重い感情を抱きがちなオタクがあと3日で卒業する推しに思ったこと

"大切なお知らせ"

私の場合、この文字を見て想像する感情は2つ。嬉しいお知らせか、しんどいお知らせか、だ。
今回は後者だった。

SparQlew(スパークル)という声優ユニットがある。Kiramuneという男性声優レーベルから2019年1月1日にメジャーデビューした5人組ユニットで、メンバーは上村祐翔、千葉翔也、保住有哉、堀江瞬、吉永拓斗。
2017年11月19日にファンミーティング静岡で5人の加入が発表され、同月末から月2回のWebラジオ配信が開始。2018年2月14日にユニット名が「SparQlew」に決定し、翌月10日・11日に行われたキラフェス(レーベルメイト一堂に会する合同ライブ)にて会場限定シングルが発売された。

2018年3月に会場限定で発売された「ハジマリノソラ」
作詞:こだまさおり  作曲:本田友紀  編曲:脇眞富
作家布陣が他のコンテンツでもお世話になりすぎている…

私はSparQlewが好きだ。
元々声優として加入前から知っていたメンバーも居たが、この5人が加入発表されたタイミングから本格的に個々人を知るようになった。つまり推すようになったのである。

この4年間でラジオ、シングル2枚、フルアルバム2枚、ミニアルバム1枚、主演ドラマ、単独ライブ、音楽番組への出演、朗読劇主演などなど…オタクをしているとどうしても贔屓目に見てしまうし、比べるものでもないとは思うが、かなりハイスピードでここまで進んできたと思う。(供給が多いのは趣味を超えて精神的な支えにもなり非常に助かる。)
また、この4年間でメンバーたちも主演アニメが決まったり、声優アワード新人賞を受賞したり、単独で番組を持つなど徐々に忙しくなっていった。つまりは売れてきた。
かくいう私もこの4年間で高校を卒業し大学生になり、メンバーの活動を応援するべくバイトにも励んだ。おかげで自由に使えるお金が増え、KSC(Kiramuneのファンクラブ)にも入り、チケットの当落に一喜一憂し、参加出来るイベントには出来るだけ参加した。(生まれて初めてのバイト代はキラフェス10th2日分のチケットに消えた。)
CDは発売日に必ず購入し、周りの友人たちにもたくさん布教した。おかげでファンになり、一緒にライブに行ってくれる友人も出来た。イベントの感想をまとめて投稿するときは、思わずこれまでの思い出が蘇り感情が昂って色々な感情を感想とともに載せてしまうことも多々ある。辛い時、イベントの会場に向かう時、電車から夕日を眺めている時、なんてことない日常にふと存在を感じることも多い。あくまで趣味だが、私生活には無くてはならない存在、そしてあるのが当たり前の存在となっていった。知らず知らずのうちに私の生活はSparQlewに染まっていたのだ。

そんなSparQlewを精神的支柱にしていたある日、突如衝撃的なニュースが飛び込んできた。

SparQlew 千葉翔也に関するお知らせ

正直嫌な予感しかしなかった。
個人的に嬉しいお知らせなら個人のSNSか事務所HPで発表されるだろうし、グループ全体のお知らせなら個人名を書く必要はない。一抹の不安を抱えながらTwitterのタイムラインを確認していると、

"卒業"

の文字がチラッと見えた。

おいおい、嘘だろ。
勘弁してくれ。

最初に出てきた感想はそれだった。
Kiramuneレーベルは10年以上続いているが、初の卒業である。鈴村健一さんと岩田光央さんからなるユニットCONNECTは2015年のライブDVD発売以降活動休止扱いだし、入野自由さんが留学のために俳優業を一時休止していた期間も特にレーベルからのアナウンスは無かった(と記憶している、されていたら申し訳ない)。現在も、先輩ユニットメンバーである代永翼さんはTrignalとしての新曲やライブ活動はセーブしているが、徐々に活動を再開してきている。そんなレーベルメイトでありファミリー、ましてや自分の推しているグループから初の"卒業"。
悲しさや寂しさより衝撃が大きかった。

