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Liam Gallagher & John Squire (2024)


1980年代〜1990年代初頭のUKロックがすっぽりと抜け落ちているクソ田舎の農夫が、どうこう批評すべきアルバムではないのかもしれない。しかし、そんなアラフィフですら虜にしてしまうのがこの作品の不思議なところ。

どれくらいUKモノに無知であるかというと、このアルバムをストリーミングで耳にして気になったので、John Squireの名前をググってしまったほど。そんなことも知らずに、よくぞ今まで自称音楽好きとして生きてこられたな!という同年輩の声が聞こえてきそうだ。

その点に関しては返す言葉がない。10代から20代前半にかけては、主に米国の音楽を聴くのに忙しかったのだ、などと言ったところで許されはしまい。まあ、耳にしてたとしても、あの当時のUKモノを理解するための素養が僕にはなかったはずだ。

ちなみに、本作にハマって改めてThe Stone RosesOasisのアルバムや、関連作品をすべて聴いてみたが、やはり今もいまいちピンと来なかった。この30年何の進歩もなかったということになる、のか。

本作においてJohn Squireが目論んだのは、そんな教養のない自称音楽好きへのレクチャーだったのかもしれない。

「僕はね、本来こういうものに影響を受けてきたんだ。たとえばこのギターはどうだい? このフレーズや、この音色を聴いてごらん。そう、そうだ。『Revolver』だ。わかってるじゃないか! 僕が昔作ったアルバムにはそんな影響が隠されているんだ。表現方法がちょっと革新的だったから君にはわかりにくかったと思うけどね」

僕はこんなふうに言われた気がした。

門外漢に開かれた本作のような作品は、従来のファンには受け入れられなかったりするのが世の常。今作はどうなのだろう? 実に音楽的で、なおかつ親しみやすく、フックもある。わかりやすいメロディを支える骨太なドラムとベースがあって、歪んだギターがこれでもかと掻き鳴らされる--僕の大好物だ--そんなポピュラリティのある、ある意味懐古趣味的なロック・サウンドは、彼ら古参ファンには受け入れ難いものかもしれない。

と、書き終えて検索したところ、John Squireは本作で初の全英チャート1位を獲得したそう。僕のような田舎者がいっぱいいたということだ。


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