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【ヤクルト】2021年以降の育成への取り組みを考えてみたり。【スワローズ】

年末ぎりぎりに急いで執筆しているため、今後諸々の修正が入る可能性がございます。悪しからずご了承を。(12/31 19時10分現在)

NPBのストーブリーグも中盤を過ぎ、客観的に見ても12球団でも屈指の盛り上がりを見せていると言えるであろう東京ヤクルトスワローズさん。この調子だと少なくともストーブリーグのAクラスには入れそうですね(?)

さて、今オフのヤクルトのストーブリーグで一番注目を集めていたであろうFA3選手(山田哲人,石山泰稚,小川泰弘)の残留は私自身も心から嬉しかった出来事でした。スワローズの3人を来年以降も見ることが出来る幸せを今改めて嚙みしめています。


ただ、一部ヤクルトファンからしたら同じくらい喜ばしかったかもしれない出来事が「育成体制」の変化の兆しではないでしょうか。
(噂の”ダノン効果”については最後に少しだけ書きますね)

ということでこのnoteでは今オフ現れたヤクルト球団の変化の兆しと、今後進んでいくであろう方向性(予想)を私の雑記ですが著したいと思います。


変化の兆し(1)<10/26 ドラフト会議>

まず最初に変化の兆しを感じ取ったのは10/26のドラフト会議。
育成指名で過去最多の4人指名を行った時に、今年のヤクルトは何かが違うと感じた方も多かったはず。


念のため補足すると東京ヤクルトスワローズは伝統的に「70人縛り(支配下+育成の合計で保有選手を70人にする)」を行っておりました。
これは全ての選手に多くの実戦機会を与えるためとも言われていましたが、圧倒的な強さを誇るホークスのように「育成から多くの選手を成長させて層の厚いチームを作る」という球界のトレンドからは大きく外れていたのも事実です。

※2019年は年末に五十嵐亮太を獲得、2020年はシーズン中に香川OGより歳内宏明を獲得するなど、実はここ2年は計71人だったりもしましたが…。

NPBの育成選手規定の関係上、7月末までに支配下選手が65人いない場合はその後は育成選手を保持することが出来ません。
つまり、今年指名した育成選手の多くを来年すぐに支配下登録しない限り、現実的には”70人縛り”を維持することがかなり難しいため、この時点で私はもしかして何かが変わるのでは…?と感じていました。

(↑先ほどの困惑ツイートから5分後にこの仮説でポジり始めた人)

参考:今シーズン終了時の各球団選手数一覧


変化の兆し(2)<12/7 12球団合同トライアウト>

ドラフト指名人数や退団者の数からもトライアウトから支配下選手獲得の可能性があり、実際に神宮の舞台で好投した宮台康平(元日本ハム)を獲得しましたが、加えて育成でも小澤怜史(元ソフトバンク)と近藤弘樹(元楽天)を獲得しました。
これで、ドラフト育成指名4人と育成選手保留者名簿に掲載された内山太嗣も合わせて、計7人が現時点で2021年度の育成契約を結んでおります。

また、12/31時点での支配下登録選手は65人であり、この時点で合計72人となるため、やはり”70人縛り”を意図的に超えていることが分かります。

※先述の五十嵐(球団出身レジェンドの最後の舞台として)・歳内(先発投手不足のため)と、両投手の場合は不可抗力的に枠を超えたという認識です。


変化の兆し(3)<育成部門の新設>

年末になって2021年のドラフトについての記事が複数出ました。本編の内容としては来年度市場で高校生投手が豊作と予想されていることに対して具体名を挙げてリストアップを行っている内容でしたが、私が気になったのはその中におまけのように書いてあった下記内容。

『球団としてもスカウト育成グループを新設し、2軍に育成コーチを配置。中長期的な視点で高校生を育成する土壌を固めている。』
サンケイスポーツ

『来季から新設される育成部門は、スカウトと同じグループとなり連携を密にとってドラフト後も選手育成に注力する。球団幹部は「一緒にアドバイスをしたり、アマチュア時代のことも気軽に言えるようになる。よりよくしていきたい」と話した。 』日刊スポーツ

2軍育成コーチ(土橋育成チーフ・山本育成投手コーチ)の配置は12月の来年度組閣発表の際に明らかになっていましたが、てっきり2軍に選手が増えることに際して役職を復活させたのか…程度の認識だったため、このように新たに組織を新設する動きを取るとは正直思っていなかったですね…。


さて、今後はどうなる?

