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フィールドスタディinデンマーク 2015 Report #3

 ロスキレ市の小中高等学校とエコヴィレッジを訪問。

3日目。朝早くにホテルを出発。ハイペースなさだこさんに連れられて、まずはバスでコペンハーゲン中央駅へ。そこから電車に乗って、今日の訪問先があるロスキレ市へ。

ロスキレはコペンハーゲンから電車で30分ほどの郊外の街。世界遺産のロスキレ大聖堂が凛々しい佇まいを示す、静かなベッドタウンです。

最初の訪問先は、Ostervang小中学校。0〜9年生(6〜16歳)が通っています。着いて早々、まずは低学年の授業へ。この学校は、「Ibis」という、途上国の学校へ行けない子供達のことを学び支援するプロジェクトに参加しており、その「Ibis」の時間を見学させてもらいました。このプロジェクトは、いわゆる教科の学習と重なり合うかたちで進められているようで、私たちが行った時には、ある子が「この週末したいこと」を発表して、他の子たちがその発表の良かった点と黒板に書いた文章のスペリングを直す、というような活動中でした。

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アーチ状に配置された机に座っている子どももいれば、その真ん中に空いたスペースで、床にごろごろしながら聞いている子もいます。ノートに文を書く作業の時には、ヘッドホンをしている子の姿もあり、授業への参加度は総じて高いものでした。それぞれの子どもの学びやすさが大事にされている印象を受けました。
特別支援を要する子どもが2人おり、エクストラの先生がついて、2人で教えているクラスだそうです。

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その後、キャスパー副校長の案内で学校施設を見学。低学年棟と、高学年棟に分かれており、高学年等に特別教室が集中していました。理科室で質疑応答。この学校のミッションは、学力を向上させることに加え、創造性を発揮できるイノベーティブな力を育むことだそう。また、子供達は、少なくとも年に一回、学校や社会に対する問題意識を発表するcritical performをステージで行うのだそうだ。児童の22%は移民の子どもたちで、これはロスキレ市で3番目の多さ。一番多い学校では、40%なのだそうで、一同パーセンテージの高さに驚きました。
デンマークには、ペタゴー(PeaDAGOG)という、保育士と社会福祉士を合わせたような資格があり、学校や学童などで活躍しているそうで、この小学校にも複数配置されているそう。教員が知的教育、授業中心の資格であるのに対し、ペタゴーは、人間的部分の発達を中心に扱う資格。

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Ostervang小中学校を後にし、大聖堂の傍らにあるロスキル高校へ。校門で1年製の環境委員会のメンバーが出迎えてくれました。ここは毎年Eco schoolの認定を受け、グリーンフラッグを獲得している学校。北欧は、環境教育の先進地でもあります。(実はOstervang小中学校もeco school。)
昨年、ESDの世界大会が日本の岡山で行われ42カ国から実践が発表された際には、この高校の生徒と先生がデンマーク代表として来日したのだそうです。
グリーンフラッグは、毎年認証されるもので、そのためには毎年違った環境プロジェクトを立ち上げ、取り組む必要が有ります。今年のテーマは、「廃棄物を減らす」ことだそうで、生徒が中心になってゴミの分別や、リサイクルを行なっています。

簡単にこの学校の概要を聞いた後は、環境委員会のメンバーと、今回受け入れ窓口担ってくれた先生方と共に、ランチを食べながら交流。デンマークの伝統的な食事を振舞ってくださり、一同舌鼓を打ちながら味わい、英語でのおしゃべりに挑戦しながら、楽しい時間を過ごしました。

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昼食後は、3つのグループに分かれて、「科学」「数学」「宗教」の授業を見学。私が見た「科学」の授業は、17名の生徒がおり、先生が自然なトーンと語り口で、原子の結合についてのレクチャーを行っていました。基本的には一斉指導型なのですが、合間合間に生徒とのインタラクティブなやりとりが豊富に挟まれ、笑いもあって和やかで、生徒をうまく引きつけていました。時々「近くの人と話し合う時間」も組み込まれ、みんな意欲的に授業に参加していました。お菓子を食べながら、積極的に質問や発言をする女子高生の姿がほほえましく、印象に残りました。

美しい校舎には、いたるところにアーティスティックなペイントがほどこされ、雰囲気をよくしていました。若者が学ぶのにふさわしい印象を受けます。

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最後に、ピーター先生とリズベルト先生がQ&Aの時間をつくってくださり、疑問を少し解消してから、学校を後にしました。
アフタヌーンティーまでご馳走になってしまいました。

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今日最後の訪問先は、エコヴィレッジ「Munkesoegaard」
ここは、90年代後半に、「エコでローエネルギーでコミュニティスピリットに根ざした暮らし」というテーマに想いを寄せて集まった人々がつくったコミュニティ。
居住は「若者(賃貸)」「シニア(賃貸)」「ファミリー(賃貸)」「持ち家」「コーポラティブ(共同出資の持ち家)」の5つのエリアに分かれていて、住民はそれぞれのエリアにあるコミュニティハウスと呼ばれる集会所で週に3回食事を共にするのだそう。
また、住民たちは19のワーキンググループ(WG)のどれかに所属していて、それぞれの役割を担ってコミュニティに貢献しています。WGの例としては...ヒーティングシステムW G、カーシェアリングWG、生協運営WG、下水処理WG、子どもの遊び場WGなど。
今回案内してくれたのは、アンデルセンさんは、ガイディンググループの所属。

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敷地内には、エリアごとの共同の畑があり、馬、豚、羊、うさぎなどの動物もいて、衣類のリサイクルシステム(村内おさがりシステム)もありました。コンポストが活用されていたり、コミュニティハウスがストローベイルハウスだったり...。
今日訪問した学校で学ばれ取り組まれていたようなことが、日常の暮らしの中で実践されている場だという印象でした。
このようなエコヴィレッジはデンマーク国内にいくつもあるのだそうです。

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今日もたくさん歩きました!(そろそろ腰にきています。苦笑)
明日は、午前中IUI 障害者青少年学校を訪れ、午後はIPC(国際ホルケホイスコーレ)の先生のレクチャーを受けます。
またご報告します。お楽しみに。

(2014/03/24  投稿:みどり)