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EDUTRIP in デンマーク 2018 Report #5

いよいよ視察も現地で過ごすのも最後の日となりました。
・【アマーリラスコーレ
バスに乗って移動をし、最後の視察先は私立の小さな学校に行ってきました。

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リラスコーレは日本の小中学校段階にあたるオルタナティブスクールのひとつです。
デンマークにはフォルケホイスコーレの影響を受けて生まれたフリースコーレと、70年代の社会運動の影響下で生まれたリラスコーレがあり、いずれも資金面では国からの助成を受けながら、経営方針は学校に任されており、自由な学校づくりをしています。
アマーリラスコーレでも、校長先生が快く笑顔で私たちを出迎えて下さいました。

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まずは簡単に学校の説明を聞いたあと、9年生が私たちを学校案内に連れて行ってくれました!グループに分かれそれぞれで校内見学をしましたが、どのグループの9年生の子たちも丁寧に校内ツアーをしてくれながら、日々の学校生活のことも色々と教えてくれ、案内から帰ってきたみんなの一言は「すっごくよかったー!!!」と笑顔があふれていました^ ^

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案内してくれた生徒さんたちに、なぜこの学校を選んだのかを聞いてみたところ、公立の学校でうまくいかず転校してくる子も多いことや、やはり自由なところに惹かれて来る子が多い様子でした。
また、校内を回っているときに大きな荷物を用意している教室があったので何かと聞いてみますと、なんと全員参加の海外滞在プログラムが毎年行われているそう。言語の壁等含め異文化体験をするそうです。何年生はどこ、と決まっているみたいですが、全員参加なのがすごいですよね。
校舎の中には生徒たちのアーティスティックな作品の数々が飾られており、アートや音楽を通して豊かな心が育まれているのだろうといった印象を持ちました。
この学校では教員と生徒の関係性において、人として対等な関係を築くことを大切にしており、生徒も教員のことはニックネームやファーストネームで呼んでいます。教員は全校生徒みんなの顔と名前をわかっていて、教員全体で生徒たちを見ている意識があります。

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また、ここでは担任の先生が基本ずっと変わらないため教員・児童生徒・保護者の信頼関係がしっかりと築かれています。日本ではクラス替えは普通ですし、「もし担任と馬が合わなかったら」の場合も含めクラス替えを良しとする考えもあるかと思います。ですがデンマークでは教員への社会的信頼度も高く、何か問題があっても対話を通して互いに理解しあえるようにするという考え方がの基盤になっている、ということをサダコさんから聞くことができました。よりよい教育を目指す上で保護者と教員がそういった「信頼関係」を持つことは必要不可欠であり、また、人との関わり方を学ぶこどもたちにとってそういった信頼関係を見ることは教育の本質に触れることでもある、と感じました。

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最後に、英語の先生の授業を見学させて頂きました。そこでこどもたちに質問をする時間があり。
なぜ歴史を学ぶのか?」という質問がなされました。それに対し何人かのこども達の回答は以下のようなものでした。

・私たちはなぜここにいるのかを知るために、歴史を知る必要がある。例えば第二次世界大戦でもしもドイツが勝利していたら、デンマークの今の状況は違っていただろう。ドイツ語を話していたかもしれないし、きっと全く違う状況だったはず。過去に何があったかを知り、過去にどんな選択を国々がしてきてその選択がどんな風に自分たちに関わっているかを勉強することが重要。全ての選択に大きな影響力がある。
・自分たちがどこからきたのか?ルーツを知るために歴史を学ぶ必要がある。歴史はひとつの事実ではなく、「これが一番正しい」とか「正しくない」ということはなくて、いつもいろんな側面がある。そういうことを学ぶために歴史の勉強が必要。
・将来同じことを繰り返さないために過去を勉強する必要がある

これらは、生徒さんたちが答えてくれた言葉そのままです。

こうした「なぜ」質問に対してきちんと自分の考え・答えを持っていること、発言できる姿勢に私たちは皆大変驚かされました。
他にも「自分の未来は何色か?」という質問があったのですが、出てきた答えの色はピンクや茶色、白、オレンジなど様々で、人によって「色」へのイメージも違ければ「未来」の捉え方も違う、ということを知れるとても面白い場面でした。そしてこのような「みんな考えや捉え方が違うけれどそれで良い」という経験をここにいる生徒さんたちは普段からできているのだろう、と思いました。

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この授業見学をさせてもらったクラスは、担任の先生が産休等の理由で何回か変わっているらしく、私たちをこのクラス見学に招いてくれた先生は担任ではなかったみたいです。ですが、先生は自分のクラスの子でなくとも学校で会えば普段から声をかけると言っていましたし、”You know I love you guys right?! (僕がみんなのこと大好きって知ってるでしょ?!)”と先生が言うと生徒たちも「わかってるよ〜!笑」なんて笑いあう場面がありました。担任でなくとも、こどもたちが「生徒たち」と一括りにまとめられず一人一人がきちんと見られ、普段から「対話」を大切にしているからこその、この仲良い温かい雰囲気なんだと強く感じました。

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学校案内をしたくれた先生も9年生も、そして授業見学をしたクラスの生徒さんたちも皆とてもフレンドリーに私たちと接してくれ、最後の視察先も私たちにとって、「教育とは何か」を考えさせられるとても良い学びの場となりました。

♪♪♪♪♪

学校視察が終わった後は、みんなでランチをし、各自自由時間となりました。
幸いお天気に恵まれ、最後に観光したりお土産を買いに行ったり、コペンハーゲンを堪能するにふさわしい日でした。
王立図書館や美術館、チボリ公園、買い物、デンマークといえば色鮮やかな建物が並んでいることで有名なニューハウン・・・などなど、皆それぞれ自由時間を目一杯楽しんだようでした。

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宿に再集合してからは、最後の振り返りワーク。この旅を通して得たことや学んだことを付箋に書き出しグループ内で共有した後、一人ひとりにどんなことを日本に持って帰りたいか、発表してもらいました。

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今回のツアーはメンバーが女性ほとんどな中男性は高校生の男の子1人(!)でしたが、みんなとても仲良くなりました。皆それぞれが自分なりの発見や得たもの、この旅を通して感じたことを共有できて、お互い刺激しあえる時間になりました。また、「このメンバーに出会えてよかった」という声もたくさん聞こえてきて、私自身もこのメンバーで共にデンマークに行き学べたことを大変嬉しく思いました。

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現地最終日の次の日は早朝から空港に向かい、まだデンマークにいたい~!という想いと、お世話になったサダコさんとの別れを惜しみつつ、皆日本に帰国。
ほんとうにあっという間の一週間でしたが、この旅が参加者のみなさんにとってこれから仕事や勉強、生きていく上での力になるような、そんな有意義な時間になってくれていたら良いなと心から願っています。

現地コーディネーターのサダコさんはじめ、視察先のみなさん、ありがとうございました。
そして参加者のみなさん、本当にお疲れ様でした!!^^

(2018/8/22)