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Luther Russell - Medium Cool
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ディープサウス(日本の。しかも相当な山奥)に暮らしているせいか、近隣村民との会話で、「メンフィス・パワー・ポップ」なる言葉が出てくることはない。東京あたりなら、こうしたイケてるワードが飛び交っていたりするのかもしれないが。
ある特定のイメージを共有できるからこそ、言葉というものは流通するのであって、それらを共有する人びとの集まりがコミュニティなのだろうと思う。ということは、ここは僕の属すべき場所ではないのかもしれない。
冗談はさておき、例えばBill Lloydの昨年リリースされた『Working The Long Game』や、今年リリースされたLuther Russellの『Medium Cool』などの肌触り、あるいは音の嗜好性を、「メンフィス・パワー・ポップ」というワードを使うことなく端的に言い表すことは難しい。
「メンフィス・パワー・ポップ」という言葉から僕が思い浮かべるのは、以下のようなサウンドだ。
ビートリッシュな英国風味のウェルメイドなメロディをもつしっかりとした楽曲が、ブルージなフレーズややや粘り気のなるリズムなど、やや南部風のアレンジで演奏されるもの……。
と聞いて、Big StarやVan Durenを思い出してくれるような人が、村に一人でもいてくれたら……。そして「メンフィス・パワー・ポップ」の魅力を共有することができたら。こんなところにちまちまと書き記す必要などないのだ。
そういう意味で言うと、この『Medium Cool』は、紛うことなき「メンフィス・パワー・ポップ」である。”Raio City-esque”と評する米国メディアの記事を見かけたが、全体から立ちあがる“あの質感”は、やはり「メンフィス・パワー・ポップ」と表すべきもの。
などという、「メンフィス・パワー・ポップ」以外、何も書いていないに等しいテキストを読んで、深くうなづいてくれる方とは、初対面であっても美味しいお酒が飲めるにちがいない。あぁ。
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