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【ヤクルト】奥川恭伸の"宿命"に導かれて。


こんにちは。でぃーだ(@Dee_bbyS)です。


ついにオープン戦も終わり、いよいよシーズンが始まりますね。


政府の時短要請等の影響もあり、シーズンを通しての延長なし9イニング制といった大きなルール変更に加え、試合開始時刻の変更まで行われておりますが、
兎にも角にも今年は予定通り3月に開幕できそうなのが何よりではないか、と感じています。


私の”応燕”している東京ヤクルトスワローズはこのオープン戦を最下位で終了いたしました。

オープン戦の最下位(と何故か3位)はシーズン成績が振るわないというジンクスもありますが、ともあれここまで2年連続最下位のチーム。
長期的なチーム浮上に向けて1つでも順位を上げて弾みをつけつつ、あわよくば…なシーズンになってくれることを祈っております。


さて、そんなヤクルトにもオープン戦での好材料がありました。
まずは野手。こちらはなんといっても高卒3年目の濱田太貴ですね。最終盤に上半身のコンディション不良で離脱してしまったのは残念でなりませんが、
どちらも12球団で全体2位となる4HR11打点を稼ぐなど、将来の主軸候補として今まで以上に期待を抱かせる結果を残しました。

そして投手では近藤弘樹でしょう。150km/hを超えるストレートと楽天時代に伊藤智仁コーチの勧めで取り組んだシュート等を武器に、6試合(5.1イニング)に登板して無失点と安定した結果を残し、オープン戦の途中で支配下登録されました。
育成で加入しながらも1軍キャンプに招待されたことを含め、元ドラ1の実力は伊達じゃないことを示しました。何事もなければ間違いなく開幕1軍でしょうし、"高津監督を男にする"ような活躍を期待しております。


そして、もう一つ大きな話題が奥川恭伸の開幕ローテ入りですね。
昨年は複数回の離脱や慎重に調整するチーム方針もあって登板機会も限られていましたが、今年は(キャンプ終盤に右足の張りもあったものの)1軍で調整を続け、開幕3戦目である3/28(日)阪神戦に先発することが内定しました。


ということで今回のnoteは、奥川恭伸の開幕ローテーション入りと彼の今シーズンの簡単な展望について書いていこうと思います。




1.ヤクルトの開幕ローテーションを考える

これは完全に私の認識上の話ですが、
3/23(火)時点で確定しているのがこんな感じの開幕ローテーション。

3/26-28(阪神戦@神宮):小川泰弘田口麗斗奥川恭伸
3/30-4/1(DeNA戦@横浜):スアレス????

と、凄くポジティブに言えば最後まで激しいローテーション争いを繰り広げているヤクルトスワローズ。そして??となっている2人の枠は3/23-25のイースタン楽天戦の結果を受けて決まると思われます。

そういえばバンデンハーク獲得の際にこんなこと↓を書いていましたね。

しかし、何を隠そう2年連続最下位のチーム。
FA選手残留や若手の成長というポジティブな要素も多くあるものの、
戦力層…とりわけ先発投手には不安を感じていたのも事実です。

トレードで獲得した田口麗斗を含めてもこの状況ということで、その不安が早くも現実のものとなっていますが、
緊急事態宣言が明けたことでそう遠くないうちに外国人選手4人が来日できるとの報道もあったので、まずはなんとかそこまでは…!

開幕5枚目は高梨裕稔、6枚目はD2ルーキー山野太一になるのでは?と個人的には予想していますが果たしてどうなる事やら…。



2.”3戦目”で開幕ローテ入りの意図するところ

さて、色んな意味で激しいローテーション争いを通り抜けて開幕3戦目のローテーションに入ることとなった奥川恭伸ですが、
まずは彼のオープン戦での投球を振り返ります。

奥川恭伸2021OP

細かい成績で気になる点もありますが、それはいったん置いといて。
登板日を確認してみると(球数制限が課されていますが)ローテーション投手の多くに求められる中6日をきっちり守って日曜日に投げ続けています。

そして、私は今回の奥川恭伸のローテ入りについては、
この日曜日という日程がとても重要な決め手になったと考えています。


まず1つ、ご存知の通り、
NPBのシーズン日程は基本的に月曜休み+火曜~日曜6連戦をひたすら繰り返すものとなります。

つまり、日曜日(奥川恭伸登板日)の翌日は殆どが休養日ということで、他の日に比べると多少はリリーフ投手を使いやすい日になっております。

依然として彼には球数制限があると考えられますが、そういった投手の登板が日曜日というのはチーム全体としての負担を出来る限り少なくするように最大限配慮されているのではないでしょうか。

だって監督自身がストーカー…いや、息子の成長を見守るかの如く奥川恭伸にずっと寄り添っていますし、彼とチームのコンディションの両面に配慮してない訳ないんですよね……これはただの独り言ですが………←


