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DJ Spinbad ‎ "Rocks The Casbah!!..." The 80's Megamix


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このテープがリリースされた95年は、マライヤ・キャリー「ファンタジー」、ウォーレンG「ウォント・イット・オール」、メソッド・マン&メアリーJブライジ「アイル・ゼア・フォー・ユー」などビルボードのトップ・ヒット・シングルに80'sポップスをサンプリング・ネタにした楽曲が多数チャート・インしていた。

当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったショーン・パフィー・コムズ率いるレーベル〈バッド・ボーイズ〉のサウンド・プロダクションでよく使用されていたのでご記憶の方も多いだろう。ヒップホップ〜R&B界隈では、80’sポップスをサンプリング・ネタとして使用するのが旬だったが、90年代前半にヒップホップの筆下ろしをした世代にとっては、この80'sポップスのサンプリング・ネタというのは新鮮だったに違いない。

その頃のサンプリング・ネタと言えば、『アルティメイト・ブレイク&ビーツ』を基本とした、6~70年代のアーシーなレア・グルーヴ〜ジャズ・ネタやドラム・ブレイクが中心だった。90年代前半は、こうしたサンプリング・ネタを使い、ストリートに根差した活動をしていたギャングスターやウー・タン・クランなどのラッパー達がヒットを飛ばしていたからだ。それに対して、80'Sポップスをサンプリング・ネタを使った〈バッド・ボーイズ〉をはじめとする当時のヒップホップ〜R&Bアーティストの楽曲はチャラいというイメージがあったはず。実際当時の僕も「また、80'Sネタだよ。売れ線だなぁ」(と言いつつ、個人的には大ネタ・サンプリングは大好きだったが)と思っていた。

そんな状況の中でブルックリンのミックス・テープ専科〈Tape Kingz〉からリリースされたのが、このDJスピンバッドの〈ロック・ザ・カスバ(ザ・80'sメガミックス)〉だった。当時、誰かDJにこのテープがヤバいと教えてもらってファット・ビーツかマンハッタン・レコーズに買いに行ったような?(記憶が曖昧)。当時はまだネットがないので口コミが1番のバイヤーズ・ガイドだった。

初めて聴いてぶっとんだ。「これは凄い!!」と。80'sポップスが見事なレコード2枚使いのスクラッチでミックスされているからだ。これだけ手の込んだ80'sポップスのDJミックスは他になかった。こうなると魔法がかけられたようなものでチャラいと思っていた80'sポップスのオリジナルがカッコよく聴こえてくる(元々カッコ良いのだが)。

さらにこのテープを聴いた若いDJ達が「こういう曲もミックスに使っていいんだ!」と学んでいく。フォロワーが生まれ同様のミックス・テープがリリースされる。イベントが開催される。80'Sポップス・ネタをサンプリングした楽曲がリリースされる。それが売れる。90年代後半の日本語ラップを検索してどれだけ80'Sポップス・ネタの曲があるか?探してみて欲しい。結構な数があるはずだ。こうして、日本国内でも80'Sポップスがヒップホップ・サイドから再評価されていったように思う。

つまり、このミックス・テープの存在が免罪符となって80'Sポップスのサンプリング・ネタを使った楽曲が多数リリースされることなった。だから、このミックスは国内のヒップホップ〜R&Bシーンにとても大きい影響を与えたように思う。そういう意味で、個人的に革命的なミックス・テープの一本だと断言したいその後もスピンバッドは80’sポップスのVol.2、90'sポップス、00'sポップスのミックスをリリースしていった。

ラジオDJやクラブDJとしても国内外を飛び回っていた彼が今月10日亡くなったという。まだ若いのに、、、合掌🙏まだ彼のミックスを聴いたことのない人はこの機会にぜひ聴いて彼の凄さを知って欲しい。ありがたいことに彼のアカウントでミックスクラウドにたくさんミックスがアップされています。

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