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Deep Care Lab_2023年の活動実績と来年の取組みに向けて

2023年もあっという間に終わりました。今年で、創業から2.5年ほどが経ちました。昨年から継続しているプロジェクトやお仕事もありますが、かたちにできるものごとや、描き出したい世界を手繰り寄せながら進められている、そんな自信もちょっぴし感じた1年でした。

新しい拠点の構想を仏教や宗教性、死生観を軸に考え直せたり、海と都市のケアする関係性を考え直したり、思索的な実験もやりながら1年、少しずつ進めました。
昨年も書いた、年間の活動まとめとして、今年もレポートを簡単に残しておきます。

👉昨年のレポートはこちら

今年のプロジェクトや活動

あそび、いのちはぐくむ。お寺の新構想「あそびの精舎」のコンセプト・ビジョン策定とLP制作 with 應典院

https://asobi.outenin.com/

大阪下寺町にあるお寺・應典院の哲学を固め、未来構想を描きました。スタッフや住職のヒアリング、未来世代からの手紙を書いたりお寺を軸とした都市活動を描くようなワークショップ等、人類学者・現代仏教僧・文化活動家など専門家との対話セッションを経て練り上げて、資料化と特設サイトの制作に落とし込みました。

今後はDeep Care Labが運営パートナーとして継続的にお付き合いさせていただく予定です。Deep Careとは仏教思想から大きく影響を受けていることもあり、かつこれまでDCLが必要としていた地域の拠点として、宗教や死者への想像力から拡がっていく、ケアのかたちを実現できるお寺の可能性を強く感じています。

子どもからお年寄り、祖先や未来の世代が集い、ともに「あそぶ」ことで、いのちのつながりに気づき、今の生き方を見つめ、生まれ死ぬまでの、暮らしをともに支えていく。その3つのライフをふまえた「ライフコモンズ」の拠点。仏教思想を軸に、日常の居場所から、老いや死生観といったテーマでのマルチセクター協働につながるリビングラボへの展開をめざします。

世界観をつくるイノベーターを育む「Kyoto Creative Assemblage」の科目ディレクション・設計  with 京都大学

「新しい世界観をつくる力を導く」をキャッチコピーに、京都大学・京都芸術大学・京都工芸繊維大学の3大学が連携した、企業人向けの創造性育成プログラムKyoto Creative Assemblage。人分知・デザイン・アート・ビジネスを交差させながら、歴史を紐解いたり、ありうる未来を演じて見たり。Deep Care Labは、2023年のpart2の科目「マルチスピーシーズとケアとともあるデザイン」をテーマに実施しました。

バリューチェーンを人間以外の生きものや自然もふくむステークホルダー視点で見つめることで、新たな社会課題への対峙のやり方自体をつくり、事業機会を見出していく手助けにもなります。そうした、「多種を含む拡張ステークホルダーマップ」を作成し、演劇を通じて共感性を育み、「多種をケアするビジネスエコシステム」の構想を行うカリキュラム作成を行いました。

マルチスピーシーズ・ケアのプログラムおよび成果展示「多種とケア」展の開催 with 一般社団法人Ecological Memes

一般社団法人Ecological Memesとの協働で、2023年6月から約4ヶ月にわたり「人間以上の存在との関係を結いなおすマルチスピーシーズ・ケアをめぐる 探求型コミュニティプログラムを開催しました。DCLはプログラムの全体設計を行い、 一人ひとりの日常の暮らしを舞台に、人間以上の存在との関係を結びなおすためのケア関係や想像力を喚起する習慣や儀礼、 体験プロセスの探求およびプロトタイプ・実験の過程に伴走。

10/01には京都のFabcafeにて、全国各地から集ったプログラム参加者によるエキシビション(成果発表の展示会)として「多種とケア展ー 人間以上の存在とのケア関係がひらく日常 ー」をひらき、1日のみ開催ですが50人近くの人に足を運んでいただきました。

台湾・萬華地区の歴史と記憶を紐解く、地域住民と伝統産業継承者へのリサーチ with Loftwork & U-mkt

8月には、台湾の歴史ある地区・萬華を拠点に活動する文化拠点、新富文化市場(U-Mkt)と協働し、リサーチの全体設計やビジュアルツールを用いた住民および産業従事者へインタビュー調査の実施、収集したデータの活用方法のアドバイザリーなどを担当しました。地域の記憶や歴史を生活者視点で紐解くこと、また伝統産業の2,3代目に継承の記憶を聴き取っていくことから、地域のアイデンティティや魅力の発掘と、文化拠点の役割を見出すためのリサーチを実施。その成果は、地域の潜在的魅力を見出し、それらを地域のストーリーを可視化した展示や新たなツーリズムコンテンツにつながっています。

アート作品フラワーコンポストを活かした、地域の花屋における住民参加型循環プロジェクトの実証実験 with MIKIKO KAMADA & Malta

https://note.com/deepcarelab/n/nd16abae406e6

アーティストMIKIKO KAMADAさんとの協働プロジェクトとして、各家庭で廃棄される花を、アート作品「フラワーコンポスト」に活用することで堆肥化し、新しい植物のいのちにつなげる、住民参加型の循環プロジェクトの実証実験を、2023年6月21日から9月30日まで、羽根木の花屋「花とみどりのアトリエmalta」にて行いました。

