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WPTを楽しんだ40代レクの話

レクリエーショナルプレイヤー。通称「レク」。ポーカーを楽しむ人たちのことを総称して言うけれど、巷で使われる意味合いとしては「弱い人」ということが多い。実際楽しみに来てるわけだから間違ってはいないのだけれど。
ポーカーはじめて3年。大きい大会のインマネは最高順位がJPFの18位。
数字で見ても紛れもないレクリエーショナルプレイヤー、矢部亮です。

ただ、私だって勝ちたい。FT行って写真撮られたいし、優勝してトロフィー持ち帰りたい。
ポーカープレイヤーなら誰もが思っていることと思いますが、当然私もその一人です。
「勝てたらいいな」じゃなくて「勝ちたい」です。

さて、そんな中今年11月に開催されることになりましたポーカーの大会、
「World Poker Tour」略して「WPT」。
実は当初これには参加しない予定でした。
というのも1週間後に「Japan Poker Festival」略して「JPF」という別の大きな大会があり、
過去JPFでは前述のとおり18位までなりましたがWPTは2回参加して2回とも鳴かず飛ばずでなんとなく「こっちはいいかな…」と思ってました。

が、
開催のイベント見て驚愕します。

ポーカーの大会はメインイベントの他にもサイドイベントが開催されてる場合が殆どで、

メイン…サテライト(予選)を通過した人のみが参加できる(高い費用を払って参加できる「ダイレクトバイイン」というのがあるイベントもたまにあり)
サイド…基本誰でも参加できる(『招待選手のみ』とか『女性のみ』というイベントもある)

という風になっています。

全く知らない人がなんとなくイメージがあるポーカーって
「5枚配られて、1枚変えて役を作る」
ドローポーカーが一番メジャーだと思います。
が、これが世界的にはマイナーで、一番競技人口が多いのは「ホールデム」という
「2枚配られて、場に5枚共通のカードが出て勝敗を決める」
というもの。
大会のメインイベントはほとんどが「ノーリミットホールデム」というこのルールに基づいたゲームで行われます。
(そもそもポーカーって100種類以上あるらしいのですが、中でもこのホールデムが圧倒的にメジャーです)

一方サイドイベントではノーリミットホールデムの他オマハやHORSE、バウンティトーナメントなど、メインとは少し変わったポーカーが開催されていることも多く、また私が好きなドローゲームが「たまに」やっていたりします。
サイドトーナメントが充実していると、おのずと大会全体の参加者も増えていくのです。

で、今回のWPT。
日本国内のトナメでは過去最高数・過去最高種類のサイドトーナメントが行われることが発表されました。
私の大好きな2-7もBadugiも、トリプルドローmixまである。

そして10月末、BQMAP後輩の手島アリサ( @alisatejima )が、ポーカー2回目にしてデイリートーナメントを優勝しました。
先輩として、このままだとデカい顔が出来ない。何か結果を残したい。


……
………

カチッ(やる気スイッチ)

やってやろうじゃないか。


直前でしたが片っ端からサテライトに参加し、なんとか権利2つゲット。
無事メイン参戦することとなりました。


参戦①WPT Main Event


会場はポーカーとしては初開催の新宿三角広場。新宿へはよく行くのですがここは初めて。
着いてみたら会場だだっ広い。
数年前までちょっと大きなお店でポーカーの大会やっていたのが今はこんなに大きな会場でやることになるとは。
紛れもなく競技人口が増えている証です。
メインイベントの登録を済ませ、30000点持っていざスタート!

WPTは1ブラインドが60分と長く、ゆっくりじっくりできるのもいいです。
(デイリーだと1ブラインド15~20分のパターンも多い)
ブラインドが長い方がスキル差が出るのですが、基本に忠実に、少しずつ増やしていきます。
最初の休憩では50000点、次の休憩前に70000点近くに増えました。
すごく調子がいい。ハンドも来る。ボードに絡む。
プレイも悪くありません。
そこから暫く我慢の時間が続き、事件は起こります。


CO(相手) 2.5bbオープン
BB(私)96 コール

ポット 6.5bb

フロップ 578(ハート2枚)

