ある日、家が燃えた3

私たち家族は首都圏の田舎に引っ越すことになった。

その時住んでいたところからは車で一時間くらいの距離。

家も新築。おやじが土地を買い家を建てたのだ。

小学校5年生。友人も多くこのままここにいたかったが、親が決めたことなのでしょうがない。
「田舎にいくのはいやだ」とは言わなかったと思う。それよりも期待のほうが大きかった。
新しい家、新しい環境、新しい友達。
緑が豊富で目の前にきれいな川があり、そこには沢山の魚が泳いでいて、季節になると釣り人がたくさんやってくる。

ちなみに私の妹にはその魚の名前が入っている。

そんな場所。そんなきれいな場所。

6年生になるタイミングでそのきれいな場所に引っ越した。

初登校では恥ずかしながら両親がついてきた。

帰りも迎えに来たが、すでに友人ができていたので、私は友人と帰ることに。家も近く、すぐに仲良くなった。

クラスは二クラスあり、私は6年2組となる。
一週間ほどすると、身の回りでなにか変なことがおきる。

帰るときに靴がない、友人と階段を上がっているとぶつかられる。

私は隣のクラスから好かれていなかったようだ。理由は「かっこつけやがって」だという。

確かに初めての転校で恥ずかしかった私は帽子を目深にかぶり、挨拶などはあまりしなかった。

また以前の学校には不良と呼ばれるような人はいなかったがこの田舎の学校には不良を取りまとめている人がいたようだ。

階段の踊り場で「俺はてめーをゆるさねーからな」と言われた。私が何をしたかは覚えていない。

私のいるクラス内では平和に過ごせたのだが、一歩外にでると修羅場が待っている。クラス内にとどまっていると、隣のクラスから彼らがやってきて「でてこい。」と呼び出される。そしていたぶられる。

クラスの友人たちも怖くて手が出せないようだった。
そんなのは友達ではないという人が言うかもしれないが、私にとってはかけがえのない友人だったし、呼びだされた私には何もしてくれなかったけれど、ボロボロになって帰ってきたときには優しく迎えてくれた。

その田舎には人間の上下関係があり、そこには誰も入れないしきたりがあるのだ。友情では片が付けられないことがたくさんある。子供が声をあげても蚊の鳴く声よりも小さい。

しかし、私にとってとても良かったことはそんな私を友人として一緒に遊んでくれる人がいたことだ。
近くに住んでいる彼も毎日遊んでくれたし、養鶏場の社宅に住んでいる彼らも週末はよく遊んだ。しかし、養鶏場に行くまでにやられてたどりつかないこともあったが。

ある日友人と二人で学校から帰宅していると、一台のバスが横を通りすぎた。何気なくバスの方を見たと思う。

次の停留所にバスが停まった時にぞろぞろと中学生たちが降りてきて私の前に。「お前、俺らにガンつけただろ」

友人は「俺、先帰ってるな。」と言った。

町に唯一の本屋がありその裏の公園に連れていかれた。5,6人いたと思う。結構長い時間やられた。

公園の砂場で倒れていると、書店の二階の窓が開いた。

同じクラスの女の子。私は彼女のことが好きだった。

「だれか呼ぶ?」

「大丈夫。」


何かが壊れたような、何かが終わったような。どこか遠くから大きな音が聞こえるような。そんな気持ちになった。

つづく

(一旦終了)





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