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指す将順位戦6th A級2組5回戦 VSうりゅんさん

こんにちは。数日前にリングフィットアドベンチャーを購入し、運動をしているこまちです。

今回は指す将順位戦の5回戦、VSうりゅんさんの自戦記をお送りします。

今回も前局のように事前準備をする時間がほとんど取れなかったため、「準備編」と「対局編」を合併します。

事前準備

心境
4回戦で初白星を飾れたことや単独最下位を免れたこともあり、ホッとしていたと同時にこの流れを途切れさせたくはないと思っていました。まだ4回戦が終わったばかりなので、ここからまた気持ちを引き締めていかないといけません。

棋譜チェックと作戦決め
これまでの指す順の対局も含めて30局あるかないかの棋譜を見たところ、最近の傾向として、

先手→四間飛車
後手→雁木模様

を選ばれているのを把握しました。なので、基本これを元にこちらがどう指すかを考えるわけですが(他の戦型で来られた場合は今回考えていません)、対雁木模様に対してどうするかにむちゃくちゃ悩みました。右四間飛車にするも良し、昨年12月の羽生野月戦や藤井野月戦のような将棋にするも良しですが、どちらもそこまで自信がありません。どうしようかなーと思っていたのですが、ABEMAトーナメントの永瀬渡辺戦での永瀬さんの構想が面白そうだとなったので、これを採用してみようということになりました。

対局当日

対局日の前々日あたりから睡眠時間を増やすようになり、10時間ほど寝ていました。そのおかげか、24で目標としていたR2000にも達成し、良いコンディションで当日を迎えられたなと思っていました。対局当日には同じA級2組所属の面妖流さんとの野良対局で229手も指したので、頭もお目覚めな感じです。

対局時間が近づいている中で、前回と同様に目標を定めることにしました。今回は、

・秒読みでは、赤秒数(残り10秒~1秒)になるまで時間をしっかり使って考える(自玉の詰みが分かっている時を除く)

という目標を定めました。この手しかないという時でも、辛く苦しい時間が続いている時でも、先を先をと考えることを意識するようにしました。もちろん、そうすることで相手にも考える時間を与えてしまいますが、少ない時間でちゃっちゃと指すよりかはずっと良いことだと自分は思っています。

野良対局が終わり、目標を設定したらシャワーを浴びてリフレッシュ。さっぱりリラックス状態でパソコンの前に向かっていざ対局。

久しぶりの急戦志向

先手:うりゅんさん 後手:こまち
初手から
▲7六歩 △8四歩 ▲6八飛 △3四歩
▲6六歩 △6二銀 ▲1六歩 △1四歩
▲4八玉 △4二玉 ▲3八銀 △5四歩
▲7八銀 △8五歩 ▲7七角 △3二玉
▲5八金 △5三銀 ▲6七銀 △5二金
▲4六歩 △7四歩(第1図)

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ここまで先手→後手→先手→後手と交互になっていたので、今回は先手になる予感がしていましたが、その流れは崩れました。今回は先手番を引きたくなかったので素直に大きかったです。

戦型は先手の四間飛車に後手の居飛車ということで対抗形になりました。事前の段階で先手番を引いたならそう来るだろうと思っていたのでひとまず安心。

昨今では、△7四歩(▲3六歩)と指して急戦志向を見せた後に穴熊に組みにいくという、その2つを天秤にかける指し方もありますが、今回やろうと思っていたことはただひとつでした。

評価値:5億ノード 互角(-91)

金無双急戦

第1図以下の指し手
▲3九玉 △9四歩 ▲2八玉 △4二金
▲5六歩 △7三桂 ▲3六歩 △8四飛
▲2六歩 △6四銀 ▲7八飛 △7五歩(第2図)

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税金を払い、左金を上がり、右桂を跳ね、飛車を上がり、銀を上がり…お出まししたのは金無双急戦です(組み方の正しい手順は分かっていない)。これが指したかったのです。元々うりゅんさん用にと考えた作戦ではないのですが、対局の1週間ほど前から興味本位で指し始めた金無双急戦が自分にかなり合っていると感じたので、今回の採用に至ったという経緯です。対四間飛車にはいつも穴熊ばかり指していましたが、固さと攻めがしっかり両立されているこちらの方を今後は採用し続けたいレベルに良いです(急戦の知識はあまりないのでまだ手探り状態ですが…)。