フロップでナッツ(一番強い役)のストレートが完成しました。
心の中で「うっひょ~!」と小躍りしながらもスンとした顔でチェック。

相手から3bbのベットがきました。
「お~お~やってきたか、しめしめ」と思いながらも少し考えてレイズをします。
現状は一番強いですがハート2枚なので、あと1枚ハートが出るとストレートより強いフラッシュになってしまいます。
また、それ以外にも逆転される可能性があるのでしっかりとここで強く打ちます。9bb、3倍のレイズです。

そうしたら相手から特大、70bbのオールイン(全額賭け)が飛んできました。私はそれよりチップが少ないです。(60bbくらい)

相手が何を持っていても、現状では確実に私が一番強いです。
「AAとかだと嬉しいな」「フラッシュドローは逆転されたくないな」なんて考えながらもスナップ(即)コール!

相手から出てきたのは55。スリーカードというかなり強い役です。
ここで逆転の可能性は、あと2枚で「残りの数字のどれかが重なる」と逆転されます。
フルハウス・フォーカードという強い手に大変身するのです。
確率はおよそ35%。
約3回に2回は私の勝ち!3回に1回は逆転です。
もしも俺が頂点に立つ人なら、この確率は通過できるはずだ!抜けろー!

ターン(4枚目) 「8」

あっさり敗北しました。

ポーカーでいう35%という確率はかなり高く、逆転は簡単に起こる確率です。
ただ、ここで来るか~というのが正直思いました。
その日1日このハンドが尾を引きずって何度もため息をつきました。

「もしあそこで勝っていれば」

ポーカープレイヤーなら誰しもが考えるもしもの世界。
残念ながら現実は非情で、ここで私のメインイベントは早くも終了します。

参戦② 2-7 Triple Draw


失意の中ではありますが、ホールデムから気分を変えて、こちらのサイドイベントに参加です。
種目は「2-7 Triple Draw」
ざっくり説明すると、
「5枚持って、3回変えることが出来て、一番弱い役を作るゲーム
です。
普通のポーカーだとペアが出来たりストレート・フラッシュなどの強い役を目指すのですが、これは全くの逆で、弱ければ弱いほど強いです。
麻雀でみんなが国士無双を狙うようなゲーム。
一番強い5枚が、

23457

という、慣れないと「ん~?」となるハンドです。
また、通常のポーカーはAやピクチャー(J・Q・K)が来るとテンションが上がりますが、
このゲームは2が来るとテンションが上がります。
まったく逆のゲームになるわけです。
普段「全然強いハンド来ないな~」と嘆く私にピッタリのゲームだったりします。
また、ドローゲームという、「自力で引きに行く」楽しさがあります。
配られるのは運でしかないのですが、「気合が勝つ」と言われるくらい皆さんホールデムの時とテンションが違います。
また参加人数も少なめで、やる人も毎回顔なじみになっていくので、必然とみんなで和気藹々となることが多いです。
これもこのゲームが好きな理由だったりします。

で、このドローポーカーでも基本がとても大事だったりします。
ボクシングなら左ジャブ、
サッカーならリフティング、
将棋なら詰将棋、
ホールデムポーカーがプリフロップ(最初の2枚)が大事なのと同様に
このゲーム、プリドロー(最初の5枚)がものすごく大事になります。

あと、ポジション。
先にアクションをするか後にアクションするか。
他のテーブルゲームで言う「先手後手」の関係がポーカーにもあります。

囲碁は先手超有利、
将棋は先手有利、
オセロは後手有利、
ホールデムポーカーは後手超有利で、
この2-7ポーカーは後手が超ウルトラスーパー有利です。

なので、このプリドローとポジション、あと基本的なセオリーを忠実に行うだけで結構遊べます。
勿論慣れている人には全然敵いませんが、私のようなレクでもある程度は戦えるのです。

あとこのゲーム、基本的に弱い役を作るゲームなので、ツキが無い方が結果強い。
なのでちょっとツイてない日だと逆に
「お!今日はツイてないな!イケるかもしれない!」
というワケのわからないポジティブシンキングになれます。
日頃運がないと嘆く方、是非チャレンジしてみてください。

