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[Vintage]ドレッジはゆりかごの夢を見るのか?(調整編)

こんにちは、今回もドレッジ(ヴィンテージ)に対する新たな可能性を模索する記事です。
構築については前回をご覧ください。

また、前回の記事からヴィンテージにおけるドレッジの記事がたくさん増えましたのでこちらもぜひご覧ください。

1.初陣(MtGトライアスロンヴィンテージの部)


R1:バント
メイン戦は上々な回りで○
サイド後は《血染めの月/Blood Moon》、《安らかなる眠り/Rest in Peace》を置かれて《活性の力/Force of Vigor》を引き入れられずに××

R2:TPS
対TPSは基本的にお互いがどちらが先に押し切れるかのレースになるので、ケアとかそんなもの一切考えずに展開して〇〇

R3:MUD
メイン戦は《抵抗の宝球/Sphere of Resistance》置かれるも《イチョリッド/Ichorid》と《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》で押し切って○
サイドからの2戦は《虚空の力線/Leyline of the Void》貼られて対処してる間に《抵抗の宝球》・《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》並べられて××

結果1-2でした。

2.初陣を終えての課題

①置物対策の不足
R1,R3とともにエンチャント・アーティファクトで蓋をされて身動きが取れずに負けるということが多かった。《虚空の力線》は仕方ないにしても、着地前に《意志の力/Force of Will》で対処できればという場面が多々あった。これに関してはピッチドレッジから《否定の力/Force of Negation》や《暴露/Unmask》を落としたことで、置かれる前に対処する手段が減ったことによる部分じゃないかなという印象。

②《アゾリウスの造反者、ラヴィニア/Lavinia, Azorius Renegade》の存在
前回のリストではクリーチャー除去に《Contagion》を採用していました。しかし、R1では《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》の着地を許してしまい、その後の《封じ込める僧侶/Containment Priest》に対処できない状況に陥ってしまいました。
…正直に言うと、ピッチスペルキャストが打ち消されることをすっかり忘れていました。(前回の記事を見ながら)

③《血清の粉末/Serum Powder》の必要性
ゲーム前に手札を確認する時に手札にあればその手札を追放して同じ枚数引くことができる《血清の粉末》。このカードは、「《Bazaar of Baghdad》が手札にあるのがキープ基準」というドレッジの歴史の中でもずっと試行回数を少しでも多くするために、基本的に4枚搭載されていました。
この流れは昨年6月から「バンクーバーマリガン」から「ロンドンマリガン」に切り替わってからも健在でした。
下の図をご覧ください。(確率についての詳しい説明は出典元のリンクをご覧ください。)

画像1

ロンドンマリガンならば、マリガンごとに7枚見ることができるので4枚挿しのカードだと、マリガン3回で87%、6回だと97%で初手に《Bazaar of Baghdad》がある確率になります。
《Bazaar of Baghdad》が1枚あればゲームとして成立するのであれば、この4枚抜いて他のカード挿した方がいいのでは?となりました。ゲーム開始後はなんの役にも立ちませんし…

3.調整・・・のはずが、

本来ならこの時点で家に帰って色々と調整を入れるべきなのですが、

2019/12/31:MtGトライアスロンヴィンテージの部
2020/1/1~1/4:実家に帰省
2020/1/5:ヴィンテージ神トライアル

とこのようにカードがある自宅に戻るタイミングがありませんでした。

ただし、ただでは転びません。

現地調達でなんとかします。

4.調整1(本題)

さて、年始は実家でゆったり過ごしながらも、大晦日に出た課題点を「なるべく本宅には無いカードでかつ低コストで」解決しようと模索していました。

ざっくりと課題を整理すると「③《血清の粉末》を抜いて」「①置物対策をして」「②《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》をちゃんと除去できるものを入れる」という流れになります。(簡単に書いていますが、なかなかの無理難題)
特に《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》をちゃんと除去できるスペル…ピッチじゃダメだし…と迷路に陥りかけていました。
しかし、「あ、マナ出せばいいんじゃん」というマジック・ザ・ギャザリングの本来の目的を思い出しました。ドレッジ脳怖い。

