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Dan Baird - Buffalo Nickel

先の参院選が明らかにしたことがある。まずは、我々国民はネオリベラリズム的な格差拡大路線を選択したということ。さらには、税金は金持ちからとれ!とか、法人税を上げればいいじゃないか!とかいう耳障りのいい言説だけでは、もはや票を獲得できないのだということ。政治家には、その先にある国家像ともいうべきヴィジョンを説明する能力が求められている、ということでもある。

説明したって君たちはわからないじゃないか!とバカな政治家は思うかもしれないけれど、国民は奴らが思うほどバカではない。バカみたいなことを言うようだけれど、今一番大事なのは、「複雑な事情を端折ってわかりやすく伝えること」ではなく、「めんどくさいことを厭わずにありのままを丁寧に伝えること」なのだと思う。

弱肉強食のグローバル経済の中で日本という弱小の島国が、どうすれば今後末長く生き残っていけるのか。そうした戦略を包み隠さず提示してほしいのだ。その内容によっては、我々だってバカじゃないのだから、確かに国際競争力を考えれば法人税は下げたほうがいいかもね、とか、消費税しか財源ないよね、などともしかすると納得する可能性だってある。現状維持かあるいは現状打破か、そんな2項対立で総括できるほど、世の中は単純なものではないことくらいうっすら理解している。

自称リベラルとかネトウヨみたいな人たちが、何を言ってるのかわからないけれど勢いだけはあるワードを脊髄反射的にリツイートしたりするのは、複雑な議論とか原典をあたったりするのがめんどくさいから。今回だって、自称リベラルの人が熱狂的に支持していた山本太郎なんか、よく読めばその主張はゴリゴリの保守だ。そもそも自称リベラルの人たちは、リベラルが何なのかわかってないのではないか。フェイクニュースを見分けるためのメディアリテラシー教育云々というより、読み書き教育をちゃんとしなきゃいけないな、という話。英語教育なんかやってる場合じゃない。

そんな鬱々とした気分をはらすべくスピンしたのは、Dan Baird先生の問答無用の名盤。サザーンフレーバー満載の、ロック&ソウルである。しかも、ただ豪放なだけでなく、英国風味の繊細さも垣間見られる、アメリカの良心と言ってもいいサウンドだ。

Dan Bairdといえば、アトランタである。ジョージア州アトランタといえば、Georgia Satellitesだ。このアルバムにもGeorgia SatellitesのRick PriceやMauro Magellan、後にYayhoosに加わるKeith Christopherなどアトランタ界隈の手練れが集結。そして極め付けは、プロデューサーのBrendan O'Brienだ。この売れっ子もまた、アトランタ生まれで、Georgia Satellitesに参加していたこともあるという。

そんなアルバムが悪いわけがなく、むしろ20世紀を代表する名盤の一つではあるのだが、今だにアナログリイシューとかされないのはなぜだろう。税金はこう言うことに使うべきだろう。バカを承知で言うのだが、Dan Bairdのアルバムが税金でリイシューされる国ってそれだけでかっこいいじゃないか! これぞダイバーシティだろう。

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