公式HPにはSparQlewおよびKiramuneの活動を2021年12月31日で終了とする。それは本人の意思、そして関係各所との話し合いの結果であると書かれている。

本人の意思

そうか、本人の意思か。それなら仕方ない。
そう思えるほど私の頭は簡単には受け入れられなかった。

HPに掲載された文章の他に、FCの方にムービーが届いていた。
FC限定動画のため多くは語らないが、そこにはメンバーの口から直接"大切なお知らせ"を聞くことができた。

文字の羅列でしか入ってこなかった卒業という現実が、耳からやっと頭の中に入ってきたようだった。
しかし、頭に入ったからといって、受け止められたわけではない。いや、理解したくないという感情が非常に大きかった。
どうして?理由は…?なぜ3周年を迎えようとしているこのタイミング?というか12月31日までってあと3日!?!?!?メンバー5人でデビュー記念日も結成記念日も迎えられないの!?
様々な思い、特にマイナスな感情が渦巻いた。
あぁ、ファン失格だ。こんなオタクが居るから卒業という決断に至ったのかな。本当のファンならここで大手を振って応援しなきゃいけないのにな。
一瞬でもそう考えてしまった。
SparQlewを共に推している友人たちにもすぐに連絡した。Twitterにも受け止めきれない感情をありのまま呟いた。みんな、同じような思いだった。明確な理由を知りたがっていた。HPに掲載された内容だけでは抽象的な表現でぼかされているように感じた。幸い、31日の夜からラジオで生放送の年越し特番が配信される。そこで本人の口から経緯や思いを聞けることを切に願う。

この文章を書いていると頭の中が整理され、段々と"卒業"という事実に対し受け止められるキャパシティが生まれてきた。
しかし、大きな心残りか一つ、いや、いくつかある。

まずは活動終了まで残り3日しかないという点だ。
3日あれば何が出来る?どうすれば4年間の活動の感謝を伝えられる?卒業イベント的な事は出来ないのか。というか、最後くらい直接想いを伝えたかった。インスタライブでも、Twitterスペースでも、YouTubeLiveでも、有料配信でも、FC限定配信でもいい。最後に5人と一緒にリアルタイムで時間を共有したかった。
特にコロナ禍になってからイベントは中止か延期。会場でのプレゼントボックスも無くなり、手紙は主にプレボに入れて伝えていた私にとって事務所に手紙を送るというのはかなりハードルが高いものとなった。(本来なら、イベントに参加する度に感想の手紙を事務所に送るべきなのだろう。面倒くさがりなオタクで本当に申し訳ない。)というか、今から送っても本人の手に届くのは年明けになる。わがままなようだが、私は今すぐにこの感情を知っておいて欲しいのだ。
直接想いを伝えるとなるとラジオのメールという手もある。SparQlewのラジオにメールを送り読まれることは多々あるが、今年の更新は先週で終了している。#99も放送していたのに。次で記念すべき#100なのに…。頼むから29日に臨時で5分でも3分でもいいから配信してくれないかな…と願わずにはいられない。

次に未披露曲の存在だ。
9月15日に発売された1st mini Album「Daybreak」。
このCDの中には、各メンバーソロ曲とSparQlewの新曲1曲が収められている。5人がユニットとして最後にステージに立った5月のKiramuneライブイベント「Fan×Fun Time2021」にて制作が発表され、それ以降神戸のファンミに出演したほずみと拓斗くん2名しか披露されていない。残りの3名のソロおよびユニット新曲は次のライブで披露されるのだろう。当たり前のようにそう考えていた。5人でのライブがあると。
SparQlewは今までに4回単独でのライブを行っている。1stであるWinner'5、1stの再演となるRe:Winner'5、Kiramune初の配信ライブとなったLive Stream"Breath"、そしてツアーの予定だったが大阪公演が中止となったBreath2021。全て円盤化されておらず、現地と配信でしか参加することが出来ない、もしくは公式YouTubeにあるライブダイジェストだけというレアライブである(というかSparQlew単独イベントで円盤化されているのは主演ドラマのBDだけなのでは…?)。もうこの5人だけのライブを最初から最後まで感じることは二度とできない。そんなことあってはならない。そう強く思う。私はこれまでの4年間をいちばん感じられるのがライブパフォーマンスだと思っている。2018年のキラフェスゲストで横浜アリーナの舞台に立った5人。当時まだ彼らを知らない人もかなり多く厳しい意見もたくさんあった中で、会場一面ミントグリーンのペンライトの海。本当に忘れられないほど美しかった。勿論、先輩方の支えもあったと思うが、何よりも本人たちの努力が見ていて端々に感じられた。曲終わりのMCでは思わず涙するメンバーも居た。不安を吐露するメンバーも居た。そんな彼らの1番の成長の記録とも言える単独ライブを手元に残せないなんて!偉い人どうか…お金なら積みますのでご検討の程何卒よろしくお願いいたします。