ここで皆さんは「黒1マナのクリーチャー除去」と言われて何を思い浮かべましたでしょうか?僕が答えはこうでした。

潰瘍化

潰瘍化 / Ulcerate  (黒)
インスタント
クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで-3/-3の修整を受ける。あなたは3点のライフを失う。

3点のライフは誤差だと割り切れば、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》・《封じ込める僧侶》・《戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist》、そして《致命的な一押し/Fatal Push》では除去できない《磁石のゴーレム/Lodestone Golem》まで除去できる-3の修正は魅力的だと思い採用しました。3点は誤差です。
決して、《致命的な一押し》が自宅にあるのに買うには高いなぁとかは思っていません。

そして、《血清の粉末》の穴を埋めたりなんなりしたリストが以下の様になりました。

5.調整後リスト(ヴィンテージ神トライアル)

クリーチャー(26)
3 《恐血鬼/Bloodghast》
1 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
3 《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》
4 《虚ろな者/Hollow One》
3 《イチョリッド/Ichorid》
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4 《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4 《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》

インスタント(12)
4 《意志の力/Force of Will》
1 《精神的つまづき/Mental Misstep》
4 《むかしむかし/Once Upon a Time》
3 《活性の力/Force of Vigor》

ソーサリー(6)
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《壌土からの生命/Life from the Loam》

エンチャント(4)
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》

土地(12)
4 《Bazaar of Baghdad》
4 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》
2 《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》
1 《裂け岩の扉/Riftstone Portal》
1 《露天鉱床/Strip Mine》

サイドボード(15)
4 《潰瘍化/Ulcerate》
1 《活性の力/Force of Vigor》
4 《虚空の力線/Leyline of the Void》
3 《誤った指図/Misdirection》
3 《自然の要求/Nature's Claim》

6.第2陣(ヴィンテージ神トライアル)

R1:オーコオース
メイン戦は5回マリガンするも《Bazaar of Baghdad》、《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》の初手から展開でき○
サイド後は相手の《ドルイドの誓い/Oath of Druids》の誘発に間に合わず2ゲーム目は《グリセルブランド/Griselbrand》に、3ゲーム目は《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》に轢かれて××

R2:墓荒らし
メイン戦後手ながらもマリガンなしの《Bazaar of Baghdad》スタートを切ったら1ターン目エンドフェイズに《森の教示者/Sylvan Tutor》から《イクスリッドの看守/Yixlid Jailer》をサーチから設置され実質2ターンキルで×
サイド後は除去・置物除去をフル投入した結果、《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》を《活性の力》で破壊しながら展開でき○○

R3:逆説ストーム
盤面展開までの速度勝負と墓地対展開までの速度勝負。
〇〇

R4:墓荒らし
メイン・サイド共に《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》で《Bazaar of Baghdad》を割られ、《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》と《漁る軟泥/Scavenging Ooze》で墓地を追放され、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》で殴られるという、手も足も出ない展開をされ××
なお、メイン戦は4回マリガンでした。

R5:MUD
メイン・サイド共に1ターン目《虚ろな者》→2ターン目《恐血鬼》上陸からの《秘蔵の縫合体》着地という理想的な展開でき○○
また、サイド後は《The Tabernacle at Pendrell Vale》を置かれるも、《裂け岩の扉》が墓地に落ちていたので《ダクムーアの回収場》と《Bazaar of Baghdad》からマナを捻出して維持できました。

結果は3-2でSEに届かない10位でした。

7.反省点

裂け岩1枚だと緑マナ出ません。

・・・さておき、急増とはいえかなり雑な構築になってしまい、反省しています。
ただ、結果は3-2、そして構築の方向性としては割と展開しやすく、R4のようなどうしようもない状況になったことを除けば、メインはもちろんサイド後も戦えるデッキに仕上がってきました。

《血清の粉末》の有無に関しては、5ラウンドで4回・5回マリガンを1回ずつしていますが、《Bazaar of Baghdad》があればなんとかなるのがほとんどですし、返しのターンで《露天鉱床/Strip Mine》や《不毛の大地/Wasteland》で割られると何回マリガンしていても辛い状況になるのは変わらないので、もう少し《血清の粉末》抜きで考えたいと思います。右手を信じましょう。

