小、皆黥面文身』(男子は身分の区別なく、みな顔や体に入墨をする)がそれです。倭人の男性は、顔や体

空想考古学・邪馬台国はココだ!#4 魏志倭人伝のファンタジーな国々

 今回はちょっと長くなりました。空想考古学では、邪馬台国を奄美大島に想定しています。魏志倭人伝の女王国(邪馬台国)の周りには、まだ解釈が定まっていない不思議な国がいくつか記述されています。しかし、奄美大島を邪馬台国と考えると、色々と辻褄が合うのです。魏志倭人伝の読み下し文になりますが、以下が邪馬台国周辺の謎の国々の箇所です。 『女王國の東、海を渡る千余里、また國あり、皆倭種なり、また侏儒國その南にあり。人の長三、四尺、女王を去る四千余里。また裸國、黒齒國あり、またその東南に

空想考古学・邪馬台国はココだ!(妄想編) 『倭国』の由来について

 今回は、倭国の由来についての私の妄想をお話しします。まずは倭国の基礎情報ですが、例によって最初はWikiのパクリです(^_^;)。  倭国とは、古代の中国の諸王朝やその周辺諸国が、当時日本列島にあった政治勢力・国家を指して用いた呼称です。この倭国および倭国王の勢力範囲に関しては、諸説あります。このころの日本には、広範囲の地域を掌握した王権が存在せず、統一された文字も無かったので、文字としての当時の記録がありません。自分たちの国の事なのに、ご先祖自身によるご先祖様の記録は無

空想考古学・邪馬台国はココだ!#3 総合的に考えると、ココしかありません!

ずいぶんと結論を先延ばしにしてきましたが、今回は結論をズバリ言ってしまいます。私の考える邪馬台国は、奄美大島です。この結論に達した経緯の概要を今回は紹介します。 これ以後に紹介する邪馬台国・奄美大島説は私のオリジナルですが、私以前に奄美大島説を唱えていた人がいます。それは、古代史家の小林惠子さんです。小林さんは著書『古代倭王の正体ー海を越えてきた覇者たちの興亡』(祥伝社)で、自説を展開しています。この中では、当時の東アジア情勢を考慮して、グローバルな視点で邪馬台国を奄美大島