本譜のお話に戻りまして…▲3六歩や▲2六歩といった手はありがたいなと感じており、▲9八香といった手を指されると少し嫌でした。今回はいつもより良い条件で△7五歩で開戦していけると思っていました。

評価値:5億ノード 互角(-155)

仕掛けの是非

▲5七金 △7四飛 ▲5九角 △7六歩
▲同銀 △5五歩 ▲7五歩打 △8四飛
▲6七銀(第3図)

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▲7六同銀までの手順はわりと自然な流れですが、△5五歩がちょっぴり後悔の一手。7筋に加えて5筋にも争点を作っていくものなのかなと実戦とソフトでの振り返りでなんとなく分かったのですが、この場合は▲7五歩~▲6七銀の流れが良いのでそこまで成果が上がらなさそうです。

△5五歩に代えて△6五桂が良かったです。この手も考えていましたが、成立条件がいまいち把握できてなかったのと、先に桂得されてしまうのが怖くて指しませんでした。しかし、△6五桂▲同歩△同銀に▲同銀とは取れず(先手の飛車が浮き駒)、9九の香車を取れそうなので桂得されたとしてもペースは握れていたかもしれません。

評価値:5億ノード 互角(-14)

見落としていた歩突き

第3図以下の指し手
△5六歩 ▲同金 △5五銀 △7四歩
△5六銀 ▲同銀(第4図)

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△5六歩と取り込んだ手に▲同銀なら指す手に困っていたので、▲同金も難しいとしてもありがたかったです。しかし、△5五銀に取ってくれるものだと考えていたので、▲7四歩にはびっくりしました。その通りの手なのでいけない見落としでした。

こうなると桂馬は助かりません。それを受け入れる代わりにどう指せばいいのかかなり悩みました。

評価値:5億ノード 互角(+187)

悩んだ指し手

第4図以下の指し手
△6六角(第5図)

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本局最長である6分25秒の考慮時間を使って指した手が△6六角です。どの手を考えてもしっくりこなかったので、仕方ないか…という気持ちでした。

ここは、どう考えていたかを順番に書き残しておこうと思います。

①△6六角(第5図)
まず、考えたのが本譜の手です。
これに対して▲7五銀が痛いのでは?△5七角成は▲4七銀と手順に固められて飛車桂取りが持続するからおそらくない。でも△9九角成なら飛車を取られても△8九馬が飛車取りで2枚の銀も浮いている(5六の銀)+遊ぶ可能性が高い(8四の銀)からそれなら悪くはない…はず。

それなら▲7三歩成は?これも▲7五銀の時と同様に△9九角成で悪くなさそうだ(間違いで、そう進んでしまうと先手が少し有利になる。理由は後述)。あーでも△9九角成に▲7七角はどうなんだろう。△8九馬▲5八飛に△4四桂がぴったり?ならこうは進まないのかな。

②△5七金(下図)

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次に考えたのがこの手です。
▲4七銀と固められたら?……後続が分からない。△5八歩に▲同銀なら指しやすくなりそうだけど▲同金でどうするのよ。▲4七銀の後に△6六角なら?金が邪魔かも。

水匠4はこの手を最善手と示します。よく分からん。△5六金に▲4五銀打が良いらしい。よく分からぬ。△5六金に▲4七銀なら△6五桂(同金~△6五桂)が良いらしい。あーなるほど、それは分かるかも。

③△6五桂(下図)

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これも考えました。
▲同歩なら悪い理屈はないでしょう。でも▲同銀なら?これが分からない。△6七金とか?指したくないけど…うーんこれは打ち切りかなあ。

この手は次善手と示されます。今回の場合はあまりいい気分の桂跳ねではなさそうですが、金無双急戦は△6五桂(▲4五桂)が急所の手になりやすそう?

