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新・日本国憲法(私案)

<この憲法私案を作るにあたって>

この新憲法の理念は

<真の国民主権>

1・本当の意味での国民主権となるため、憲法の主語はわたしたち国民です。わたしたち国民が自分たちで国のルールである憲法を定め、自分たちを律する、いわば、自律憲法となります。

2・政府を含めた全ての国家権力は主権者である国民が委託したものとしています。これまでは委託されたとあり、国権が主語となっています。あくまでも国民が主体となった考え方にしました。その分、国民は自分たちの責任もきちんと考える必要があります。

<基本的人権の尊重など、これまでのよさは引き継いでいく>

変える必要のない部分は積極的に残していきます。基本的人権の尊重をはじめとした、各種の権利は当然引き継がれていくべきです。

<平和主義>

今後無駄な議論をしないように、自衛隊ではなく、日本防衛軍という記述にし、国際協力や国土防衛を明記しました。ただし、そのうえで絶対に侵略戦争などを起こさないという決意を新たにします。

政府が決めるのではなく、国民が決めて、それを政府に守らせるための憲法という考え方をしたつもりです。

ただ、現在の日本国憲法を下敷きにしており、まだまだ齟齬やこなれていない部分もあると思います。まずは、たたき台となれれば幸いです。


新・日本国憲法(私案)


わたしたち日本国民は、長い歴史と文化、豊かな自然を持つ日本国の住人であり、それらを愛し、子孫へ永遠に受け継げられるよう誇りをもって行動する。そのためにも、平和を愛するさまざまな国や地域と協力しあい、再び戦争の惨禍がおこらぬように、侵略戦争については永久にこれを放棄し、固有の領土については団結してこれを守ることを誓う。

日本国民は、生まれながらにして平等であり、それぞれが自由で幸福を追求する権利を持っている。それら、基本的人権と呼ばれる諸権利を互いに尊重し、自ら守るよう努力する。

日本国の主権者はわたしたち日本国民であり、主権者としての自覚と責任において、平和と社会の秩序を維持し、それぞれの権利が守られるよう努める義務を持つ。

わたしたち日本国民は、国民の代表である政府を直接選挙により選び、国政を委任する。政府は国民の代表であることを自覚し、国家および、全ての国民の安全と、国土、資源、環境の保全に全力をつくす。また、社会秩序の安定に努力し、他の国々や地域と友好的な関係を保ち、互いに協力しあい、平和を保つよう努める。国会は、同じく国民の直接選挙により選ばれ、それぞれの地域の意思を代表し、立法権を持つとともに、政府が権力の濫用しないように監視する。司法府はこれらを法の番人として公正に審査することにより、権力の偏りを防ぐ。

わたしたちは、この憲法により自らを律し、世界の平和と繁栄に貢献するとともに、次世代に誇れる日本国を築きあがることを宣言する。





第一章 天皇
〔天皇の地位と国民主権〕

第一条 天皇は、主権者である日本国民の象徴として国家元首の地位につく。その地位は、主権者である日本国民の総意に基く。

第二条 主権者はあくまでも国民であり、天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。国事に関する行為は法律の定めるところにより委任することができる。

〔皇位の世襲〕

第三条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

〔政府の助言と承認及び責任〕

第四条 天皇の国事に関するすべての行為には、国民の代表である政府の助言と承認を必要とし、政府が、その責任を負う。

〔摂政〕

第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行う。この場合には、前条の規定を準用する。

〔天皇の国事行為〕

第六条 天皇は、政府の助言と承認により、国民のために、以下の国事に関する行為を行う。


一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

二 国民会議を召集すること。

三 政府および、国会議員の総選挙の施行を公示すること。

四 選挙の結果に基づき、政府担当者および法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

五 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

六 栄典を授与すること。

七 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

八 外国の大使及び公使を接受すること。

九 儀式を行うこと。

〔財産授受の制限〕

第七条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。


第二章 平和主義

〔平和主義〕

第八条 日本国民は、世界の平和を誠実に願い、日本の固有の領土や日本国民の生命や尊厳が脅かされた場合を除き、戦争および武力による威嚇や武力の行使は、永久にこれを放棄するとともに、平和のための最大限の努力を行う。

