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連作⑥『猋』

諸行無常の茶色い焦土の真中で
涎を溢すは骨張った番犬。
血の滴る爪痕の溝に落つる種子、
油混じりの泥濘に沈む。

蜘蛛の巣の如く根を張る株に腰掛け
鉄漿黒のように汚濁する西空を眺む。

自分勝手な私が
本当に大嫌いだ。

盛者必衰の黄色い朝陽の真中で
泪を零すは目障りな狂犬。
血の滴る爪痕の溝に芽吹く花、
雨模様の窒素を呑む。

燃え広がる言葉の中で
それでも生き残る命を待つ。
来る日も、来る日も。

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