90年代とリッチーコッツェン

今月のヤングギターを見たらリッチーコッツェンが出ていて(ヤングギターにはよく出ているが)90年代に於ける自身のキャリアについて語っていた。

リッチーコッツェンといえば「歌も上手い、ギターは(プロの世界でも)上手い、ルックスもいい、作詞作曲もこなす才能溢れる男」…ではあるが。  

リッチー「90年代は僕にとって困難な時代でもあった」

90年代はニルヴァーナがグランジ革命を起こした丁度その時であった、髪を伸ばし煌びやかな格好をした早弾きギタリストは淘汰されることとなる。その煽りをもろに受けた1人がリッチーコッツェンである。

リッチーはポイズンというヘアメタルバンドに加入していた、しかし90年代になると「ポイズンに在籍していた」という事実が仇となる。mtvやレコード会社から無視されたらしい。「native tongue」というアルバムをリリースしたが、ニルヴァーナが台頭すると「もう君たちのビデオは流さない」と言われたらしい。バンド内のいざこざもあり、バンドを脱退する。

そしてリッチーは「Mather’s head’s family reunion 」をリリースする、このアルバムはかなりいいです、リッチーのソウルフルなヴォーカル、曲の良さスリリングなギターソロ、リッチーのアルバムの中でも最も良い部類に入る。

しかしこのアルバムもレコード会社がどのようにプロモーションすればいいかわからなかったらしい、グランジではもちろんない、速弾きはあるがコテコテのメタルでもない。白人でありながらソウルやブルース、R&Bファンクなどの要素が絡んでいるからだ。しかし日本では広く受け入れられたらしいが。

そしてリッチーは「what is」「something to say」「wave of emotion 」をリリースするがどれもこれもセールス的には振るわなかった。リッチー本人が気に入っている90年代のアルバムは「brake it all down」らしい、このアルバムはかなり渋い、リッチーは敢えてギターを弾きすぎず、歌に専念している、リッチーのヴォーカルが堪能できる。

自分が好きなアルバムは「wave of emotion 」でリッチーの歌の上手さ楽曲の良さ、ドラムの音が気持ちいい、アランホールズワースのようなフュージョンギターも聴ける、これもR&Bやファンクが炸裂する、かなりかっこいいです。

90年代ではまだテクニカル系のバンドやギタリストは日本では広く受け入れられていたような…自分はテクニカル系のバンドは聴くがソロアーティストは殆ど聴かない、リッチーコッツェンが良かったのコテコテのメタルではなく、ジャズやファンク、ブルース、ソウルのようなメタル系のミュージシャンには珍しい音楽性だったからである、オシャレな感じだったというか。

Mr.bigはポールギルバートが脱退するとリッチーは加入することになる、リッチーはMr bigは内部の人間関係がゴタゴタしており、レコーディングが終わるとやけになりジャックダニエルをがぶ飲みしていたらしい。

Mr.Bigでは「get over it」「actual size」を制作した、mr bigにフュージョン、ファンクの要素を持ち込んだ、ポールが在籍した時の楽曲より、玄人向きの音楽になったような。

この時期速弾きを封印していたリッチーだが「burn」のカヴァーでは凄まじいソロが聴けるギターを持っている人はコピーしてみよう(100%挫折するが)

しかしMr bigと同時にvertuというスタンリークラークが立ち上げたプロジェクトに誘われる、kissのコンサートを観た後マネージャーから電話がかかって来たらしい、スタンリークラークから譜面を渡されて「弾いてくれ」と言われたらしいが、「譜面なんて読めないよ(笑)」と言ったたらしい。

そしてアルバム「vertu」は凄腕ミュージシャン達の楽器バトルが聴ける。個人的にはバイオリンを入れたのが良かったと思う。ハードコアなフュージョンというか、アランホールズワースがプロジェクトから抜けてしまったのでその代役だったらしいが、例えば「the call 」という曲ではリッチーのギターとバイオリンのインタープレイは鬼気迫るものがあるし、「topasio.pt2」でもバイオリンとのスリリングなユニゾンが聴ける。「toys」ではスタンリークラークとのウッドベースとの掛け合いも凄い。

自分が初めて聴いたインストのアルバムだが、ジャケットもそうだが演奏そのものもマジでかっこいいです。必聴。

ジャズ界の大物とも共演し、才能という意味では否定しょうがないが、90年代は不遇な時期だったという、「ポイズンにいた」というだけでレコード会社から偏見の目で見られていたらしい。アルバムの売り上げもパッとしなかった。

しかしリッチーを救ったのはインターネットの存在である。ネットやsnsのおかげでMTVやレコード会社の思惑に左右されることなく再度注目を集めるようになり、人気に息を吹き返すようになる。ヨーロッパのツアーも行えるようになったそうだ。

2000年代のアルバムでよかったのは「return to mother head’s family reunion 」と「slow」だろうか、どちらもかっこいいです、自分は特にリッチーのヴォーカルがいいメタルシンガーにありがちなカラスのような甲高いヴォーカルではなく、渋く味のあるヴォーカルだ(何故売れないんだこの人は)

今はワイナリードッグでも活動、こちらはまだ聴いてませんが。

自分は基本的にテクニカル系のギターは嫌いではありません、その代表でイングヴェイマルムスティーンがいますが、彼の場合トレンドなどどこ吹く風かと言わんばかりですが。

彼の最近のアルバムはかなり批判されている、

「アルバムのサウンドがデモテープ以下」
「歌を自分で歌って予算をケチっている」
「手癖フレーズのオンパレード」
…など

一応最近のも聴いたが「サウンドがデモテープ以下」というのはよくわかりませんが、速弾きに関しては「イングヴェイってそもそもこういうアーティストだからいいんじゃね」という感じです。

「black star」や「far beyond the sun」「イカロスの飛翔」「brother」のような曲はもう作れなさそうだし、「seven sigh」のような名盤ももう作れなさそうだが…

90年代のアルバムでは「alchemy 」はいいと思う、イングヴェイらしい高難易度なギタープレイのオンパレードで、詩の内容はバロック時代を感じさせる内容となっている。「バロックアンドロール」というやつである。

話がイングヴェイになったが、不遇な90年代を過ごしたリッチーだが、いつの時代もテクニカルギターが好きな人はいるし、何気にこのジャンルが廃れることはないと思う。

2023月2月3日には新しいアルバムをリリースする。「III」というタイトルらしい。

動画は元return to foreverのスタンリークラーク、レニーホワイトと組んだvertu、曲は「top of the rain」と「toys」

ビートルズはまだしも前前回の記事が桑田佳祐で今回はリッチーコッツェンって…この統一感のなさがフォロワーが増えない原因だろう(笑)

しかし自分にとっては全く違うアーティストに見えてどちらも「凄い」という意味では同じなのである。

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