花屋で買ったお花が枯れてきたら、「フラワーコンポスト」という微生物によりお花が分解される過程を可視化する作品に入れ、堆肥化されます。人・植物・目に見えない微生物をふくめた生態系をとりまく、いのちの循環を想像する機会を増やすため、地域の花屋を可能性あるフィールドとして捉え直す意味変容が起こる場でもありました。

団地の一室に「小さな森」をつくる、ライフスタイル型賃貸の実験的プロトタイプの企画・開発

大阪・平野にある団地の一室をつかって、知人の建築設計事務所の方とともにDeep Careな生活を体現するための団地の中に「小さな森」をつくることをコンセプトにしたライフスタイル型賃貸」の企画・開発を進めています。パーマカルチャーデザイナーの方やコミュニティデザインを得意とするメンバーとも協働しています。物理的にどう森的なものを室内に構築しうるのかを模索しながら、エディブル・シティならぬエディブル・ハウス、究極のfarm to tableを目指します。また、同時に賃貸やそこで住む記憶自体が森のように継承されていくなど、時間軸を拡張して、人とひとがつながるような仕組みがつくれないかなどの画策も。

魚食を起点に都市-海の循環を描き、都市から海をケアするためのデザインリサーチ with Poietica

海から都市にやってくるもの・都市から海にお返しできることの関係性を「魚」を介して変容させていくデザインリサーチ+制作プロジェクト。京丹後市にある伊根、舞鶴の産地市場、京都市内の消費地市場、魚屋の売り場などへのフィールドワークを通じて、漁師さんや卸売の方、魚屋さんなどに話を聞きながら、流通経路を物流、生態学、情報、権力などの観点から読み解きます。助成金の申請中なので、助成が得られれば来年度はより本格化し、京都市内に複数店舗をもつ魚屋さんとも協働し、活動展開予定。

日常の窓をのぞき、見えない世界への想像を触発するレシピライブラリSee-souの企画・制作

「日常の窓をのぞき、見えない世界を想ふ」をコンセプトにした、想像のレシピをあつめたオンライン上のライブラリsee-souの企画・制作をおこないました。オノ・ヨーコのインストラクションアートに刺激され、身近なものごとへの異なる視点をひらいていく補助ツールとしてもあそびとしても、活用できたらいいなと思います。

亀岡・並河エリアの地域風土のリサーチ&執筆 with Eat, Play, Sleep

京都市のおとなりにある亀岡・並河地域の風土リサーチと記事制作を実施。農家、野鍛治、学芸員、薬草栽培のNPO運営者、陶芸家・芸術家、庭師…など多様な方にお話をきいたり、フィールドをともに歩きながら、リサーチャーとして感じた視点を記事にしています。

#1|湖・土・地べたの茶会・瓦職人・植物。時空も種も超え、混じり合いながら現れる村の風景

#2|私たちは川から離れて生きられない。保津川に祈り、生活と文化を築いた先人の生き様を巡る

#3|曖昧な“土”を信じ続けるためのロマン。農家・野鍛冶の営みに通底する土着的態度

#4|ここで暮らす未来の子どもたちへ。身近な植物の力で新しい土着を紡いでいく

その他、完了or進行中のプロジェクト

  • Deep Careの概念構成の共同研究 with NPO法人ミラツク

  • 食べられる植物を育てる建築アプローチの、都市ビジョンとコンセプトの再設計・伴走 with 大手都市開発/デザイン系企業

  • 西陣地域の2040年を描く、PBLプログラムの企画・運営 with Tunagum & 京都産業大学

  • 拡張ステークホルダーを軸とした、ビジネス向けセミナー開発や、ケアとウェルビーイングな経営のあり方の研究

メディア・イベント登壇

2023.04.14
【いのちのアトリエ】「人間以上の存在との関係性を結いなおすマルチスピーシーズ・ケアへのいざない〜トークセッション&実践プログラム プレ体験イベント〜に登壇」

2023.08.02
「ROOM COURSE ー デザインの未来〜日常に潜むバリアを考える〜」に登壇

2023.08.18
Ideas for Goodさんの特集【多元世界をめぐる】で取材いただきました

2023.11.14
新作映画『Dance with the Issue』アフタートーク「〈わたし〉の暮らしとエネルギー」に登壇+ミニワークショップ実施

来年にむけて

今年は、少しずつ思想をプログラム以上に多様な取組みのかたちで体現できた1年でした。今後は、もう少し事業やサービスへの伴走を行ったり、地域やまちづくりのプロセスに転用していく、といったことに注力していきたいと思います。
それと同時に、魚食文化、仏教思想、工藝など日本に根付く文化・宗教をなんとか汲み取り、つないでいくための活動をより作っていきたいと思います。どうぞ来年もよろしくお願いします。

以下のように、できることも多々あります。ぜひ、ピンときたらお声がけください!
・生態系のリジェネレーションやサスティナビリティ、マルチスピーシーズ、生物多様性にまつわる事業伴走や共創ファシリテーション
・伝統の継承を軸とする事業伴走や歴史、地域の記憶を見出す
・ケアする視点や想像力が育まれる場づくりや教育プログラム作成
・死生観やエネルギーなど見えないものを想像する展示やアートワーク
・生態系や地域の歴史をふまえ、未来につないでいくまちづくりや地域活性
・上記に関わるコンセプト設計やビジョン策定
・上記にまつわる記事の寄稿・登壇

Twitter👉https://twitter.com/DeepCareLab
Contact👉https://deepcarelab.org/contact

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