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TIG溶加棒、電極とトーチの国内外規格

産業溶接でなく、ガレージ溶接の話です。国産溶接機は3ミリ厚以上の仕事に特化して発達してますので、専業として溶接するのでなければ買う溶接機はヤフオクやamazon、日本の会社のだけど機械は中国製 が多いと思います。海外のハイブランドにはガレージ用途向けにもちゃんとした機械がラインナップされているんですが、日本でハイブランド溶接機を売る気があるのは独自技術CMTのフローニアスくらいでしょうか。
ガレージTIGを買い、例えば紹介動画をYoutubeに上げたらもう満足、仕事でTIG溶接の資格が必要でない限り、カスタム屋改造屋はよほど暇でないと練習に時間割くことがないから人に見せられるほど上達はないのが普通ですよ。道具購入にスキルが付いてくるという幻想を抱きがちですが、TIGは設定パラメータやコツが多すぎるから特に顕著。

タイトル画像はアマゾン経由の海外のアルミ5356溶加棒、お尻の端面の色はJIS規格(緑)なので無いです。むしろ数字が刻印してあったほうが色から数字を想起する必要がなく楽です。キャストアルミやA6061でエンジンオイルや冷却水が回るパーツの溶接に使う4043(JIS朱)とどちらかを使うと思いますが、色や数字見るより落っことして澄んだチーンシャリン音が5356、4043はボスっみたいな音で鑑別したほうがかんたんかも。

TIG電極の情報をググったり動画でみると「トリタンが放射性物質なので今はセリタンかなあ、あとアルミには純タン」ですね日本だと。資格持ちで溶接工として仕事してる人もアルミ溶接の資格は持たずよく知らないのかも。日本溶接協会にアルミ溶接は含まれず、軽金属溶接協会の守備範囲、というか前者はアルミ溶接のやりかたや材料選択について語る資格がないので電極の選択について「2%ランタンは直流の数値位置制御溶接で使います」とか。そのくせ「純タンは交流アルミ溶接に」って書いてますけど。
海外のクルマバイクカスタム方面ではランタンが好まれますし、わたしも1.5%と2%をそれぞれスチールとアルミで使い分けています。今は「ただしインバーター式に限ります」と書く必要ないですよね、中国製TIGが安く入手でき、国産3相電源の40年ものサイリスタ300A溶接機を買う理由が希薄ですから。色は金と青なんですが、

2%ランタン電極

日本での色は青でなく黄緑なんだそうです。わたしがスチール用に使っている1.5%ランタン(金色)のJIS規格は無い。

ISOとJIS

日本語話者の溶接系youtuberがTIG電極のうんちくふろしき広げのため日本語資料にあたっても1.5%ランタンは載ってないから語られることはないのですね。1.5%ランタンでのスチール溶接は問題なく使えるだけお勧めしてるわけではないですけど、2%ランタンでの交流アルミ溶接は良い選択だと思います。
そして日本では割と使われてるというセリタン灰はアメリカではオレンジ。

ISOとAWS

これ、まとめた表を誰かが作ってないんですかね。↑のはWikipedia英語版にあったのですが、ウィキペディア日本語版にはこの表はないし、当然JISとの対比表もない。わたしが編集してくるか笑 日本語版はアニメテレビアート方面以外の情報はしょぼく衰退気味でとうとう左列に表示されてた他言語へのリンクを隠してしまいましたね。英語から日本語のリンクは以前のままなのに。

続いてトーチ。日本ではパナとダイヘンそれにラメールなんだそうです。最後のはアメリカのウェルドクラフトブランド、今はMillerブランドになってしまい国内2大溶接機メーカーへの配慮を考えるとMillerロゴありは売りにくいようで独自のロゴマークをつけてますね。売る際に国産機に挿せるプラグにしないといけないから、おつきあい大事。
ガレージで使うクラスなら単相200Vで200Aクラス、付属してくる空冷トーチが標準的なサイズです。これより小型のも割とメジャーで、2種あるのを把握し、大きいほうを選択すれば大丈夫かと。小さいほうのトーチは空冷だと125Aくらいが上限ですが水冷ならば200A溶接機スペックいっぱいでも使えます。大小トーチのコレット等は互換しません。300A機で使うもっと電流を流せるトーチについては何も知りません。200A機にはオーバースペック&デカくて重いので選択する理由はないです。
日本製でない機械につけるならパナダイヘン日立方面は考慮する必要なくて、外国でよく売れてるものを選び、アマゾンやaliexpressの安い中国製でいいのでは。買ったことないですが、うちのCKも中国で作られてるはず。日本メーカー以外のTIGトーチはほとんど全てがWeldcraft互換、消耗品が統一されています。機械側はDINSEコネクタだと楽ですが、そうでない場合、ガス接続は日本国内でもボンベレギュレータコネクタ規格が統一されていないくらいですから、買ったものを繋ぐのは割と大変かも。ボンベ口関東型関西型とか言いますけど、関西よりはるか西でも関東型の地域があり、溶接機一式をネット通販だけで立ちあげる場合の落とし穴です、というか通称そのものを変えるべき。

まとめ

日本の溶接は鎖国保護囲い込みで進化してきて互換性が乏しいし、ガレージでの溶接機クラス方面展開が貧弱なので、国内メーカーの製品だけでなく溶接のJIS規格から無視すると楽です。消耗品は海外では共通規格、通販で買えますから。

そして中国産の溶接機や溶接面に自社ロゴを貼り、という輸入販売を主体にしている会社は、youtuberへのレビュー依頼で手広く宣伝してますので鵜呑みにしないこと。売れそうな製品を買い付けた後は営業宣伝以外にやることがないでしょうしね。日本だけでなく世界中どこもそうです。このごろは逆にyoutuber側から脇が甘そうな会社への営業で「宣伝しますよ」も増えてる気が…
溶接仕事方面のyoutuberたちによる資格試験溶接のコツやら開先上向きとかのがたくさん転がってますがクルマバイクカスタムは薄物主体なので、あんま参考になりませんよね。とくにアルミだと資格試験が別団体で、資格両方保持ならいいんですが。どちらも試験母材厚さ3ミリが薄物です。