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エピソード(EV-8): 孫の動きの成長から身体の連続性の獲得を考える

自分の子供が生まれた時は、毎日の生活に追われ、ゆっくりとその動きの成長を観察し、記憶に残せなかった。
しかし多少とも心に余裕のある時期になり、孫をみる年齢となると違う。
なるほど、ホモ・サピエンスとはそういうプログラムで動いているのか、と納得することが多い。
実際、赤ん坊の成長過程として母親とのアイコンタクトの重要性、顔面の認識などは、ようやく最近の脳科学で客観的データが得られるようになってきた。
 
 
ここに述べる全身の連続性を、赤ん坊はいつごろから獲得していくのか?
おそらく最初は生後2、3ヶ月ぐらいから始まり、4、5ヶ月でしっかりする首の座りだろう。
もちろん、手指の握り、足首や下肢の動きは生後早くから少しずつ発達する。
そして首がすわったあと、寝返りをして腹ばいになる。
腹ばいになっても当初は苦しんでいる。
やがて腹ばいでも頭をもたげ、原型(architype)である四足動物としての体幹Locomotion、ハイハイ、クロールが始まる。
こうなると上肢、体幹、下肢が実際的に連動してゆく。
ハイハイのスピードも驚くほど速くなる。
 
実はこのLocomotionはヒトでも、誕生1週程度ですでに自然誘発される。
(EV-6参照、Science誌論文引用ビデオ、2011、リンク:https://note.com/deepbody_nukiwat/n/n96059fd78602
すなわちこの運動は、学習することなく、脊髄神経programing済みcircuitを持って生まれてくる。この不思議な信じがたい内容は、形態形成(胎児期)時、脊髄神経細胞間の連携形成として論文関連の動画も存在する(リンクhttps://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867419309584?via%3Dihub、この論文に関連の動画紹介サイトhttps://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S0092867419309584-mmc8.mp4)。
 
 
10ヶ月前後から二足歩行の準備として立ち上がり、伝え歩きとなる。
この頃は右足、左足と恐る恐る動かしている印象がある。
そして二本足でバランス立ちができる。
しばらくすると突然一歩を踏み出し、数本歩く。家族の皆から祝福される。
 
この後も観察していると、電気コードを跨ぐのも最初は難しいようだ。
しかし1歳半ぐらいなると歩きも、少し屈むような姿勢も安定してくる。
下り坂ではスピードが出るのが嬉しいのか、笑いながら駆けだし始める。
何度も転がるが、それにもめげない。
早く移動することはホモ・サピエンスの喜びであるようだ。なぜ楽しいのか?
 
こうした動きは身体機能的にも系統発生を繰り返しているといえる。
「個体発生は系統発生を繰り返す」という有名なヘッケルの言葉は解剖学領域でいわれるが、「身体機能」的にもその通り、系統発生を繰り返している。
腱・筋膜系を通しての脳の制御(より具体的には、大脳基底核・CPG系と大脳・小脳新皮質系の連携)が長い時間で完成していく。
しかし誰もがこの学習の長い期間、ハイハイ・ヨチヨチ歩き学習の記憶は、闇に埋もれていて覚えていない。
 
華輪の動作には、再度こうした連続性を取り戻すような感覚がある。そしてその連続性が次の「対気」という不思議な訓練につながってゆくのだ。

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