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個人の価値観を中心とした介護 〜新しい時代のアプローチを考える〜

「個別最適化ケア」という言葉は、多様なニーズや背景を持つ人々に対し、個別に最適なケアを提供するというコンセプトを示しています。介護における「個別最適化」の追求は、現代の高齢者社会において不可欠な試みになるのではと思っています。

現状の多くの介護施設やデイサービスは、サービスの内容が似通っていると見受けられます。例としては、ある施設での日常が懐メロの歌唱やお遊戯体操で構成されていることなどです。これは一部の高齢者には合っているかもしれませんが、多様な価値観や生活経験を持つ現代の高齢者全員に適しているわけではありません。少なくとも私は絶対に嫌です(^ ^)

「介護の個別最適化」は、例えば、以下の要因を重視するアプローチとして考えられると思います。

(1)個別の介護ニーズの把握と理解
それぞれの人がどのようなケアや関連するサービスを求めているのかを適切に把握し、深く理解する。

(2)リハビリ目的・内容の調整
リハビリの必要性やその程度を各人の目的・目標に合わせて適切に調整する。過度なゴール(目標)は設けない。ICFなどが参考になるかも。

(3)ライフスタイルの尊重
各人が希望する暮らし方や生き方・死に方を重視し、それに合わせたケアを提供する。特に、死に方を自分で考え、選べることは非常に重要になってきます。

(3)機器・設備や環境のカスタマイズ
必要とする機器・設備や環境、アメニティ等を提供することで、より快適な生活を実現する。ここでの個人の要求レベルの差は大きいと思われる。

(4)高品質な接遇(おもてなし)サービス
個人の好みやニーズに合わせた接遇サービスやおもてなしを提供する。どこまで高品質なヒューマンタッチを求めるか等。

これら上記以外にもまだまだ視点はあります。

このモデルの実現には透明性が求められます。各施設は、提供するサービスの内容や特色、品質レベルを明確に公開する必要があります。そして、その情報に基づいて料金を設定・開示することで、利用者は自らのニーズや経済状況に合った施設を選べるようになります。

もちろん、このモデルはあくまで基本ケアの提供を前提とし、金銭的な背景だけでサービスの質が決まる(いわゆる弱者切り捨て)わけではありません。介護施設側においても、上記(1)〜(4)のどこを重点的に充実させるかで、そのコストのかけ方が異なってきます。

このことにより、各施設に個性・特性が生まれてきます。施設は収容所ではありません。暮らしの場なのですから、街に様々な家並み・暮らしぶりがあるように施設にもそれぞれの色合いが生まれて当然であると考えています。

この新しいアプローチは、これからの高齢者の多様なライフスタイルに適応するための鍵となると考えています。


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