映画を観た記録108 2024年6月23日   ジャン・ピエール・メルヴィル『いぬ』

Amazon Prime Videoでジャン・ピエール・メルヴィル『いぬ』を観る。

オープニングの字幕からして決まっている。

「警察や犯罪者では帽子は隠語である。密告屋。いぬである。」と。

記憶で書いているので、概ねこんな意味の字幕が掲げられ、クレジットタイトルが流れる。

プロデューサー、ジョルジュ・ド・ボールガール

俳優のクレジットが流れる。ジャン・ポール・ベルモンド。セルジュ・レジアニ、ジャン・ドザイー、ルネ・ルフェーブル、…と俳優名がいろいろ流れ、最期にミシェル・ピコリが流れる。

ミシェル・ピコリが本作品に出演時ですでに48歳。

対してジャン・ポール・ベルモンドは30歳。

ベルモンドの顔にはしわがない。ピコリにはしわがある。

映画俳優にはしわは必要である。

というのは濃淡ある顔を作るにはしわが必要である。

だから、昨今の日本映画の俳優は顔がつるつるだから全く絵にならない。映画俳優はイケメンや美女を出せばいいというものでもない。現代日本映画がいかにカスで屑であるか、この映画の照明が当たる影、しわ、などの表情を観ればよい。

それはともかく、本作品の助監督にフォルカー・シュレンドルフが担当している。『ブリキの太鼓』の監督はメルヴィルの助監督だったのである。

メルヴィルが作り出すフィルムノワールがいかにゴダールに影響を与えたか。もっとも本作品は『勝手にしやがれ』のあとの作品であり、ベルモンドが出演しているのは、ボールガールやカルロ・ポンティの狙いかもしれない。

ゴダールは明らかにメルヴィルに憧れていたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?