〔領土などの保全と、および国民の生命・自由・財産・尊厳などを守るため活動〕

第九条 日本国民および政府は、主権と独立を保ち、子孫へ平和で豊かな国を残すため、日本の固有の領土・領海・領空、それに付随する資源や環境を保全し、国民の生命・自由・財産・尊厳を守る義務を持つ。

〔日本防衛軍〕

第十条 日本国は、第九条の目的のための防衛軍をもつが、その目的以外の国の交戦権は、これを認めない。

2.防衛軍は政府の指揮下にはいり、行動、任務の遂行には法律の定めるところによる統制と国会の承認を必要とする。

3.ただし、国内における災害などへの対応や人命救助に関わる活動については、政府の指揮による緊急行動を可能とし、国会へは事後報告を行うこととする。

4.その他、防衛軍の活動内容については法律の定めるところによる。



第三章 国民の権利及び義務
〔国民としての要件〕

第十一条 日本国民としての要件は、法律でこれを定める。

〔基本的人権〕

第十二条 すべての日本国民は、生まれながらにして基本的人権をもち、憲法により保障される。日本国民および、政府や法律は、基本的人権を侵すことはできない。

〔自由と責任と公共福祉性〕

第十三条 この憲法が国民に保証する自由や権利は、わたしたち国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。また、自由や権利には、責任や義務が伴うことを自覚し、これらを濫用してはならない。公共の福祉(他人の自由や権利を害することや、日本国民全体として守るべき環境や文化、国土の保全、平和の維持など)に反することについては法律の定めにより、制限をうける。

〔個人の尊重と公共の福祉〕

第十四条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重される。

〔法の下の平等〕

第十五条 すべて国民は、法の下に平等であり、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

〔思想及び良心の自由〕

第十六条 思想及び良心の自由は、憲法により保障される。

〔信教の自由〕

第十七条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及び公的機関は、社会的儀礼や文化活動、習俗的行為として認められる場合をのぞき、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

〔集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護〕

第十八条 個人の持つ権利及び、公共の福祉に反しない限り、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

3.個人に関する情報や、秘匿事項については最大限保護される。法律の定める正当な理由がない場合には、これらを不当に取得したり、保有、開示、利用してはならない。

〔居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由〕

第十九条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

〔学問の自由〕

第二十条 学問の自由は、これを保障する。

〔家族関係における個人の尊厳と性の平等〕

第二十一条 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律により定める。法律は、個人の尊厳と憲法に定める自由や平等、基本的人権に立脚して、制定されなければならない。

〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕

第二十二条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

〔教育を受ける権利と受けさせる義務〕

第二十三条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。

〔勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止〕

第二十四条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う。

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3 児童は、これを酷使してはならない。

〔勤労者の団結権及び団体行動権〕

第二十五条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

〔財産権〕

第二十六条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。

3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。

〔納税の義務〕

第二十七条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。

〔生命及び自由の保障と科刑の制約〕

第二十八条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われるなどの刑罰または、社会的制裁を科せられない。

〔裁判を受ける権利〕

第二十九条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。

〔逮捕の制約〕

第三十条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、裁判所が発する犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

〔抑留及び拘禁の制約〕

第三十一条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

〔侵入、捜索及び押収の制約〕

第三十二条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、現行犯である場合をのぞいては正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。

2 捜索又は押収は、裁判所が発する各別の令状により、これを行う。

〔拷問及び残虐な刑罰の禁止〕

第三十三条 憲法に反する、拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

〔刑事被告人の権利〕

第三十四条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

2 刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国が被告人に代わって弁護人を依頼する。

〔自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界〕

第三十五条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。

3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされたり、刑罰を科せられない。

〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕

第三十六条 何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。

〔刑事補償〕

第三十七条 何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。


〔公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障〕

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問われない。

〔請願権〕

第十六条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

〔公務員の不法行為による損害の賠償〕

第十七条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。


第四章 三権分立と国民投票
〔三権分立〕

第十八条 国権である、行政権、立法権、司法権はそれぞれに独立し、それぞれが、権力の濫用を起こさないよう互いに監視する。

第十九条 行政権は、政治府に属し、立法権は国民会議に属し、司法は司法府に属する。

第二十条 政治府の総裁、国民議会議員は日本国民から直接選挙により選出され、主権者である日本国民の意思を代行する。司法府長官は、司法府内の選挙により選出され、主権者である日本国民により、国民審査を受ける。

