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【SXSW2024レポート前編】SXSWに参加して忘れかけていたエネルギーが溢れた話

こんにちは。DeNAデザイン統括部の大橋です。

2024年3月8日〜16日の8日間にかけてテキサス州オースティンで開催されたSXSW2024に、DeNAデザイン統括部から2名参加しました。

今回私たちが参加したのは3月10日〜13日の4日間ですが、本当に多くの経験をすることができました。このレポートでは、印象に残った経験や、得たものを備忘録としてまとめようと思います。


SXSWとは

SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)は1987年に音楽フェスティバルとしてスタートし、37年の歴史があるイベントです。現在では音楽だけでなく、映画やインタラクティブメディアが融合し、毎年多くのトレンドを生み出す大規模なイベントとなっています。かつてX(旧Twitter)やAirbnbが注目されるきっかけとなったこともあり、スタートアップ界隈でも注目されているイベントです。

SXSWが開催される8日間には、カンファレンスセッション、ミュージックフェスティバル、フィルム&テレビフェスティバル、XR体験、エキスポなど数千にわたるプログラムが用意されています。これらのプログラムは開催日直前や、イベント開催中に告知されることもあるため、イベント開催前に全てのプログラムを把握するのはほぼ困難だと思っておいてください。

とはいえ準備するに越したことはありません。イベント参加前の準備やイベント中の楽しみ方については、去年のイベントレポートをぜひ参考にしてみてください。

また、SXSW JAPAN OFFICEでは、その年のSXSWの参加者に向けた説明会を開催しており、webサイトでは説明会のアーカイブ動画も視聴できるので、こちらも参考にしてみてください。

今回のSXSW参加は急な決定だったこともあり、私たちはそこまで準備ができませんでしたが、本当に多くの経験をすることができました。そんな私たちの4日間で印象に残った体験をご紹介します。

時間帯、期間によってガラッと変わる雰囲気

SXSWタイムライン https://www.sxsw.com/schedule-overview/

SXSWは期間や時間帯によって開催されるプログラムが異なります。イベント期間の前半は様々な領域のセッションが活発に開催され、会場はどちらかというとビジネスの色合いが強く感じられました。イベントの後半は音楽ライブが開催され、参加者も音楽やエンタメに関係する方々も増えて、よりお祭りムードが強くなっていきました。

チラシがそこらじゅうに貼られていて文化祭のような雰囲気の会場

1日のうちでも、午前中は基本的にセッションが多いためしっかりインプットして、17時以降セッションが落ち着いたら街に繰り出し、お酒を飲みながらセッションの感想を言い合う流れができているようでした。
こういった時間帯や期間によって雰囲気がガラリと変わるイベントは今まで参加した経験がなく、SXSWならではの体験だなと感じました。

セッション会場の様子
オースティンで有名なピアノバー Pete’s Dueling Piano Bar

豪華なスペシャルイベント

SXSWはオースティンの中心部のダウンタウンの約4平方キロメートルの範囲が会場となっており、高層ビルの中から街中の小さなバーまでSXSW関連のイベントが行われています。街中を歩いていると、突然企業が出展している大きなブースに出くわすこともあり、行き当たりばったりの出会いも魅力の一つです。
歩きながら発見して印象的だったのは、フランス・パリに本拠をおく自動車部品メーカーのValeo(ヴァレオ)の展示です。

ゲームの要素を取り入れた斬新なプロモーション

ブース内のスタッフに話を聞いていると、突然ゲームを体験しないかと誘われて向かった先にはラッピングカーが。

Valeoのラッピングが施された車

乗車してみると、運転席と助手席の後ろにタブレットが設置されており、画面には車のフロントのカメラで撮影された路面の映像がリアルタイムで表示されていました。そこで私たちは、リアルな道路映像の上を車に乗ったアバターを操作するゲームを体験しました。ゲームは至ってシンプルで、道路上を走っている車に当たらないように流れてくるコインを集めるゲームです。

