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詩『狼煙』

夕陽を両眼で搾って
みどり色の果汁で喉を潤す。

埃の染みる路地裏、
堆積した段ボールと垂れ下がる電線。
擦り減った燐寸を握り締め、
誰かが反撃の狼煙を上げる。

そんな予感がしている。

燻る熱情に水を注ぐ世界、
諦観の芽吹きに化学肥料を撒く時代。
夕陽を両掌で掴んで
乳白色の雲を虚空に拡げる。

独り言のように零れた火種を
前照灯にして進む。

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