神トライアルの後、自宅に戻ってしっかり調整しなおしたものが次の現在のリストです。

8.調整後リスト(現在)

クリーチャー(26)
4 《恐血鬼/Bloodghast》
1 《ゴルガリの墓トロール/Golgari Grave-Troll》
3 《ゴルガリの凶漢/Golgari Thug》
4 《虚ろな者/Hollow One》
2 《イチョリッド/Ichorid》
4 《ナルコメーバ/Narcomoeba》
4 《秘蔵の縫合体/Prized Amalgam》
4 《臭い草のインプ/Stinkweed Imp》

インスタント(12)
4 《意志の力/Force of Will》
1 《精神的つまづき/Mental Misstep》
4 《むかしむかし/Once Upon a Time》
3 《否定の力/Force of Negation》

ソーサリー(6)
4 《陰謀団式療法/Cabal Therapy》
2 《壌土からの生命/Life from the Loam》

エンチャント(4)
4 《黄泉からの橋/Bridge from Below》

土地(12)
4 《Bazaar of Baghdad》
3 《ダクムーアの回収場/Dakmor Salvage》
2 《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》
2 《裂け岩の扉/Riftstone Portal》
1 《露天鉱床/Strip Mine》

サイドボード(15)
3 《潰瘍化/Ulcerate》
4 《活性の力/Force of Vigor》
3 《外科的摘出/Surgical Extraction》
3 《誤った指図/Misdirection》
2 《トーモッドの墓所/Tormod's Crypt》

9.現在のリストの特徴

これまでの結果を加味したのが上のリストになっていますが、ざっくりと特徴を箇条書きで書きます。

・《恐血鬼》上陸→《秘蔵の縫合体》復活の流れが一番理想的なので《恐血鬼》を4枚に変更。代わりに《よろめく殻/Shambling Shell》がない分《イチョリッド》を拾いづらいことから2枚に変更。

・《血清の粉末》を減らした分余裕ができたスペースに青カウントおよび打ち消しの《否定の力》を投入

・《裂け岩の扉》は1枚だと墓地に落ちず緑マナが出せない場面が多かったので、2枚に。代わりに、《ダクムーアの回収場》は安定して拾え、黒マナは出せる場面が多かったので、3枚に変更。

・《潰瘍化/Ulcerate》に関しては黒マナを出せる利を生かしてそのまま採用。3点は誤差。ちゃんと自宅には《致命的な一押し》は4枚ありますよ?

・サイドボードに関して、《虚空の力線》から《外科的摘出》と《トーモッドの墓所》に変更。ドレッジにとっては《外科的摘出》でキーカード落とす方が効果的だと判断。あと、初手に《Bazaar of Baghdad》と《虚空の力線》が同時に持ってこれるレベルの豪運は持っていません。

しばらくはこのリストで回してみてまた調整を繰り返していきたいと思います。

10.おわりに

最後に、この調整編を書いた経緯について少し。

前回の記事に関しては、前記事冒頭に書いてある通り、BMの記事にもあがっているVintageのDiscordの支配者による「記事書いて(ニッコリ)」でしたが、今回の調整編は完全に個人の趣向で書きました。

というのも、デッキ選択・デッキ調整にはそのカードプールの広さだけ可能性があります。ヴィンテージはご存じの通り、銀枠と少しの例外的な禁止カードを除けばすべてのカードが選択肢となるのです。
そのため、構築についても調整についてもまだまだ可能性を秘めている部分があるのではないかと思っています。実際、令和の時代になっても突然新しいアーキタイプも生まれることもあります。

この記事でのドレッジに関しても、ピッチドレッジが昨年のヴィンテージアジアチャンピオンになったり、現在の神になったり、と強さがはっきりと証明されている中であえてマナドレッジに走っているのは時代に逆行しているのかもしれません。
ただ、まだ可能性が残っているかもしれない。こっちの方がもしかしたらもしかするかも、ということで上のように試行錯誤を繰り返しているが上の様子から伝わったらいいなと思います。

そして、この記事を読んで少しでもヴィンテージに興味を持ってもらえたらうれしいです。


最後にここまで読んでいただきありがとうございました。
感想やご意見、苦情等ありましたら僕のTwitter(@den0120)までください。

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