ここからがある意味本題。

上記のように今までになかった動きを多く見せているヤクルト球団。

これらの報道等や近年のヤクルトの動きを受け、私が独自で作成したのが下記の図です。黄色部分や下線部分がここ1年の変化であり、改めて変化の年を迎えていることが分かるのではないでしょうか。
(簡略化のために一部省略している部分があります)

ヤクルト組織図

※参考:ホークアイとは?
現在実証実験を行っている映像による解析システムであり、NPBではヤクルトが初導入。詳細情報はこちら、もしくは下記動画で。凄く強いです。


特に70人縛りの意図的な解除育成部門の新設は、先述した現在の育成トレンド「育成から多くの選手を成長させて層の厚いチームを作る」に少しばかり近付くものではないでしょうか。

また、先ほどの図でも示しましたが、スカウトも育成部門に入っていることで、アマチュア時代の情報共有や今後のスカウティングにもその情報が活かされやすくなり、チーム一体としての動きが活性化すると思われます。

中長期的に強いチームを作るためには運用育成補強は同じ熱量で回していくべきものであると考えられるため、(他球団がどのような体制を取っているかは知りませんが)小さい組織でもこういった形を取ることはとても理想的ではないでしょうか。


ただ(あくまで私の予想ですが)ヤクルトの育成部門については、
巨人やソフトバンク(+オリックス)といった社会人や独立球団等と実戦経験を積むための3軍ではなく、
高卒選手やリハビリ選手などが、2軍本隊から少し離れた形で基礎固めや体作りをすること等を主として使われるのではないかと想像しております。

このような体制をとることにより、毎日のように行われる試合を意識しすぎることなく、今自分がやるべきことに集中できる体制を取ることが出来るのではないでしょうか。


そしてまさにそのような運用をしているのが西武・広島の2球団

どちらの球団もSBや巨人程資金力に優れたチームではないですが、両チームとも3軍制を導入しております。3軍では数名のコーチを配置し、そこでは実戦経験ではなく基礎作りを主目的としております。

西武における3軍制とは?(一部抜粋)
課題は選手によってさまざまで、先発タイプであれば長いイニングスを投げるための体力や技術、中継ぎタイプであればウィニングショットの習得など、選手ごとにそれぞれの目標を掲げる。その上で、秋の教育リーグ(フェニックス・リーグ)を最終目標として育成する。目先の結果に惑わされず、選手が自分の目標を貫ける環境を作るのが目的だ。 Number Web
広島における3軍制とは?(一部抜粋)
平成23年から本格的に導入した「3軍制」だ。元々は、けがで試合に出場できない選手のリハビリを担当コーチや専属のトレーナーの下で行うための場として設置されたが、26年からは、不振の選手や基礎体力のない高卒の新人らを強化する部門も設けられた。 産経WEST

現状の選手・コーチの人数や球団の資金力を鑑みると、ヤクルト球団も土橋・山本両コーチの元、少なくとも数年は西武や広島のような形で育成部門を活用していくのではないかと考えられます。
またこの流れを受け、来年以降の高卒を始めとする若手選手の育成にも力を入れることが予想されますし、若手の成長が今から楽しみですね!

今年のドラフトで考えると 嘉手苅浩太(2020D6)や下慎之介(2020育D1)あたりはここで基礎作りを重点的に行うのでは?と勝手に予想しています。

追記:先ほど引用した西武の記事ですが、凄く読み応えがあるので是非に。


では何故今年から?

