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年齢制限の考察付き【21/22 プリマベーラ第28節】ユベントスU19×ペスカーラU19

試合結果

4月13日、ペスカーラU19をホームに迎えたプリマベーラ第28節は、ユベントスU19が5-1で大勝した。

キボゾのドッピエッタに、イリングやシェクララツ、トゥリッキアもゴールを決め、UEFAユースリーグに向けて主力を休ませながら勝ち点3を掴むことに成功したユベントスU19。

スコアに余裕が生まれたためか、やや強引に主力を休ませる交代策を講じたため、マレッサが右サイドバックをする羽目になってしまったが、チームは安定感を保ったまま勝ち切った。

まえがき(年齢制限を考える)

ユベントスU19?ユベントスU18?

僕のnoteを読んで下さっている方なら「またそれ?」となってしまうかもしれないが、ここでは(ここでも)ユベントスU19の最年長組について触れようと思う。

今季ユベントスU19に所属する選手を生まれ年で整理すると、以下のようになる。

生まれ年で整理するユベントスU19

さて、カンピオナート・プリマベーラ(つまり普通のプリマ・リーグ戦のこと)では、次のような年齢制限が設けられている。
(これは僕が調べた内容なので、精査推奨です)

【レギュラーシーズン】
・選手は、15歳以上でなければならない
・選手は、シーズンが始まる年の1月1日の時点で20歳以下でなければならない(21/22では2003年1月1日以降に生まれた選手のみ)
・チームには5つの「fuori quota」(年齢制限延長枠)が設けられており、ここには2002年1月1日〜12月31日に生まれた選手を登録することができる
※「fuiri quota」については下記にて表に基づき定義を別解釈しています
・5つの「fuori quota」のうち、1つは年齢制限が完全に排除される(トップチームの選手もプレーできる)

【プレーオフ】
・レギュラーシーズンでは5つのうち1つに認められた年齢制限排除の「fuori quota」は認められず、5つの「fuori quota」すべてが年齢制限延長枠となる。
https://www.unfoldingroma.com/unfoldingromasport/16284/campionato-di-calcio-primavera-1:-che-età-devono-avere-i-calciatori/

つまり、今季ユベントスU19には、最大で5人の2002年生まれを登録することが可能となっているが、今季ユベントスU19でプレーする2002年生まれはいない。
(例外的に、UEFAユースリーグではガローファニが1試合プレーした)

そこで、各クラブの2002年生まれ組をまとめてみたところ、以下のようになった。

各クラブの全体数に占める2002年生まれ組の割合

(なお、この表は2月時点のデータであり、また後ほどExcelに個人名を起こそうと考えています。)

これを踏まえると、各クラブに認められた5つの「fuori quota」とは、各試合において5人まで2002年生まれが認められるという意味だと考えられる。

つまり、枠数制限こそあるものの、実質的には2002年生まれ組が今季プリマベーラの最年長組であるといえる。

そう考えると、2002年組生まれ組を1人も登録していないユベントスU19は異端の存在であることが分かるだろう。
高校サッカーで、自チームだけ高校三年生がいないようなものである。

それでいて、チームは現在リーグ戦では優勝プレーオフ圏内の5位に入っており、見せるサッカーも現代的で多くのサポーターを魅了するものである。
ユベントスU19、実はかなりすごいことをしている。

ちなみに、ではそのユベントスが保有する2002年生まれ組はどこにいるのかというと、ほぼすべてユベントスU23に所属しており、現在はセリエCでプレーしている。

生まれ年で整理するユベントスU23(画像は今季冬移籍を反映しておりません)

これを見ると、デ・ヴィンテルやセクロフ、ダ・グラカなどそうそうたる2002年組を欠くどころか、2003年組屈指の有望株であるスーレとミレッティも、ユベントスU19から卒業したことがわかる(2人はUEFAユースリーグでのみU19でもプレーしています)。

まるで進学校に通う高校生が、カリキュラムの進みが早いため自分より学年が上の模試を受けるよう指示されているような、そんな優秀な子を持っているからこその状態となっている。

メンバーリスト

ユベントスU19
ペスカーラU19

ハイライト

ユベントスU19

サイドの圧倒的「個」で崩す

Transfermarktの画像では4-3-3となっているものの、実際はアーザとキボゾをトップに置く4-4-2のシステムで挑んだユベントスU19。

タイプが似ているアーザとムバングラは積極的にポジションチェンジを行い、イリング、アーザ、ムバングラの3人がサイドからえぐるような攻撃で相手ゴールに近づくサッカーがメインだった。

右サイドにはムラッツィも後方にいるため、攻撃力はユースチームでは屈指の強さを誇る。
純粋なCFタイプを置かなくても、突破力だけで相手を封じ5得点を記録した。

ビルドアップの変化?

ユベントスU19を見ている人なら分かると思うが、ユベントスU19はGKが積極的に関与するビルドアップを志向する。

具体的には、GKセンコは他人任せのようなロングボールは蹴らず、ショートパスやミドルパスで味方に付けるパスを出す。
センコは純粋にGKのなかではパス精度が高い。ボナッティ監督はこれを活かし、トップチームとはまるで違ったサッカーを実現させた。

ペスカーラU19戦では、さらに組織化されたビルドアップがしばしば見られた。
それは、2トップに張った選手のうちのどちらかが在りし日のパプゴメスのように降りてきてボールを散らすというものである。

選手の気分や偶発的に行われているのならどのチームにでもあることだが、今回は違うように見えた。
というのも、FWが降りてからボールに関与しパスを散らすまで、降りてくる選手のみならず、パスを出すGKや場所を開けるボランチ、受け手となるサイドに張る選手のすべてが同じイメージを持っているように連携していたのだ。

ここまで組織的なビルドアップを育成年代で選手の入れ替わりも激しいチームに落とし込めるボナッティ監督は、実はすごい監督なんじゃないかと思う。

ペスカーラU19

Fabian Pavoneを教えてくれたチーム

ペスカーラU19は、一昨年見たとき、パヴォーネという素晴らしい選手がいた。
パルマに認められTurrisというセリエCのチームにローンしているパヴォーネ。

いつか期待の選手として跳ねたら、さすがにペスカーラU19時代に彼を見つけた日本人なんていないんじゃないかな?と思ったり…

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