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Ron Sexsmith – Exit Strategy of The Soul

日本のプレイがあまりに不甲斐なかったために(ドイツも普段の迫力がなかった)、あのような戦いになったのだが、あの逆転劇はとても爽快だった。久しぶりに奇跡をこの目で(と言ってもモニター越しではあるが)見たと言ってもいい。

だが、カタールの人権問題に抗議する意を込めた試合前の口をふさぐドイツ代表のパフォーマンスには、なぜかいい気分がしなかった。ホイッスルが鳴った後も、頭のどこかでその理由を考えていたから、前半の日本代表チーム同様、あまり試合にフィットできずにいた。

そんな時にふと思い出したのが、「郷に入りては郷に従え」という諺。たしか、彼らの祖先も似たようなことを言っていたような気がするけど。みんな忘れてしまったのか。もしヨーロッパの人がイスラムの価値観を押し付けられたら、どんな対応をするのだろう? あの人たちは多分そんなことすら考えたことすらないんだろう。人権意識の高さを誇示するのなら、なぜ北京オリンピックの際、ウイグル問題には目を瞑ったのか。彼らが信仰していたのがイスラム教だったからか、と邪推もしたくなる。彼らのいう多様な価値観とは、つまり、自分たちが認める都合のいい価値観に限る、ということか。

「郷に入りては郷に従え」とはいうものの、お酒を好きなときに好きな場所で飲めないのは、ツライだろうなあ。とくに、あんな勝利の後で祝杯をあげられないなんて!  アルコールに関しては、日本が自由すぎるのだけど。ニコチンがあんなに制限されるのに・・・・・・。このアンバランスに誰も何も言わないのはなぜ? 不思議の国、ニッポン! 万歳!

というわけで、聴きたくなったのは、大好きなお酒をテーマにした歌。Ron Sexsmithが歌う”Brandy Alexander”だ。Feistとの共作による同曲には、2人のバージョンがあって、どちらも素晴らしいのだけど、なぜか僕はいつも彼のバージョンを聞いてしまうのだ。そういや、どうしてだろう。

ちなみに、Brandy Alexanderとは、その名の通り、ブランデーベースのカクテルの名前。甘口で飲みやすくて美味しいけど、アルコール度数は高め、という魅惑のドリンクである。主人公が恋い焦がれる女性は、そういう人なのだ。

https://youtu.be/aLmOVpztVVU

She's my Brandy Alexander
Always gets me into trouble
But that's another matter
My Brandy Alexander
彼女は、ブランデー・アレクサンダー。
いや、そりゃ大変だけど、それがなんだっていうんだ。
だって彼女は、僕のブランデー・アレクサンダーなんだから。

あ、そうか。僕が男性だから(しかも、こういう女性に振り回されっぱなしの)Ronヴァージョンの方がしっかりくるのか。女性なら、Feistバージョンの方がグッとくる人の方が多いのかもしれない。

この曲が収録された『Exit Strategy Of The Soul』は、『Retriever』『Cobblestone Runway』と並び、彼の最高傑作のひとつだと思っている。奇しくも、いずれもMartin Terefe(なんと読むのだろう)のプロデュース。まあ、全部素晴らしのだけど。


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