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Photo by
takunakahigashi
詩『復活の日』
未開封の段ボールの上で 殴り書いたメモ用紙の置き手紙、
粘っこく離れないガムテープの球体を お守り代わりに出掛ける。
吊り広告の下で座席に影を落とすは 街角に降る冬色の薄明、
傲慢にも吐く溜息が曇らせた鏡には 暈ける自分の輪郭線。
円卓上に散蒔かれた粉砂糖さながらの甜言蜜語、
空中給油の如し危険な若者の火遊びを許される齢も疾うに過ぎた。
未開封の冷蔵庫の中で 馨り拡がる似非林檎の擬芳香、
嚙みついて離れないファスナーの隙間を 縫う風の肌をなぞる。
幟広告の上で頭上に影を落とすは 紺碧に沈む夏色の黄昏、
横柄にも吐く溜飲が濁らせた泥濘には 時を耕す蚯蚓。
立ち呑み席に吹溢れた炭酸さながらの紅灯緑酒、
竜頭蛇尾の腑抜けた老耄の愚痴話を許される齢を遂に迎える。
消毒液に浸された青春時代、
復活の日を待望する者はない。
存在意義を探す旅が人生とするのなら
行き着く先は煩悩を塗り固めた地獄の門。
何故 絶望の世界で貴方は生きる、
終焉の放送が叫ばれるその日まで。
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