二重意識

*本稿は、ガルミンダ・K・バンブラらによって運営されているグローバル社会理論プロジェクトに収録されている論文の粗訳である。(https://globalsocialtheory.org/concepts/double-consciousness/

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W. E. B. デュボイスは、「ベール」と「二重意識」という概念を使って、アフリカ系アメリカ人が米国で置かれている特殊な状況と、その状況を理解する(そして願わくば解体する)ために彼らが自由に使える具体的な手段を説明している。隔離という「ベールの向こう側」のアフリカ系アメリカ人の存在は、ほとんどの白人からは見えないが、その向こう側に住む人々もまた「白人」の世界で動いている。そのため、彼らは自分たちの生活、ベールの機能、そしてベールの向こう側に住む人々の活動についても知識を持っている。アフリカ系アメリカ人であると同時にアメリカ人であることから生じる二重意識は、社会的領域に対するより深い洞察と、支配体制に対するより効果的な行動の可能性の基礎を提供する。

必読書:
W.E.B. DuBois ‘Of Our Spiritual Strivings’ in The Souls of Black Folk(木島始・鮫島重俊・黄寅秀訳、1992「われわれの魂のたたかい」『黒人のたましい』岩波文庫。

W.E.B. DuBois ‘Of the Faith of the Fathers’ in The Souls of Black Folk(「父たちの信念」『黒人のたましい』

さらに読む:
Gilroy, Paul ‘Cheer the Weary Traveller, W.E.B. Du Bois, Germany and the Politics of (Dis)placement’ The Black Atlantic: Modernity and Double Consciousness (=上野俊哉・毛利嘉孝・鈴木慎一郎訳、2006 「4章 「疲れた旅人を励まそう」 W・E・B・デュボイス、ドイツ、そして(非)位置取り/(転)地の政治学」『ブラック・アトランティック−−近代性と二重意識』月曜社。)

問い

世界を理解するための分析カテゴリーとして、「二重意識」はどのように機能するのか?

「二重意識」を理解する上で、「経験」はどのような役割を果たすのか?

「二重意識」は、社会的不平等を理解するために(そしてそれに対して何かをするために)どのように役立つのか?

ベールの前にいる人たちは「二重意識」を理解できるのか?これは重要なものなのだろうか?

投稿者:Gurminder K Bhambra

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