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詩『半熟卵』

煮える鍋の中に白い楕円形  泡沫に包まれ揺らめいている
四畳半を満たす生活音とベランダに実を結ぶ酸漿の色。
物干し竿で春風を浴びる下着とか履いた分だけ汚れるスリッパには
憐憫の眼差しを注ぐ貴方に少し苛立ちを覚えながら箸を並べる。

火加減も適切な時間も知らない
殻を割ろうと机の角に叩きつけ掌を汚す卵黄、
不器用で大雑把な毎日の隙間に貴方
少しは役に立ってくれるから腹立つな。

想いは時にグラデーション固さ好み様々だ
面倒くさいな完璧なレシピもないから。

燃える華の中に柔らかな雌蕊  凛とした表情で揺らめいている
四畳半を満たす生活音とベランダに実を溢す酸漿の色。
物干し竿ではるかぜを浴びる下着とか履いた分だけ汚れるスリッパには
憐憫の眼差しを注ぐ私もまた少し苛立たしく箸を乱暴に並べる。

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