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沁みるぜカレーライス #3

不妊治療専門科の大学病院への断りの電話の後、
なんとなく落ち着いた。
職場に行くというのもあるし、
ひと通り泣いて混乱しきって、
がんになったのが別の人のような気がしてきた。

職場の部長にとりあえず着くなり、
「ちょっとお話が、、、あの今朝内科に行ったらですね。胃に癌があると言われちゃって、、、えへへ」
うまく言えず、笑って誤魔化すいつもの癖が出てしまった。
「え?どういうことですか?」

とりあえず、
明日から県立の病院に早速かかること、
なのでちょくちょくお休みする事。
手術とか決まり次第、しばらく入院になること。

ただ何も決まってないし、
どんなもんかも分かってないので、
明日病院行って分かってき次第報告することを伝えた。
理解のある職場で上司も身体が優先だからと有給休暇や傷病休暇も使って早く大きい病院で診てもらうようにと言葉をかけてくれた。

その日は午後、普通に仕事をした。
私は普通にしていたけど、たぶん笑顔は引き攣っていたんじゃないかと思う。

帰宅後、晩御飯を作る気にならず簡単にカレーライスとサラダを用意した。
昼は少しでも良いものとおにぎりを食したのに
胃に良いんだろうかと思いつつ、
中辛味のルーを煮込みつつ、
あと何回カレー食べられるのかなぁ?
なんて遠い目をしながら用意をした。

旦那さんが帰宅後、一緒にテレビを観ながら、たわいもない会話をしつつカレーライスを食べた。
「不妊の大学病院に行ったの?」と聞かれたが、
「ちょっと仕事が入って行けなくなったから断ったわ」

順番にお風呂に入り、普通に寝室でねた。
旦那さんが寝たのをみて旦那さんの手を握ってみた。手の感触も覚えておこうと思った。

って
おい!!!
家族に言わんのかい!!!

そうなんです。いえなかったんです。
職場や職場の友人にはすぐに言えたのに、
家族が大事過ぎて、どーにかこーにか家族に内緒で治療ができないものかと話さずにいたんです。


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