映画を観た記録119 2024年7月8日    アントワン・フークア『ザ・マグニフィセント・セブン』

Amazon Prime Videoでアントワン・フークア『ザ・マグニフィセント・セブン』を観る。

ジョン・スタージェスの『荒野の7人』のリメイクである。『荒野の7人』のリメイクということは黒澤明の『7人の侍』のリメイクのリメイクでもある。

『荒野の7人』と『7人の侍』にもラストは、インディオの村を救ったガンマン、村を救った侍はともに、勝ったのは村人だ、というようなセリフを、『荒野の7人』ではユル・ブリンナー、『7人の侍』では志村喬が語るが、本作の『ザ・マグニフィセント・セブン』ではその部分はカットされている。しかし、『ザ・マグニフィセント・セブン』の7人のガンマンは町の人たちに戦闘を教え、町の人々は勇敢に戦う。町を救うために町の人々が立ち上がる映画としてはクリント・イーストウッド『荒野のストレンジャー』、フレッド・ジンネマン『真昼の決闘』がある。ハワード・ホークスは『真昼の決闘』の保安官のように町の人の協力を求める男は間違いだと言って『リオ・ブラボー』を作ったのである。

話が脱線してしまった。

『荒野の7人』のユル・ブリンナーにあたる主人公が黒人俳優・デンゼル・ワシントンである。黒人ガンマンは、7つの州を担当する保管でもある。『荒野の7人』のジェームズ・コバーンに相当する男が東洋人である。韓国俳優のイ・ビョンホンである。『ザ・マグニフィセント・セブン』にはネイティブ・アメリカンも加わっている。『荒野の7人』と比較しようがない。イーサン・ホーク演じるグッドナイトも『荒野の7人』では誰にあてはまるか見当がつかない。クリス・ブラット演じるジョシュ・ファラデーが、『荒野の7人』のスティーブ・マックイーンに相当するのではないか。メキシコ人と山男も加わっている。山男は『荒野の7人』ではチャールズ・ブロンソンに相当する。『荒野の7人』のチャールズ・ブロンソンは山に住んでいた。メキシコ人マヌエル・ガルシア・ルルフォも『荒野の7人』では誰かわからない。

本作品は、オープニング早々、教会が燃やされる。教会が火の海に包まれる。

本作品は、教会が燃えるシーンに限らず、燃えるシーンが頻繁に出る。ダイナマイトを使い、デンゼル・ワシントンらは敵のバーソロミュー・ボーグら一行を倒そうとするのでダイナマイトが爆発し煙が上がるシーンも頻繁に出る。敵はガトリング砲まで使用する。ガトリング砲を使用する西部劇と言えばサム・ペキンパーの『ワイルド・バンチ』を想起する。

俳優の演技で見せる映画ではない。

アップの画面が多いからだ。テンポよく編集は進んでいく。

セリフは決め台詞のようなセリフがほとんどである。

派手なアクションで見せる映画である。

とはいえ、ドラマチックな要素もある。ドラマチックな要素は、イーサン・ホーク演じるグッドナイトがいったん、離脱し、また戦いに参加すること、バーソロミュー・ボーグを殺す者が、デンゼル・ワシントン演じるサム・チザムらガンマンに町を守るよう頼みにいった女性である。

『ザ・マグニフィセント・セブン』で最大級に素晴らしいシーンは、敵がガトリング砲を発射して攻撃しているとき、地下室に避難した子供たちの中で赤ちゃんが耳を押さえて狂ったように泣き喚くシーンである。これは、まさに、ガザやウクライナで戦場にされた国に生きている子供たちではないか。可視化したのである。監督のアントワン・フークアはこのシーンだけでとてつもない才能を発揮している。

『荒野の7人』の映画音楽を担当したジェームズ・ホーナーの音楽も使われているので『荒野の7人』を観た人はその部分は嬉しいのではないか。

監督のアントワン・フークアは黒人監督である。

本作品は現代的な西部劇である。

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