〔国民投票〕

第二十一条 政治府は国民会議の発議により、政治府不信任の国民投票が要請された場合は、それを実施しなければならない。

第二十二条 日本国民は、国民投票を行い、有権者の二分の一を超える不信任投票があれば、政治府を解任することができる。


第五章 政治府
〔政治府の組織と責任〕

第二十三条 政治府は、日本国民の直接選挙で選ばれた政治府総裁とその他の国務相でこれを組織する。

2 政治府総裁その他の国務相は、文民でなければならない。

3 政治府は、行政権の行使について、日本国民に対して責任を負う。

〔政治府総裁の選挙〕

第二十四条 政治府総裁を選挙するにあたり、立候補者は政治方針を国民に明らかにした上で、その政治方針を実現するための複数の協力者と政治連盟を組織する。

2 国民は、政治方針と政治府総裁候補および、協力者を責任をもって判断し、政治連盟に対して投票をする。最も多くの票を集めた政治連盟の盟主が政治府総裁に就任し、政治府を組織する。

〔国務相の任免〕

第二十五条 政治府総裁は、国務相を任命する。但し、その過半数は、政治府総裁が組織する政治連盟の中から選ばれなければならない。

2 政治府総裁は、任意に国務相を罷免することができる。

〔不信任決議と解散又は総辞職〕

第二十六条 政治府は、国民議会で不信任の決議案を可決したときは、30日以内に国民投票を行い、不信任投票が有権者の過半数を得た場合は、速やかに政治府総裁選挙を行い、新しい政治府が組織され次第、総辞職をしなければならない。

〔政治府総裁の欠缺〕

第二十七条 政治府総裁が欠けたときは、30日以内に政治府総裁選挙を行い、新しい政治府総裁が決まり次第総辞職をしなければならない。

〔総辞職後の職務続行〕

第二十八条 前二条の場合には、政治府は、あらた政治府総裁が決定するまで引き続きその職務を行う。

〔政治府総裁の職務権限〕

第二十九条 政治府総裁は、政治府を代表して議案を国民会議に提出し、一般国務及び外交関係について国民会議に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。

〔政治府の職務権限〕

第三十条 政治府は、他の一般行政事務の外、以下の事務を行う。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。

二 外交関係を処理すること。

三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。

四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

五 予算を作成して国民会議に提出すること。

六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。

七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

〔法律及び政令への署名と連署〕

第三十一条 法律及び政令には、すべて主任の国務相が署名し、政治府総裁が連署することを必要とする。

〔政治府総裁および国務相の制約〕

第三十二条 国務大臣は、その在任中、政治府総裁の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

2 政治府総裁および国務相は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。ただし、総辞職した場合は、総辞職した日までの日割り計算により報酬を受けることができる。



第六章 国民会議
〔国民会議の地位〕

第三十三条 国民会議は、国の唯一の立法機関である。

〔国民会議の組織〕

第三十四条 国民会議は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

2 国民会議の議員の定数は、法律でこれを定める。

〔議員及び選挙人の資格〕

第三十五条 国民会議の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

〔国民会議議員の任期〕

第三十六条 国民会議の議員の任期は、四年とする。但し、国民会議解散の場合には、その期間満了前に終了する。

〔議員の選挙〕

第三十七条 選挙区、投票の方法その他、議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

〔議員の不逮捕特権〕

第三十八条 国民会議の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、国民会議の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

