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演劇とストラトキャスター

最近は2Bulletと同じくらい(時間的な量でいえばそれ以上?)劇団TremendousCircusでの活動が増えていて、劇団でギターを弾く機会がある場合は概ねストラトキャスターを使用してます。

(※ここで言うストラトキャスターは広義のストラト。後述)

で、俺がストラトキャスターという種類のギターが好きで使っていると思われがちなのですが、それは理由の3割くらいで(もちろん好きなんだけど)7割は実用上の理由だったりします。

ストラトキャスターってどんなギター?

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こういうやつです。猫の方じゃなくて、ギターの方です。しかし猫長いなぁ。

(のちにこのギターは改造されて今の姿になるのですが、これは改造前だねぇ。)

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狭義でのストラトキャスターはアメリカのFender社が作った、このタイプのギターのみを指しますが、実際にはストラトキャスターという商標を使わないだけで、同型のギターをいろんなブランドが作ってます。
それこそお値段もピンキリで1万円以下から、何百万円という価格のものまであります。広義には、この「ギターのタイプとしてのストラトキャスター」という解釈があります。

ジープという会社が出してない車でも、それっぽければジープと呼んだり、いろんなお店で醤油ラーメンを出してたり…みたいな話です。

略称としてストラトと呼んだりすることもあります

特徴はいろいろあるんですが、俺が演劇の場合にストラトを選ぶ理由は2つあります。他の種類のギターではなく、ストラトが都合良いのです。

特徴1:交換できるパーツが無数にある

ストラトはエレキギターとしては、もっとも生産されているギターな気がしますが、構造上概ね大半のパーツを解体したり交換できます。

これがGibsonのレスポールやSGだと(SGは俺も愛用してるけど)ネックとボディが接着されてるので、自力で交換するのはほぼ不可能なんです。
レスポールの廉価版や他社コピーモデル(広義のレスポール)だと、接着ではなくストラトのようにネジ止めされてるモデルもあるのですが、レスポールのネック単体の流通量がそんなに多くないので、すぐにネックだけ交換できるかというと、そうでもなかったりします。

ストラトの場合だとネックを含め、ほぼ全てのパーツが無数に流通しているので交換できないパーツはほぼ無いです。

で、それが何故演劇だと都合が良いのかというと、以下の2つの理由です。

・劇場や稽古場はそもそも楽器を扱う場所ではないので、安全に置けるスペースがあんまりない。

・キャストもスタッフも、楽器を扱う専門家では無いので、扱える人間が事実上俺しかいない。

演劇の現場だと楽屋も稽古場も、スタジオに比べて、またライブハウスに比べて圧倒的に出入りする人数と回数が多いので、しかもみんな楽器の専門家ではないし、そもそも楽器を扱うことが目的のスペースでもないから、いくら楽器がデリケートであっても、ライブハウスやスタジオほど安全を確保しづらい環境が多いです。みんな忙しいのに「楽器には細心の注意をお願いします!」と言われても、やはり難しい面はあるわけです。

舞台上にしても、楽器に割けるスペースなんて限られてます。また、演劇の進行上、俺以外の人の手に渡って移動するみたいなパターンも想定されます。

要するに、ライブハウスやスタジオに比べると、ある程度楽器に対するリスクが高いわけですね。

そうなると公演期間中に楽器にトラブルがあっても対応できる方がよくて、そこでパーツが無数に流通していて入手しやすく、修理も容易なストラトって非常に都合がいいんですよ。

まぁネックが折れるトラブルなんてそうそう発生しないですし、今のところそんな大きな事故が発生したことも無いんですけど、交換できるか否かが重要なので、ぶっちゃけ壊れたら直せるじゃん!っていう方が安心なんですよね。

あと、これは記事を分けて書こうと思いますが、パーツが無数に存在するから、好みのギターを作ることも容易です。もちろんストラトじゃなくてもパーツの交換はできるんですが、ストラトが結局対応パーツが多いのは事実かなぁと。

理由2:一本で幅広いジャンルの音楽に対応できる

まぁ、どの楽器でもどんなジャンルをやろうと自由ですし、実際できるんですけど、やっぱりギターにも種類がいろいろある以上、種類によって出しやすい音、出しづらい音はあります。

その点ストラトキャスターって、めっちゃ優等生で万能選手な気がします。ギター単体で出せる音の幅が広いと思ってます。

バンドだと、自分のバンドの曲を演奏するので、メタルバンドならメタルらしい音が出ればよくて、パンクならパンクらしい…みたいに、ある程度使う音を特化する方が有利だったりします。実際俺も自分のバンド2Bulletでは、音の使い分けということをあんまりしません。
もちろんいろいろ使い分けるバンドもありますけど、要はそのバンドの音に特化すればいいのです。

これが演劇だと…これはギターの話というより作曲の話でもあるんですが、サントラって1つのジャンルだけで完結できないんですよ。その時その場面で必要な音楽が変わるので、作品内で次々にジャンルが変わることがあります。
ジャズを弾いた直後にファンクを弾き、ブリットポップみたいなのを弾いたら今度はメタル…そこからブルースみたいなのも全然あり得ます。

トレメンドスの場合はサントラ書いてるのが俺なわけですが、ギターが大変だからとか考えませんからねw ギターの都合より作品の都合の方が優先ですから。

そうなるとジャズからメタルの振り幅を出せるギターを選ぶわけですが、ストラトだとそれが出来るなという結論です。

ギタリストさんがこれを読むと「それならエフェクター使えばいいんじゃね?」と思われるかもしれませんが、毎回エフェクターを置くスペースがあるとは限らないし、ペダルを踏みかえられるタイミングがあるとも限りません。

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これは、俺が「フランケンシュタイン(2019年11月)」に出演した際の写真なのですが、俺役者で出演もしてたんですよ。劇中2曲生演奏シーンがあったんたですね。

(※ダブルキャストだったので、映像に残ってないのが申し訳ないんですが。)

で、役者的に待機スペースや立ち位置を移動していく関係上、どうやってもペダルを踏みにいけるタイミングがなかったのと、アンプをギリギリ1つ設置できるスペースしかなかったので、音を変えるとしたら、ギターのボリュームとトーン、ピックアップセレクターだけしか使えないんです。

でもストラトならそれだけでも、クリーン、クランチ、ディストーションまで使い分けられます。

フランケンシュタインの時はデルタブルースみたいな曲と(サントラではDeLacey's Blues)主題歌のロックンロール(Frightful Monsters)の2曲を弾く必要があったので、結構音がガラッと変わらないといけなかったんです。でも、手元のコントロールだけで対応できたので、これはやっぱりストラトのなせる技だなぁと。

https://tremendouscircus.bandcamp.com/album/ost

もちろん、パーツ交換で何かしらに特化させることもできるし、実際に「フランケンシュタイン」「人魚姫」で使ったモデルと、「ヘリオガバルスの薔薇」で使ったモデルではパーツを変更して違う個性のギターになってます。

ともかく、そんなこんなで、ストラトキャスターは「仕事で使える」ギターだなぁと思ってます。

演劇案件以外でも、ギターの録音だけ参加するお仕事も時々ありますが、ジャンルとの相性に悩むくらいならストラトに任せれば良くね?ということで、結構使ってますね。

結論。カスタムパーツが豊富で、故障に強く、音作りの幅が広いから便利。


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