ゲームを体験している様子

体験は15分ほどで、オースティンの街をドライブするという体験や、リアルな映像に合わせてアバターを操作する体験が新鮮で、言語の壁を超えて楽しむことができました。

おそらく車載カメラについてのプロモーションだったのだと思いますが、エンタメに昇華して紹介する遊び心に感動しました。子供達向けのイベントにも相性が良さそうなので、今後の展開も楽しみです。

XR体験への熱狂

SXSWの中でも特に注目が集まっていたのは、XR体験だったと言っても過言ではありません。出会った日本人参加者のほとんどが「XR」を参加目的に挙げていたこともあり、海外だけでなく国内でも大きな注目を集めていることにも驚きました。

XR(Extended Reality)とは、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、および混合現実(MR)を包括する総称のことです。SXSWでは1フロア全てXR体験ができる会場が用意されていました。

薄暗く異様な雰囲気のXR体験スペース

全体的に薄暗く、おどろおどろしい雰囲気の会場
薄暗い空間にヘッドセットをして棒立ちの人があちこちにいて、なんともシュール

SXSW2024のXR体験全体のテーマは「技術と芸術」の融合で、視覚だけでなくあらゆる感覚に訴えかけるような体験が提供されていました。より没入感を与えるためか、会場内は薄暗く、体験の内容もホラーテイストのものが多くて、ちょっと怖かったです。

XR体験は当日の朝方ブースに直接予約を取りに行く方式のため、毎朝会場前は長蛇の列ができていたそうです。体験は1回の時間が長く、体験可能人数も限られているため、予約争奪戦が起きていたようです。

XR体験はセッションとは違い、後からアーカイブ配信ができないその場限りの体験であるということもこの熱狂に拍車をかけていたのだと思います。SXSWに参加される方はぜひXR体験に参加することをお勧めします。

予約争奪戦になってはいるものの、お昼時など人が少なくなる時間帯には予約なしでも飛び入りで体験できる場合もあるみたいなので、諦めずにブースに立ち寄ってみてください。

実際にXR体験をしてみて

私たちは予約こそ取れませんでしたが、会場の外のロビーで展示されていたheadspace(ヘッドスペース)のブースで、Headspace XRというマインドフルネスゲームを体験しました。こちらの体験は事前予約の必要がなく、15分ほど並んで体験することができました。XR体験会場の暗い雰囲気とは打って変わって明るく可愛らしい雰囲気で安心しました。

headspaceの可愛らしいブース

私はメガネをかけていますが、メガネをつけたままヘッドセットを装着することができました。想像以上に没入感があり、夢中になってしまいました。しかし、視界がVR世界に注目するあまり、ブースの壁にぶつかりそうになる方もおり、日常生活に浸透するにはまだまだ障壁があるように感じました。

実際にヘッドセットを装着して体験している様子

日本人参加者との交流

SXSW2024では本当に多くの日本人参加者の方と交流することができました。今年の日本人参加者は約700人にものぼるそうです。(コロナ前は約1,500人だったらしいです)全参加者と交流できたわけではないですが、参加者の半数である330人がLINEのコミュニティーに参加しており、イベント中は活発にやり取りが行われていました。コミュニティーの中では、良かったセッションや、お勧めのブースなどの情報交換から、ランチやお酒のお誘いも飛び交っており、一人参加の方でも安心して楽しめるような環境が整っていました。

参加者と交流していて衝撃的だったのは、デザイナーの少なさです。私は今まで多くのイベントに参加してきましたが、ここまで多種多様なバックグラウンドを持った方と交流できたのは初めてでした。デザイナーだけではなく、IT企業の方も少なく、メディア関連、自動車メーカー、飲料メーカー、大学教授など本当に多くの方と出会うことができました。

参加者の方々にお話を聞くと、どの方もSXSWにトレンドを追い求め、日本での新たな挑戦に活かそうと前のめりな姿勢で参加されていて、私も負けてられないな…という熱い気持ちになりました。