また、イースタンリーグの日程も今回のローテ入りを後押ししたと思っております。というのも、実は3/28(日)にはヤクルト2軍の試合がありません

ついでに言うと4/9(金)は1軍の試合がないため、金曜ローテ(小川泰弘)と土曜ローテ(田口麗斗)がそれぞれ日程を後ろにズラすことも想定されますね。

後述しますが、中6日ローテーションで投げる体力をつけることが今年の奥川にとっての大きな目標でもあると考えられるため、2軍にいても初週から中6日の登板機会を得られないのなら、せっかくの機会だし数試合は1軍で…となるのも十分理解できる話ですよね。

(3/28追記:イースタンリーグの日程について重大な事実誤認があったため修正しました、大変申し訳ございません…。)


3.彼がこれから立ち向かう"宿命"とその展望

奥川恭伸が今シーズン取り組むべき課題は個人的には大きく2つあると考えております。そして、そのどちらも近いうちに改善が出来るであろうという勝手な私の展望もありますのでここから記していきます。

3-1:球質の改善

(私も現地観戦していた)3/14(日)中日戦@神宮球場
2.2イニングを3失点で降板という悔しい結果になりましたが、映像を見ていた多くのヤクルトファンが指摘していたのがストレートの球質でした。

意図していないシュート回転のボールが多く、平田良介にはアウトハイに浮いたストレートをライトスタンドに叩き込まれてしまいました。

シュート回転することは世間で言われているほど必ずしも悪いことではないのですが、意図していないシュート回転により彼本来の良さが失われていたのは事実でしょう。


しかし、この投手の凄さはなんといっても修正力
中6日を開けた翌週3/21(日)西武戦@メットライフでは早くもその課題を修正してきたように見えました。結果は4.1回3失点で決して良いものとは言えませんが、明らかにその球質が変わっていたように感じます。

特におかわりくんこと中村剛也との勝負は圧巻でしたね。
稀代のHRバッターに対してすべてが150km/h超えのストレートを投げ込んで捻じ伏せる姿は、まさに彼本来の力が出ているような気がしました。

ただ、この日に限ってもストレートの精度はまだ良くなかったですし、被打率もまだまだ高い数値となっていたことからも、この課題が完全に解消されたとは全く思っておりませんが、
たったの1週間でここまで修正をしてくるのは「流石」の一言に尽きるのではないでしょうか。

また、球場による差もあるでしょうけど、
球速周りの数字も1週間でとても良化していましたね…凄い…。
 ・最高球速:147km/h → 151km/h (+4km/h)
 ・平均球速:145.5km/h → 149.6km/h (+4.1km/h)


さて、1週間で大幅な改善された背景には、
とにかく投手にとって不利な要素が多いヤクルト本拠地・神宮球場の影響があるのではないかという声もチラホラと聞かれます。

私は神宮球場よりメットライフドームが投げやすいであろうことを否定できる材料は特に持ち合わせてませんが←
しかし、こと彼に関してはそこまで大きな心配はしていません。

なんといっても、星稜高校時代に出場した明治神宮大会では15.1イニングを投げて僅か1失点(自責点0)、そして奪三振26与四球2と圧巻過ぎる程のピッチングを見せているからです。

高校時代とプロ入り後では様々な面で違うでしょうから当然ながら単純比較出来るものではないですが、
3/14(日)中日戦については、小さな怪我明け&中6日と慣れない状況の中で、むしろ彼にとっては新たな課題を見つけるきっかけになったからこそ、
西武戦での球質の改善に繋がったのではないかと私は考えています。


言わずもがな、次の登板である3/28までに神宮球場にアジャスト出来るという保証は一切ありません。
しかし、シーズンが始まり実戦の機会を増やしていき、新たな課題を見つけて修正していく中で、彼程の選手ならばすぐに神宮球場のマウンドにも適応してくるのではないかと思ってしまいます。

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3-2:中6日で長いイニングを投げる


そしてもう1つの課題が、先述した中6日ローテーションについて。

球数制限があるとはいえ中6日で回すことについて、昨年の様子を見ているとまだコンディション的にも大きな不安要素があり、
今年に関しては先発投手として最低限求められるであろう5イニングを1度も消化していないのは気掛かりではあります。

そもそもヤクルトにオープン戦で5イニングを消化したピッチャーが何人いるのかって…?うっ頭が……

しかし、これについても少しばかりの安心材料があります。

昨年のシーズン中は基本的には中10日程度開けて登板していましたが、
11月のフェニックスリーグでは5イニングを投げてから中7日で6イニングを投げるといった経験をしているため、まったく未知の領域といったわけでもありません。
そして何より、中7日で投げた阪神戦が圧巻のピッチングでしたから…。

奥川恭伸2020フェニックス

中6日と中7日には1日とは言え大きな違いがありますし、そもそも1軍と2軍にもとても大きな差があります。そして何より彼に球数制限をかけているのも絶対に無理はさせないという想いがあるからでしょう。