〔議員の発言表決の無答責〕

第三十九条 国民会議の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、国民会議外で責任を問われない。

〔常会〕

第四十条 国民会議の常会は、毎年一回これを召集する。

〔臨時会〕

第四十一条 政治府は、国民会議の臨時会の召集を決定することができる。国民会議の総議員の四分の一以上の要求があれば、政治府は、その召集を決定しなければならない。

〔総選挙、特別会及び緊急集会〕

第四十二条 国民会議が解散されたときは、解散の日から40日以内に、国民会議の総選挙を行い、その選挙の日から30日以内に、国民会議を召集しなければならない。

〔資格争訟〕

第四十三条 国民会議は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失わせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

〔議事の定足数と過半数議決〕

第四十四条 国民会議は、総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

2 国民会議の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

〔会議の公開と会議録〕

第四十五条 国民会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

2 国民会議は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。

3 出席議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

〔役員の選任及び議院の自律権〕

第四十六条 国民会議は、その議長その他の役員を選任する。

2 国民会議は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、会議内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

〔法律の成立〕

第四十七条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、国民会議で可決したとき法律となる。

〔予算の議決〕

第四十八条 政治府は予算案を国民会議に提出し、承認を得なければならない。

〔条約締結の承認〕

第四十九条 条約の締結にあたっては、政治府は国民会議の承認を得なければならない。

〔国政調査権〕

第五十条 国民会議は、国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

〔政治府総裁および国務相の出席〕

第五十一条 政治府総裁その他の国務相は、何時でも議案について発言するため国民会議に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

〔弾劾裁判所〕

第五十二条 国民会議は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。



第七章 司法府
〔司法権の機関と裁判官の職務上の独立〕

第五十三条 すべて司法権は、司法府及び法律の定めるところにより設置する裁判所に属する。

2 最高裁判所は、司法府内に設置し、司法府長官は最高裁判所長官を兼務する。

3 司法府長官は、裁判官による投票によって選ばれ、国民会議の総選挙の際に、国民審査を受ける。

4 前項の場合において、投票者の多数が司法府長官の罷免を可とするときは、罷免される。

5 審査に関する事項は、法律でこれを定める。

6 特別裁判所は、これを設置することができない。

7 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。

〔司法府の規則制定権〕

第五十四条 司法府は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。

3 司法府は裁判所に関する規則を定める権限を、最高裁判所および下級裁判所に委任することができる。

〔裁判官の身分の保障〕

第五十五条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことはできない。

〔最高裁判所の構成〕

第五十六条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成する。

2 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。

3 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

〔下級裁判所の裁判官〕

第五十七条 下級裁判所の裁判官は、司法府でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。

2 下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。

〔最高裁判所の法令審査権〕

第五十八条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

〔対審及び判決の公開〕

第五十九条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。

2 裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行うことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。


第八章 財政
〔財政処理の要件〕

第六十条 国の財政を処理する権限は、国民会議の議決に基いて、これを行使しなければならない。

〔課税の要件〕

第六十一条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

〔国費支出及び債務負担の要件〕

第六十二条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国民会議の議決に基くことを必要とする。

〔予算の作成〕

第六十三条 政治府は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

〔予備費〕

第六十四条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、政治府の責任でこれを支出することができる。

2 すべて予備費の支出については、政治府は、事後に国民会議の承諾を得なければならない。

〔皇室財産及び皇室費用〕

第六十五条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

〔公の財産の用途制限〕

第六十六条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

〔会計検査〕

第六十七条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、政治府は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

〔財政状況の報告〕

第六十八条 政治府は、国民会議及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。



第九章 地方自治
〔地方自治の本旨の確保〕

第六十九条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

〔地方公共団体の機関〕

第七十条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。

2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

〔地方公共団体の権能〕

第七十一条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。

〔一の地方公共団体のみに適用される特別法〕

第七十二条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国民会議は、これを制定することができない。



第十章 改正
〔憲法改正の発議、国民投票及び公布〕

第七十三条 この憲法の改正は、国民会議院の総議員の二分の一以上の賛成で、国民会議が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、国民投票において有権者数の過半数の賛成を必要とする。

2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。



第十一章 最高法規

〔憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守〕

第七十四条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

〔憲法尊重擁護の義務〕

第七十五条 すべての国民は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。

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