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アル・・お話

ヘッダー画像:アレクサンドロス大王
(1201文字)

我々がお世話になっているキーボードの下の方に「Alt」と書かれたキーがあるかと思います。
これは
「alternate(オルタネート)」
の略で、このキーと文字キーを同時に押すことにより、単独で文字キーを押した場合とは「異なる」効果をもたらすキーです。
この「alternate」の仲間には
「alien(エイリアン=異星人、異邦人)」
「alibi(アリバイ←異なる場所)」、「alias(エイリアス=別名)」
「a」が「e」になっていますが
「else(エルス=他の場合)」などがあります。

スペイン語の冠詞
「el(エル)」
やアラビア語の冠詞
「al(アル)」
もこれらと同源です。元来は「(自分とは異なる)向こう側の」という指示語でしたが、次第に定冠詞としての地位を確立しました。
スペイン語は男性単数形が
「el」
女性単数形が
「la(ラ)」
男性複数形が
「los(ロス)」
女性複数形が
「las(ラス)」
と変化しますが、それぞれ
「El Salvador(エル・サルバドル=救世主)」
「El Dorado(エル・ドラド=黄金郷)」

「La Paz(ラ・パス=平和)」
「La Plata(ラ・プラタ=銀)」
「Los Angeles(ロス・アンジェルス=天使)」
「Los Alamos(ロス・アラモス=ポプラ)」
「Las Vegas(ラス・ベガス=牧草地)」
などの地名に含まれています。

一方のアラビア語の冠詞を含む単語には、
化学用語の
「alkali(アルカリ)」
「alcohol(アルコホル=アルコール)」
「alchemy(アルケミー=錬金術)」

数学用語の
「algebra(アルジェブラ=代数)」
「algorithm(アルゴリズム)」

天文用語の
「almanac(アルマナック=暦)」
「Altair(アルタイル=鷲座の一等星)」
「Aldebaran(アルデバラン=牡牛座の一等星)」
などがあり、
中世ではヨーロッパよりもアラビア世界の方が科学が進んでいたようですね。

イスラム教の神
「Allah(アラー)」
も英語に直訳すれば「the god」の意味で、唯一神であることを示唆しています。
テロ組織
「Al Qaeda(アル・カイダ=基地)」
やカタールのテレビ局
「Al Jazeera(アル・ジャジーラ=半島←カタール半島)」
の名もすっかりお馴染みですね。

因みにアラビア語で「Alexandros(アレクサンドロス)」大王のことを「Iskandar(イスカンダル)」と呼びますが、これは最初の「Al」を冠詞と勘違いしたことによるのだとか。「イスカンダル」と言えばあの宇宙戦艦ヤマトがコスモクリーナーを手に入れる為に目指した天体ですね。

またあの
タリバン
の本拠地であったアフガニスタンの
「Kandahar(カンダハル)」
「Alexandros」の意味です。


語源探求の旅は果てしなく面白いです。


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