Harry Nilsson - Lost And Found
Harry Nilssonのレコードがしみる季節になった。昔から愛聴してきたが、聴くたびに発見がある。鑑賞者の音楽的成熟度にあわせて、異なる風景を見せてくれるのだ。優れた作品とは、そういうものなんだろう。
Lemon Twigsをはじめとする新世代の音楽家が現在最も影響を受けているのが、実はHarry Nilssonではないのかなとここ数年思っている。Van Dyke Parksのようなガチじゃなく、もっと偏執狂的で、キッチュなフィーリングが、2010年代以降「レトロ」志向にマッチするのだろうか。
ソングライティングはもちろん、サウンドプロダクションへのこだわり含め、唯一無二の才能をもつHarry Nilssonは、多くの音楽家の尊敬を集めるものの、音楽的なフォロワーを生むことはなかった。多分、真似してもそんなに売れないだろうし、そもそも真似も容易ではないから。
それが時を超えた21世紀になって、ようやくというか、なんでいま!?というタイミングで数々のフォロワーが頭角を現し始めているな気がしてならない。バーバンク的なサウンドや、ヴォードヴィル調のメロディ、楽曲構成、サウンドプロダクションなど、その影響は多岐にわたる。
この新作は、まだまだ僕の耳には馴染んでいないが、あと10年後、あるいは20年後に大切な一枚になるのかもしれない。
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