「一杯のコーラ」

先日こんな記事を見つけました。

異なった視点で見るケアマネージャー

■1杯のコーラをめぐり、ケアマネ間の意見が対立 ケアマネの深川さん(40代・女性)は、主任ケアマネの中西さん(50代・女性)が経営する居宅介護支援事業所に所属しています。深川さんは30代前半でケアマネ資格を得ましたが、子育てのため一度引退。その子どもが中学に入り、時間に余裕ができたため、半年ほど前に中西さんの事業所に入り、ケアマネ復帰を果たしたのです。 しかし、最近になって所長の中西さんとケアの方向性をめぐって意見が対立することが多くなり、別の事業所に移ることを考え始めたといいます。意見が対立した一例を話してくれました。 「私が担当する利用者さんに、79歳の男性の方がいます。要介護3でほぼ寝たきり。糖尿病の持病があります。その利用者さんの大好物がコーラなんです。あの香りと炭酸の爽やかさがたまらない快感で、コーラを飲んでいるときが至福のひとときだとさえいいます。しかも、シュガーレスではなく、砂糖が入った昔からあるコーラがいいという。私も糖尿病の人に砂糖入り飲料がいけないのはわかっています。それをご本人にも伝えました。 でもその方は、体の自由も利かなくなったいま、ほかに楽しみは何もない。最後に残った楽しみがコーラを飲むことなんだと懇願されるんです。そこまでいわれれば禁止するのもどうかな?と思うわけです。その方の糖尿病の症状も安定しているし、食事の糖質を少なくするとか、甘いお菓子などを控えることで糖分を制限することもできる。ご本人にも、その我慢をしてもらうことを条件に、1日に1杯だけコーラを飲んでもよいことにしたんです。 それが中西所長の耳に入り、ひどく怒られました。『糖尿病の人にコーラなんてありえない。それが原因で利用者さんの症状が悪化したらどうするの? ケアマネ失格ね』とすごい剣幕。でも、私なりの考えがあってしたことなので、一方的にそういわれるのは納得がいきませんでした」 深川さんと中西所長のふたりを知るベテランケアマネが、この食い違いを説明してくれました。 「深川さんは介護福祉士からケアマネになった人、中西所長は看護師からなっている。この違いがケアに対する考え方や方向性の違いとなって表れることがよくあるんです」

相容れない介護福祉士と看護師

ケアマネ試験の受験資格は、一定の国家資格を取得したうえで、5年以上の実務経験を積むことで得られます。この国家資格は21種ありますが、じっさいにケアマネになる人がもつ資格は限られます。介護福祉士、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士です。その割合は先にも説明したとおり、介護福祉士6割、看護師2割、残る2割が社会福祉士と精神保健福祉士。この出身資格によって、ケアの考え方が異なる傾向があるそうなのです。 ベテランケアマネはこの一件について、こう語ります。 「もっとも異なる傾向が見られるのは、介護福祉士と看護師です。介護福祉士出身者は介護施設などでの実務経験を積んでいることもあって、利用者の生活を重視する傾向があります。いっぽう、看護師出身者は医療従事者の視点でケアを考えます。 ケアプランにしても、介護福祉士出身者は課題解決型のケアに重きを置く。ホームヘルパーによる身体介護や掃除、洗濯、買い物といった生活援助、体を洗ってスッキリしてもらう訪問入浴などです。 そして、看護師出身者は自立支援型のケアを重視します。体調や病状のチェックを重んじるため、訪問看護師を入れたがりますし、機能回復のためのリハビリ、大勢の人のなかで刺激を受けることで回復につなげるデイサービスを組みこむ傾向があるわけです。 わかりやすく表現すれば、介護福祉士出身者は利用者さんをできるだけラクに快適にする方向性をもっているのに対し、看護師出身者は少々つらさをともなっても利用者の状態を良くしようとするのです。深川さんと中西所長の食い違いがまさにそう。介護福祉士出身の深川さんは利用者さんが大好きなコーラを飲むことを容認し、喜びを与えました。でも、看護師出身の中西所長は、医療的見地からそれが許せなかったわけです」 深川さんは、こう語ります。 「所長にいわれた以上、従うしかありませんから、コーラを飲むことは禁止になりました。数少ない楽しみを奪われた利用者さんは、笑顔を見せることが少なくなったような気がします。もちろん医療的裏づけがあるケアは大事です。でも、利用者さんに喜んでもらうことが元気につながることもあると思うんです」 医療的ケアを重視する中西所長のもとでは、自分らしいケアができないと感じた深川さんは、ほかの事業所に移ることを考えるようになったそうです。

資格によって明確な違いあるケアマネ

■以前の職種によって異なる「介護のとらえ方」 ところでケアマネの出身国家資格のうち残るふたつ、社会福祉士と精神保健福祉士の出身者はどのような傾向があるのでしょうか。ふたたびベテランケアマネによる解説です。 「社会福祉士は高齢者の介護だけでなく、医療や児童、障害者の福祉など社会福祉全般に精通していますから、その出身者は客観的な視点でケアを考えることができ、問題解決能力にも秀でていると思います。精神保健福祉士は精神障害者に対する相談や援助の実務を経験しています。弁が立ちますし、やはり問題解決能力がある。メンタルヘルスにも通じているので、悩みを抱える介護者にとっては良き相談相手になってくれるはずです。 ただ、両者にはウイークポイントもあります。介護現場での経験がなく、オムツ交換をしたことがない人が少なくないことです。つまり要介護者に対する細やかなスキルに欠ける面があるのです」 出身資格によって、こうした傾向の違いが出るのは仕方がないことです。しかし、本当は偏よることなく、バランスのとれた考え方ができるケアマネがいちばんいいとベテランケアマネはいいます。 「ケアマネは研修を受ける機会が多いんです。研修では数多くのケアマネと知り合いますし、そのなかには自分とは異なる国家資格出身者もいる。そうした人たちとケアに対する考え方や方法論を語り合い、良いものは取り入れるといった学びの姿勢をもっている人が良いケアマネといえるのではないでしょうか。中西所長のように、看護師の視点しかもたない人はダメなケアマネだと思います」 ともあれ、出身国家資格によって傾向の違いがあることはたしかです。担当ケアマネと話をするとき、何の国家資格をもっているのか、それとなく聞いてみるのも介護をつづけていくうえで参考になるはずです。


この例は極端過ぎる気がしますが、これを読んだとき、私は利用者さんには自分の状態、コーラを飲むことのリスクをよく理解してもらった上で、唯一の楽しみであるコーラを一杯飲むのはいいんじゃないかと思いました。

失礼ながら79歳という年齢も考慮しなければならないかと思います。あとどれぐらいいきられるのかわかりませんが、私がその立場なら、「自分の人生の最後ぐらい自由にさせてやー。唯一の楽しみのコーラで幸せになりたいんねん!」と逆に隠れてがぶ飲みしそう、、、。

本でしかケースは読んでいませんが、こういうのは何が正解というはっきりとした答えはなくて(各専門職の知識がどれも正解!)、みんな?が納得するしかないんじゃないのかと考えました。

これが仏教でいう「中道」なのかなとも思いました。ベストな選択をするという意味です。

こういう問題って本当に難しい!
みんなどうやってこういう問題を乗り越えているのかな?
いろんなケースを読みましたが、結局どうなったのかは書いていないのです。心の中にモヤモヤがたまる一方。結局、自分の中で「中道」を探るしかないのか、、、。

お釈迦様ならなんて答えられるだろう?


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