連作③『肝試し』
玻璃の隙間から月が放った光線で
凍てついた脳漿を貴方は隠そうと必死になる。
教壇に舞う白墨の鱗粉に魅せられて
鈍色の魔物が私達に喰らいつく。
誰も見ていないよ、
律儀に恥ずかしがる必要もないでしょ。
完璧を装う人体模型の眼光で
凍てついた脳漿を貴方は剥き出しにする。
試験管に模様を描く薬品に吸い込まれて
碧色の異世界が私達を手招く。
恐がらなくて良いよ、
私達は多分 不死身だから。
妄言を吐いて哂い合う月夜の理科室、
肝試しの終わりなど来なくて良い。
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