開催時間が夜~深夜ということもあり、また会場ではお酒を打っていることもあり、
プレイヤーのテンションが明らかにメインと違います。

「引いてやんぜ~!」「やめて~!」「オラ見たかー!」「ぎゃー!」

こんなに楽しそうな阿鼻叫喚が起こる場も珍しいと思います。

そんな中チマチマと、そして確実に点数を増やし途中減らしても粘る粘る。
参加者97人でFT及びインマネ(入賞)は7人。
流石に残り2テーブル14人から周りも静かに――

「うらぁ~!」「なにを~!?」「ほれナンバー1!」「ズルじゃん~!」

ならない。全然ならない。
みんな本当に楽しそうにやってる。これもまたポーカーの楽しみ方ですね。

最終的に私は9位で終了。
大きい大会でのドローゲームでは自己最高順位でした。
同じく参加して、私にドローポーカーを教えてくれたはいぱーりゅうさん( @hyper_ryu_chan )とお話が出来て、「大分しっかり出来るようになりましたね」と褒められたのはとても嬉しかったです。
今後もこのゲームは続けていきたいなぁ。

参戦③ megastack


WPT最終日、3つ目の参戦は「megastack」。
メインのトーナメントは3日間かけてじっくり戦うのですが、これは1日で決めてしまう戦い。
じっとしてたら何もできず終了なんてこともあるので、おのずとアクションも激しくなります。
じつは当初これは、後の別ゲームに出るために参加しない予定でした。
ところが、WPTがツイッターで「招待券キャンペーン」というものを開催。
普段こういうのも当たらないのですが、今回の大会が自分史上一番楽しんでいることもあり応募してみました。

結果、

当たったー!やったー!(≧▽≦)

こうなったらもう話は別です。やはりポーカーはホールデムで結果を残す!
アグレッシブに攻めて一気にチップの山を築

秒速で飛びました

アグレッシブに攻めた結果
・ブラフ失敗
・ブラフキャッチ失敗
・オールイン負け
というなんとも救いようのない飛び方をしました。
「みんな!これがレクの飛び方だよ!」という教科書のような有様です。

さ、さあ次だ次ー!

参戦④ MIX Triple Draw


これが最後の参戦になるサイドイベント、3種類のドローポーカーを代わる代わる行うゲームです。でも全部、弱い役を作ったほうが勝つゲーム。
種目は

2-7 Triple draw
A-5 Triple draw(ストレートという概念がなく、12345が最強)
Badugi(4枚配られ、スート(柄)と数字がバラバラになるよう集める)

これらを6ゲームごとに変える、トライアスロンのようなゲームです。
ただ上記のゲームの中でA-5TDが圧倒的にマイナーで、某ポーカー店の店長から
「このゲームみんな知らないからエッジ出せます。稼ぎ放題ですよ!」
と言われました。
実際私もそこまで経験値が無いのですが、確かにこれは勝てるかもしれない!
フィッシュ(ポーカーでいうカモ)を狙っていざ参戦!

テーブル:7人 私以外全員mixの入賞者・強者揃い

超激辛テーブルに座らされました。

フィッシュは明らかに私でした。


こういう時にやることは一つ。

「静かに時を待つ」。

通常よりも固く固く参戦し、搾取されないように亀のように歩む。
先程megastackで挑戦したアグレッションはどこへやら。
だがおかげで吹っ飛ばされることなく、長く生き残っていました。

結果は、8位。

FTは7位から、入賞は5位からで、残り8人で私が一番チップが少ない状態から実に40分近く粘っていたのですが、最後は力尽きました。

結果、今回4回参戦し、FT&インマネはゼロ。
レクらしい結果となりました。

でもなにより、過去参戦した大きな大会で一番楽しかったです。
勿論悔しいですが、これほど充実した5日間は無かったです。

ポーカーは老若男女楽しめるし、お互いリスペクトをもって戦うと勝っても負けても楽しい日々が続きます。
40代でものすごくコミュ障の私ですが、今回mixゲームの時を中心に結構いろんな人と話したり声をかけてもらいました。

改めて、ポーカーは楽しい。


運営の皆様お疲れ様でした。
同卓してくれた皆様ありがとうございました。

インマネはまた次回目指して。
でも、これからもまずはレクらしく「楽しんでいこう」と思います。

ありがとうWPT!

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