何故今年から?という問いについては衣笠社長-小川GM体制が確立したことが影響していると考えられます。

まず、小川GMは現役引退後、スカウト、2軍コーチ、2軍監督、1軍HC、1軍監督(代行)、シニアディレクター…とあらゆる役職を歴任し、2018-2019年の2期目の監督を務めたのち、昨年12月にGM職に就きました。

畠山和洋(現2軍打撃コーチ)との数々のエピソードに代表されるように、育成に関しては定評のある小川GM。
実際に直近まで現場で指揮を執ってきたこともあってか、GM就任時のコメントにも中長期的な見方を重視することがうかがえました。

「球団方針である常に優勝争いができるチーム作りが、中長期的に必要になる。そこを見据えて、考えていく」 日刊スポーツ

また、2011年から現職を務めている衣笠剛社長。何かと小言を言われがちな存在ではありますが、2019年12月期決算にて悲願のヤクルト球団単体黒字を達成するなど、こと社長としては着実に実績を挙げております。

※今オフの衣笠社長はライアンのFA残留でも評価を上げましたね。


さて、2011年の衣笠社長就任以降、小川さんは色々と立場を替えながらも長年タッグを組み続けてきました。
そして昨年オフに小川さんがGMという「チーム強化戦略の立案を行い、編成・育成部門においても責任者として中心的な役割を担う」立場に就きました。

そして迎えたGMとしての実質初年度の今オフ、前年に球団単体でも黒字となっていたことも追い風となって、育成にしっかり投資する方向性がより強化され、球団が一体となった方向性で大きく動き出したと考えています。

なかなか世の中がどうなるか読みにくいご時世ではありますが、この動きは継続することに意味がありますし、目先の成果や順位にとらわれず続けて行って欲しいなと思います。
また、育成に力を入れるとともに、(様々な点で難しいのは重々承知しておりますが)他球団に先行して取り組んでいるホークアイのように、設備面などのアップデートも是非取り組んで欲しいですね。


参考:予算枠の変化について

さて、ヤクルト本社とダノンの長年にわたるいざこざが今年10月に事実上の終結をしたことにより、この効果でヤクルト球団にお金が回ってくることで積極的な補強に動いているという説もあります。
ダノンとのいざこざについてはこちらにて。


ただ、実際に数字を追いかけてみると、そのような事実は現時点では起きていないのでは?と感じております。

こちらのツイートにもあるように、実は単純に総年俸で考えると昨年度から大きな変化はありません。
更には2019年オフにはバレンティン(現ソフトバンク)の4億4000万円+ブキャナン(現 サムスン(韓国))の2億7000万円の約7億円が浮いており、その当時から考えるとむしろ総年俸は減っているような状況です。

言わずもがな今年は観客動員の減少により、数十億円単位で赤字が出ているため、総年俸を維持するために本社から補填があった可能性はあるかと思いますが、
少なくとも現時点でダノン効果が出ているとするのは早計かと思われます。

※山田哲人残留は本社含めたヤクルトグループの総意であり、そのための山田哲人慰留プロジェクトチームなるものが存在していたとも言われています。この内容の真偽は不明ですが、このように今後必要な場合にはヤクルト本社も後押しをしてくれるのかもしれませんね。 AERA.dot

球団単体黒字になったことや、本業が好調であることからヤクルト本社が球団への投資に積極的に取り組んでくれることも僅かばかり期待しつつも、身の丈に合わせた形で少しずつ着実に進んでいってほしいなと思います。


最後に

取り留めのない文章になってしまいましたが、このオフの育成関連の動きを私なりにまとめてみました。これから変わっていくであろうヤクルトの育成方針にも注目ですね。

ただ、2年連続最下位に沈んだという意味では目先の補強も必要です。
FA組3人の残留をはじめ、稀代の右ヒットメーカー内川聖一(元ソフトバンク)の獲得、オスナ(元PIT)、サイスニード(元HOU)、サンタナ(元CLE)の新外国人3人獲得等々と、こちらも積極的に動いております。

新外国人選手については我らがシュバルベさん(@love_uni31)がnoteにまとめているので是非こちらをどうぞ。

こうやって振り返ってみると(特に序盤には)色々とあった今オフですが、現時点では来季に向けて凄く楽しみな補強が出来ていると感じます。

私としてもこれからもヤクルトの育成方針に注目しつつ、来年も全力応燕していければと思います。noteもたくさん書きたいですね。

来年こそは目指せ最下位脱出!←

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