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野田元首相の追悼演説

昨日、スマホで
野田元首相の安部元首相への追悼演説の全文を読んだ。

 泣けた。

なんて素晴らしい追悼の言葉なのだろうと思った。

 ここは政治思想とかそんなことはまったく関係なく、
ひとりの人間に対する追悼の言葉という点から見てみたい。

  なぜ私の胸を打ったのだろうか。
そこには故人に対して心からの哀悼の、死を惜しむ気持ちが溢れていた。

 そして行く道の違う政党の代表同士の対峙を振り返る。
平成24年の党首討論。
解散を明言した野田氏。その後の丁々発止のやり取り。


「互いの持てるすべてを賭けた真剣勝負」と野田氏は言う。
政治の真価とはこういうやり取りに現れると思う。

 「再びあなたと言葉と言葉、魂と魂をぶつけ合い、
火花散るような真剣勝負を戦いたかった」

 そして、そのあと、
「勝ちっぱなしはないでしょう、安倍さん」と続ける。

 この言葉は、SNSニュースではタイトルになっていた。
テレビで見たが、この言葉だけ「話し言葉」だった。

  二人は議員として同期だそうだ。
同じ時代に政治の場で闘い合った。
そんな二人の間にある「同志」感を感じさせるエピソードもあった。

 野田氏は昔の演説中に、
「首相たるもの、途中でおなかが痛くなってはダメだ」と病気を揶揄したことを謝る。

 そこも言わずにおられなかったのだと思う。

 追悼演説ではあるが、故人を善き人とだけは言ってはいない。

「安倍晋三とはいったい、何物であったのか。
国に残したものは何だったのか。
私はあなたのことを問い続けたい
強烈な光もその先の影も
言葉の限りを尽くして問い続けたい」と言う。

 光も影もこれからも問い続けなければならない。
ここが国民が一番望んでいることだと思う。

 最後に議員に向けて
「暴力にひるまず街頭に立ち、
民主主義の基である、自由な言論を守り抜いていこう」と鼓舞する。


 この演説を読み、そして聞き、私は「人間って何だろう」と思った。

 人は自分と違うとすぐに敵にする。
 政治でも違う考えの政治家や政党に対して攻撃的なことを思ったりする。
私も、安倍さんに対して同じように思っていた。

 でも、思想や意見の違いを超えて、
人そのものの尊厳は誰にでもある。
そこは認めなければならないのではないか。

 きれい事と言われるかもしれない
そんなことできないと言われるかものしれない。

 でも、そう考えることで少し心に余裕ができるような気がする。

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