SWSXで得た学び

1.日本だけでなく海外に目をむけること

SXSWの4日間は英語ができないとここまで悔しい気持ちになるのか!を痛感した4日間でもありました。

著名な方が登壇するセッションに参加しても内容が理解できない。展示ブースに寄っても、話は聞けるけど深ぼった質問ができない。ものを無くして困った時に、半日溶かすぐらいの手間がかかる。そのどれもが英語ができないことによって起きたことです。ありがたいことに今まで英語を話さなくてもどうにかなる環境だったのですが、改めて英語圏に飛び込むと、大きな機会損失をしていることをまざまざと見せつけられました。

現在は細々と英語の勉強を進めています。いつかまたSXSWに参加する時には軽い日常会話ができるくらいに成長していたいと思います。

2.ITやUIから視野を広げてみること

ITやUIにこだわりなく、面白そう!と思ったことにはなんでも挑戦しようというマインドが復活しました。

IT企業でUIデザインをしていると、サービスの幅も広いし、関われない領域なんてないと感じていました。しかし、今回のイベントに参加し、AI領域、メンタルヘルス領域、音楽、ファッションなど、本当に多くの情報の海に飲まれる中で、IT企業でやっていることもほんの一部に過ぎないのでは?同じ価値を届けるにも、もっと違うアプローチの仕方があるのではないか?とより広い視点で物事を見れるようになりました。

さらに、プロモーションとして企画されたゲーム、大きくてダイナミックなブースデザイン、魅力的なノベルティなどをたくさん目にして、デザイナーとしてUIデザインをしているだけでは勿体無いのでは?という気持ちにさえなりました。

スーパースポンサーPocsche(ポルシェ)のダイナミックな展示

1つのことにまっすぐ取り組むことはとても素敵なことだと思います。ですが、私らしさってなんだろうと振り返った時に「好奇心旺盛になんでもやっちゃうところ」が自分の魅力だったことに改めて気付かされました。

最近はUIデザインとはまた違う領域のデザイン業務を行なっています。毎日新鮮な気持ちで業務に取り組んでいますが、UIデザインをしていた時にも大切にしていた体験設計や、コミュニケーションが活きてきており、今までやってきたことは何も無駄じゃなかったなと感じる場面が多々あります。過去の自分が報われるような気がして、また頑張る原動力になっています。

3.もっと自分の足で生の経験を積んでいくこと

ここまでnoteを読んで少しでもSXSWいいなと思った方は、ぜひ現地参加してください!百聞は一見にしかずと言いますが、まさにその通りで、現地に赴き、現地の空気を吸って体験すると、noteを読むよりも何万倍もの刺激を受けることができます。

感動した経験も、悔しかった経験もきっと何かの経験に繋がり、活きてくるはずです。元気に体が動くうちは積極的に動き回って、たくさんの経験を増やしていくのが今後自分の助けになるだろうと思います。

最後に

SXSW2024でも開幕時に「JOMO」という言葉が紹介されました。JOMO(Joy of Missing Out)とは、常に何かと繋がって情報を摂取しなければいけない、というソーシャルメディアや社会的不安から解放され、今この瞬間を楽しみ、心豊かな生活を取り戻そうとすることを表す言葉です。

SXSWではとても全てのプログラムを回り切ることができません。人気のセッションはすぐに埋まってしまいますし、面白そうなイベントが同時に開催されることもあります。しかし、そんなことは気にせず、今この瞬間に感じたことを大切にしよう!とSXSWが最初に伝えるのはとても意義深いことだなと思います。

今回の私たちのSXSWへの参加は、まさにJOMOな状態で楽しむことができたなと思います。知識が増えて賢くなったというよりは、その時々の熱量に影響を受け、忘れていた内なるエネルギーを呼び起こすことができた経験になりました。この経験を忘れずに、必ずもう一度SXSWに現地参加したいと思います。

もし興味を持ってくださったのなら、ぜひ一緒に参加しましょう!
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