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東西日本のはじまり

米露の緊張に挟まれ、経済的にも地理的にも危険極まりない日本。
モノ言えぬ政府は、新たなカリスマの登場を渇望していた。
とはいえ、国内で程度の低いいざこざを繰り返す政治家たち。
どの党がカリスマを排出できるのか?

そんな中で(他よりは)柔軟な思想を持つ党は、弁がたち、得意分野を持ち、熱烈なファンを持つYoutuberに目を付けた。

お経を聞くかのような退屈な政見放送。
中学生さえ失笑する滑稽なヤジや牛歩戦術。
危険極まりないうえに、それほどの意味のない街頭演説。

脂ぎったオヤジさんや、モテないコンプレックスを政治にぶつけるオバちゃん政治家。
彼らの話より数百倍ポジティブなYoutuberのコンテンツ。
彼らに政見放送やらのプロデュースを打診したのは、遅ればせながらの英断だった。

しかし、出演者が変わらず中高年では効果も伸びない。
政権を獲得したい党首はついに、立候補者にYoutuber自身を登用した。

新たな候補者たるYoutuber達は、自らの得意分野に政治を紐づけて、ファンを囲い込む。
しかし協調性に欠ける彼らにとって、一同での国会討論などいらない。
各々が自分のYoutubeチャンネルで、国の未来を語る。
視聴者数は既存の数をはるかに上回り、選挙は空前の盛り上がりを見せる。

彼らを追いかけて、若手官僚たちもYoutubeという同じ媒体で、笑いを交えて親近感を醸し出して対向するが、なにせIQが高く、固い論調。即座に世間からそっぽを向かれる。

そして投票日。この時代にあって投票などは必要なく、再生回数の多さで当選を決める。
1位:Junya
https://www.youtube.com/@junya1gou
2位:さがわ
https://www.youtube.com/@sagawa
3位:いっせい
https://www.youtube.com/@issei0806

彼らのコンテンツの意味の分からなさに、各国の首脳は「いまだ!」とばかりに日本に攻め込み、一瞬にして両国の属国となった。
東日本は中国の傘下に。西日本はアメリカの傘下に。

まだ、ヒカキンやらひろゆきやらはじめしゃちょーやら、会話のできる候補者の登場に期待していた旧政治家たちは、予想よりずっと進んだアヴァンギャルドさに、白旗をあげた。

とはいえ、対する諸外国も、似たようなもの。
地球は一気にエイリアンに征服された。


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