④△6六角(第5図)
またこの手に戻ってきます。
この手がいちばん無難な気がする。計14分半使ってしまったけど相手の次の手を見てどうするか…だな。

と、いった感じで考えていました(途中の進行は他にも考えていたことがあったかもしれないですが、考えていた指し手は3択でした)。ここは、観戦してくださった方々が考えていた手を知りたい局面ですね。

評価値:5億ノード 先手有利(+531)

失敗していた攻め

第5図以下の指し手
▲7三歩成 △9九角成 ▲7七桂 △8九馬
▲7九歩打(第6図)

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それなら▲7三歩成は?これも▲7五銀の時と同様に△9九角成で悪くなさそうだ(間違いで、そう進んでしまうと先手が少し有利になる。理由は後述)。

と思っていた順に進みました。悪くなさそうと思っていましたが、▲6三とというと金の押し売りがあり、それを指されていたら少しまずそうでした。以下、△同金▲7二飛成に△6二金打や△6二歩ならかなり不本意で、△8九馬▲6三龍△5六馬としても▲5四桂が入ってしまうのが痛すぎます。

本譜は▲7七桂~▲7九歩とこれはありそうだなと考えていた手順に進み、そう進むなら悪くない気がしていました。そして、次の3手を指せたことで有利になったと思いました。

評価値:5億ノード 後手有利(-628)

有利を実感

第6図以下の指し手
△5七金打 ▲4七銀 △5四飛 ▲6五桂
△7八馬(第7図)

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結果の良し悪しに関係なく、△5七金と指せたのは自分を褒めていいかなーと思います。△5四飛と併せて視界がかなり広がりました(観戦室では△5四飛に代えて△5六歩が多数派だったらしく、考えていなかった。これが水匠4の最善手)。加えて、その後の先手の指し手が結構難しい気がする…と考えていました。

▲6五桂と跳ねてくるなら、飛車取って打ち付ければ確実に後手が良いだろうというのは何となく感じていました。実際にその順に進みそうだったので、ここからが大切…と念じながら盤面を見ていました。

評価値:5億ノード 後手勝勢(-1528)

厳しく指せない

第7図以下の指し手
▲7八同歩 △6九飛打 ▲4八銀打 △4七金
▲同銀 △6五飛成 ▲7七角 △3三桂(第8図)

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先手が歩切れなのも後手にとって大事なポイントです。その状態をできるだけ維持させることを意識していました。また、その状態が続く中でいつか△2四香を指せないかなと考えていました。

それならば、桂馬に意識を取られて△6五飛成と指すのはよろしくなかったです。代えて△2四香や△5五香を指せないといけません。ポイントを利用して厳しく厳しく指していく意識が足りませんでした。

▲7七角と角を活用されてしまいました。それに対して△6六銀を初めは考えていましたが、▲5六金でダメとなぜか勘違い。△同飛▲同銀△同龍と金銀を貰えたことに加えて角に当たっている状態は継続しているので、これはひどい勘違いです。結局△3三桂と指したのですが、何か変な手だという感じが否めません。

評価値:5億ノード 後手有利(-312)

切れ気味だよね…?

第8図以下の指し手
▲8三角打 △6九龍 ▲5九金 △7八龍
▲6八金 △7九龍 ▲6九金打 △8九龍(第9図)

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▲8三角は考えていませんでしたが、第9図まで進んだことを読んだ時に、歩切れに加えて持ち駒も桂馬しかないことから攻めが切れ気味になってきているのではと思いながら指していました。先手玉の攻略には時間がかかるようになってしまったものの、これで大丈夫だと考えていたのですが…

評価値:5億ノード 後手有利(-548)

だぶるうっかり

第9図以下の指し手
▲6五角成 △6四飛 ▲4四桂打(第10図)

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まず、▲6五角成をうっかり…どうして。飛車角交換になってしまうけど仕方ないと△6四飛と指しましたが、それにより▲4四桂が生じてしまうことにもうっかり。普通にパニックになりました。今まで触れていた形勢の針はもうこちらには振れていないだろうと思わざるを得ませんでした。

となると、△6四飛に代わる手があるわけですが…ソフトによれば△5三歩や△5三香で一応後手有利とのことです。後者ならわかるのですが、前者はちょっと指せないというか考えない手ですね…

