映画を観た記録124 2024年7月14日   ティム・オリフリーク『コレクター ナチス暴かれた真実』

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オランダでコレクターとして、実業家として戦後、成功していたピーター・メンテンはユダヤ人から美術品を強奪したばかりか、ナチスの協力者として、ポロアジェ村の虐殺に関与していた、関与どころではなく、指揮をしていたのである。
その情報が流れてきたのは、ピーター・メンテンから子どものころ、ビビとあだ名をつけられ、現在はパレスチナに住むハンツ・カーンからである。主人公のユダヤ人でもあるジャーナリスト・ハンス・クノープはピーターの虐殺事件の全容、ナチスとの協力を暴いていく。
戦後、1976年でもなお、ナチスの犯罪を許さない姿勢が存在している。しかし、問題はオランダの法務大臣は証拠不充分により、メンテンの逮捕に後ろ向きであることだ。
1976年の法廷での、ユダヤ人被害者の証言が生々しい。その証言が決定的になったのか、メンテンには禁錮15年の刑が下るが、控訴され、無実となる。しかし、次の裁判では、弟のディルクが提出した兄からの虐殺をした証言を文書にした公文書を提出し、ピーターには禁錮15年、罰金10万ギルダーが言い渡される。
その過程で主人公のハンスは親会社から背後から刺され、ともに同行したカメラマンが親会社に買収されてしまう。ハンスが編集長の雑誌の親会社が、ピーターの訴訟に恐れをなして、ピーター擁護をしていたのである。えげつなさすぎる。
ピーター・メンテンは結局、最終的には、認知症にかかり、介護施設で亡くなる。その妻は、献身的に毎日のようにピーターの介護をした。
問題の根底にピーター・メンテンは異常なまでに共産主義を毛嫌いしており、虐殺のときも共産主義者は皆殺しにしたのである。
ここから見えるのは、資本家どもは、共産主義が勢力を伸ばすくらいなら、ナチスとの協力に平気で手を貸すのである。
ポロアジェ村事件の核心は資本家の共産主義嫌悪にあるのである。
ところで、日本では実業家の戦争犯罪に刑が下されないのはなぜなのだろうか。不思議である。


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