リズムもよろしく~NSP(1975年)
1975年にNSPが発表したアルバム「2年目の扉」には、〝なぜか○○○…〟という曲が多い。
トップを飾る「春を見つけた」は、私にとって共感できる歌詞ではないにもかかわらずサビを今でも口ずさむ。
「北国の3月」「17才の詩」は聴いているうちに、なぜだかクスッとほおが緩む。別稿でも触れたが「デパートからあったかい風」のフレーズは北国育ちならとてもうなずける。反抗期のとがった思いを歌詞にした「17才の詩」は「ファンレターに書かれていた歌詞に曲をつけた」と聞いていたが、実は天野滋さんの奥さんが作詞されたのだとか。こちらのかたが教えて下さいました。ありがとうございます。
そして、なぜか泣けて(泣いて)しまう曲が、この「リズムもよろしく」。これ以外にも「お茶の一服」「お休みの風景」を聴くと、今でも涙ぐんでしまう自分がいる。「悲しい(哀しい)」のではないし、「切ない」でもない。「苦しい」「辛い」わけでもない。今では条件反射なのだと思っている。
北海道では3月になったあたりから雪解けが始まる。朝晩は氷点下なことももしばしばなので、本州のように一気に寒さが緩むというよりも、日中溶けても夕方になると路面が凍り始め、一進一退を繰り返しながら暦が進んでいく感じ。道路のアスファルトが見えだしてくると、雪や氷の下から土埃が大量に出てくる。
昔は融雪剤というものがなかったので、交差点など車や歩行者の滑り止めとして砂をまいていた(いまでも歩道では砂をまく)。それに石炭ストーブだった時代には、毎日、ストーブにたまった石炭の燃えさしを捨てて、石炭を詰め替える作業が冬の恒例行事だった。石炭灰の捨て場所になっていたのが車道や歩道だったと記憶している。これらによって雪解け後の路面はほこりっぽいことが当たり前だった。
やっと正午過ぎの気温が3~5℃くらいになり、冬用のコートやアノラックの前のファスナーを開けて歩けるようになると、ほこりが混じった春の風が顔をなでる中、買い物や遊びに出かけた。その時に感じた日差しや風を思い起こさせてくれるのが、私の場合「リズムもよろしく」なのだ。
曲全体は春をテーマにしていないと思うし、メロディがマイナー調な訳でもない。曲は2番からテンポアップするのだが「空をあおいで 大きくあおいで」というサビを聴くと何故か泣きたくなる。
「お茶の一服」も同じ。
「どうにも弱ってしまったら この部屋を飛び出して 君に会いに行くよ うそじゃないさ」
「あたたかさの中に 大事に僕を しまってくれる 君に会いに行くよ うそじゃないさ」
このフレーズを聴くと…もうダメなのだ(;.;)
ちなみに「2年目の扉」には〝なぜだかニヤニヤしてしまう〟曲もある。
「押したおしたい」「君を誘惑」「スープ・イン・ザ・モーニング」がそれで、「押したおしたい」「君を誘惑」は、10代男子の性に対するモヤモヤをはき出させてくれる。「押したおしたい」は、正直な男子高校生の気持ち、「君を誘惑」は、「何をすれば良いのかよく分からんけど、君をめちゃめちゃにしたい」願望を歌にしていている。
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