最後にこれからの未来についてだ。
3周年のデビュー記念日は4人になったSparQlew出迎えるわけである。やはり寂しい。受け止められてきたとは言ったものの、そう簡単に割り切れることでもない。5人でスタートした道が1本枝分かれしてしまうのである。未練タラタラで見苦しいと思う。ごめん。でも、綺麗事だけを並べて発信できるほど、私の感情は清らかじゃない。
もし仮にKiramuneを卒業してから数ヶ月後、他のレーベルでソロデビューが発表されたとしよう。恐らく、私は耐えられない。5人じゃ嫌だったのだろうか、歌って踊る路線が合わなかったのだろうか、アイドルのような売り出し方に嫌気がさしてしまったのだろうか、そんな中ファンとして推していたのが重荷になっていたのか。私お得意のマイナス思考が働き、最終的に距離を置きたいと思ってしまわないか。とても不安だ。
卒業は寂しいし、未だ本人の口から明確な理由が聞けていないため納得出来ていない部分も多い。
しかし、私は千葉翔也という声優が大好きだ。
演じるキャラクターや作品に対する想い、参加しているコンテンツへの真摯な姿勢、本人の意思の固さ、多くはないフィルターを通してでしか触れられなかった私ですら、その考えはちゃんと伝わっている。だからこそ、まだモヤが残るファンに向けても正面から向き合って説明をしてくれると信じている。そうしてから快く次のステップへ送り出したいのだ。頭も良くファンを大切にしてくれている彼のことだ。信じている。

SparQlewの曲の中に「Driving Force」という曲がある。発売されてからのライブではいつも重要な位置に置かれていることが多い曲であり、前向きな歌詞と力強いストリングスが印象的な楽曲である。この曲の2番の歌詞に注目したい。

交わす言葉に 本気が見えてく
僕たちはひとりじゃないね
知り合う度に 強くなれるから
新しい夢を追いかけたくなる

転んだら迷わず肩を貸すよ
悩んだら夜通し騒ごうか
見てみたい 君と同じ風景を
歌おう、大きく声を上げて

会いたい笑顔が迎えてくれる
いつも背中を押されるようさ
まるで自分の一部みたいに
感じてるんだDriving Force
Driving Forceより

現在の状況のようでハッとした。本人の思いは本人にしか分からないが、少なくとも私はこの曲を聴きとても苦しくなった。消化しきれていないモヤに想いを直接ぶつけられたようだった。しかし、同時に安心もした。抱えている不安に対する答えのような気がしたからだ。
進み続けるためにも、足枷になってはいけない。私も前に進まなければならないのだ。一人ではない、ファンの仲間そしてSparQlewのメンバーも居る。レーベルの先輩方もいる。だからこそ、ここから巣立っていく彼のためにも笑顔で見送りたいと今は思う。すぐには出来ないとしても。
「声優」の千葉翔也はこれからも勿論応援していく。なんなら年明けすぐに他コンテンツのライブで会えるから。しかし、「SparQlew」の千葉翔也として今後会えることはもう無い。もしかしたら、リーディングライブとかにゲストで出演されるかもしれない。だけど、もう二度と「SparQlewの千葉翔也です」という名乗りは聞けない。だからこそこの推してきた4年間を振り返って思う。

大好きだったよ。4年間たくさんの幸せをありがとう。さよなら。

片隅のSparQlewファンより。

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