評価値:5億ノード 互角(+118)

攻めが突き刺さる

第10図以下の指し手
△4四同飛 ▲同角 △5三銀打 ▲3三角成
△同金 ▲7二飛打 △4二金 ▲6三と(第11図)

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△4四同飛と桂馬を取るよりないですが、▲同角に△同歩と取れないので困りました。△5三銀と指しましたが、△3三角成とするのが良い手でここからどんどん被害が広がっていきます。▲6三とを指され、55手目から続いていた先手の歩切れも解消されてまずいことになっていってます。

△5三銀に代えて、△6四香とすれば?というのが感想戦で教えていただいた手です。確かに、こういった切り返しの手なら先手も悩ましそうです。受けることだけに考えがいっていたので、勉強になりました。

評価値:5億ノード 先手優勢(+1218)

誘ってる?

第11図以下の指し手
△7一歩 ▲7三飛成 △4四銀 ▲5四桂打
△5一歩 ▲4二桂成 △同銀 ▲4五歩(第12図)

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△7一歩に▲7三龍と指されたことでちょっかいをかけることには成功したのかなと思いましたが、結局△5三とがきついので銀を逃げるしかないです。それにも△5四桂が厳しいので後手大ピンチです。

がつがつと厳しい手が入っていく中で、▲4五歩と指されました。王手龍取りの△5五角が生じますが、果たしてこれは誘いの隙なのでしょうか…?

評価値:5億ノード 先手勝勢(+2580)

お祈り

第12図以下の指し手
△5五角打 ▲同馬 △同銀 ▲5三と
△同銀 ▲同龍 △5二香打(第13図)

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誘いの隙でした。相手の馬を消せたものの、▲5三とが入ってしまい後手玉周辺が壊滅状態です。△5二香はお祈りの手です。詰まされても・寄せられてもおかしくないことは分かっていましたが、間違ってくれ…と祈ってました。

評価値:5億ノード 先手勝ち(詰み13手)

流れは続かず

第13図以下の指し手
▲4二金打 △2一玉 ▲3一角打 △2二桂打
▲3二銀打 △1二玉 ▲4三金 △同金
▲同龍 △2四金打 ▲2一銀 △1三玉
▲2二角成 △同玉 ▲3二龍 △1三玉
▲1二金打(投了図)
まで、119手でうりゅんさんの勝ち

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祈りは届かず、ペタペタ駒を打って粘るものの、最後は的確に詰まされてしまいました。粘っている間は、どうにか凌げないものかというのも考えてはいましたが、どこで間違ったんだろう…という思いが頭の中をずっとぐるぐるしていました。

対局を終えて

序盤:金無双急戦は1週間で身に着けた付け焼刃の状態だったので、仕掛け周辺は実戦・棋書・ソフトを用いてしっかり学んでいかないとなりません。本譜は結果として悪い流れにはならなかったので、及第点…?という感じですかね。

中盤:途中までは上手く指せてはいましたが、現状の課題である「良くなってからの指し回し」はまだまだ難ありといったところです。もちろん、課題が課題なのですぐに解決するということはまずないのですが、普段の24なども含めてこうもたくさん捲られてしまう将棋が多いとやっぱりしんどいです。

終盤:2手連続のうっかりをしてしまってからはいいところなく負けてしまいました。もう少しお上品な粘りができないものか…なかなか難しいです。それでも、目標通りにそういう場合でもしっかり時間を使って考えられたのは良かったかなと思います。

ということで、5回戦は負けでした。うーんめっちゃ悔しい。悔しいのですが、課題に関しては地道に改善していくしかありません。星取りも相変わらず一番下なのですが、これが今の実力かなという感じです。だからといって、まだ降級などなどが決まったわけではないので、ここからの対局は全部勝つぞの気持ちで向かっていけたらなと思います。うりゅんさん、改めて対局ありがとうございました!


最後に…対局相手のうりゅんさん(対局時間を変更してくださり本当にありがとうございます)、対局を見てくださった方、この自戦記を読んでくださった方、指す将順位戦の運営さんに圧倒的感謝。

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