ある日、家が燃えた2

黒焦げになった家には住めないので私は友人の家によく預かってもらった。

友人の兄弟は4人、私が入って子供は5人。
長男が私と同じ小5、その下に小4、小3と続き、末っ子は小1くらいだっただろうか。

友人のお母さんはとてもさばさばした方で、私を本当の息子のように扱ってくれた。
私には妹がいるのだが、この時まだ生まれてないので、ほぼ一人っ子のようにして過ごしてきた。
それが急に4人の兄弟ができた。
喧嘩などは日常茶飯事、私は心構えができていなかった。

理由は忘れたが、末っ子と私が喧嘩になった。
おなかを強く蹴られ、泣いた。
小5が、小1に負ける。

痛いおなかをさすりながら、薄いジャンパーの袖で鼻水と涙を拭きながら黒焦げの家に一人で向かった。

焦げ臭いにおい、張られた黄色いテープ。水浸しの家の中。

誰もいない。

涙があふれた。

私には心構えができていなかった。

つづく


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