ヤクルトにはローテーション候補の数は多いので、彼だけを無理して1軍で使い続ける必要はないと考えています。状況や調子次第では2軍でローテーションを回すというのも間違いなく大事な経験になることでしょう。


しかし、せっかく舞い込んできたチャンスでもあります。彼には先述した日曜日という日程的なアドバンテージも味方に、限られた期間で沢山の経験を積んで欲しいものですね。

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4.導かれし”3/28”へ向けて。


開幕3戦目・3/28阪神戦の先発登板が確定的な奥川恭伸。

そしてその日は、ノムさんこと故野村克也氏の追悼試合です。


今更私みたいな人間がノムさんについて語るのは野暮なので割愛しますが、
ノムさんは当時星稜高校3年生の奥川恭伸を見て、愛弟子でもある田中将大(今年から楽天に復帰)の名前を出しながらこう語っておりました。

野村氏は奥川について「腕の振り、投げ方がマー君にそっくり。伸びしろがある。間違いなく活躍する。どこも欲しいんじゃないの」と楽天監督時代のまな弟子でもある米大リーグ、ヤンキースの田中将大投手(30)の名を持ちだし、今後に太鼓判を押した。


その後、奥川恭伸はドラフト1位でヤクルト入りし、入寮時には野村克也著『野村克也 野球論集成』を持ち込み、目標とする投手に田中将大を挙げるなど、ノムさんとのただならぬ縁を感じさせました。

また、実際に本人も「縁あってヤクルトスワローズに入団したので。野球でも、それ以外でも、本を書かれたり、すごい人だと思います」と語っていましたが、奥川恭伸とは出会うことなくノムさんは旅立ってしまいました…。


そしてその訃報を受け、ヤクルトでは追悼試合が企画されました。
本来であれば昨年の開幕3戦目(3/22)に開催される予定でしたが、開幕延期があったことで中止・延期となってしまいました。


振り返ってみれば、昨年3月の奥川は肘の炎症明けということで、ブルペン入りはしていたものの実戦登板できるような状態ではなく、普通であればこの追悼試合に登板することなど絶対に有り得なかった話です。

しかし、追悼試合が1年延期になったことで、ノムさんも思い入れのあるであろうヤクルトというチームの新エース候補として、かつて絶賛した投手が神宮球場のマウンドに上がる事が出来るようになりました。


もちろんこういったご時世になってしまったことは今でも残念でなりませんし、今もなお、沢山の方が大変な思いをしている世界です。
しかし、こういった巡り合わせもあるのか…と感じてしまったのも今の私の正直な気持ちです。


きっと空の上から、2年連続で最下位に沈んでいるスワローズに対していつものようにボヤキながらも、奥川恭伸のピッチングを優しく見守ってくれている、私はそう信じています。




5.やっぱり期待しかない!


さて、ここまで様々な面から今年の奥川恭伸について沢山書いてきましたが、開幕が近付くにつれて(今しか出来ないかもしれないからこそ)シーズンへの期待は高まるばかり。

さて、改めて振り返ってみても先日の西武戦はまさに”奥川恭伸”といったピッチングで、改めて将来のヤクルトのエースとなることを確信させるものでした。
投の中心に奥川恭伸、打の中心に村上宗隆が座る未来、ワクワクしかありませんよね…!

そして、現在習得中(?)のカットボール(高速スライダー)も含めて課題もまだまだありますが、彼ならいとも簡単に乗り越えてくれると信じてやみません。


現在低迷しているヤクルトにとっては全ての選手が必要な戦力であると強く感じております。
それでも彼にかかる期待は他の選手の比ではないでしょうし、彼にはヤクルトの未来を託すだけの価値があると思っています。

…と言わずとも、悲しいかな登板機会がふんだんに与えられるヤクルトのチーム状況を上手く利用し、どんどん力をつけて行って欲しいですし、
近い将来、奥川恭伸がヤクルトを優勝へと導くエースに成長し、ゆくゆくは侍ジャパンを背負って世界と闘う姿を是非この目で見届けたいものですね。


侍ジャパン(U-18) 奥川恭伸といえばこのエピソード。
(当時はまさかこの投手が贔屓チームに来るとも知らない訳ですが)カッコよすぎて震えたのを覚えています。
ーーーー
6回を終えて奥川投手の球数は90球だった。今大会では球数制限があり、上限は105球となっている。これを超えれば、次の登板までに中4日を空けなければならかった。指揮官は7回のマウンドも託した右腕に向けて「104球で抑えて帰ってこい」とゲキを飛ばしたという。奥川投手もそれに応え、リミットギリギリの103球で7回を投げ終えた。



とはいえまだ高卒2年目の20歳、焦る必要なんてどこにもありません。
昨年の苦すぎる経験を糧に、まずはプロ初勝利を皮切りにして一歩ずつ飛躍していく1年となることを祈っています。


そして彼のある意味一番の魅力でもある、この素敵な笑顔が毎週のように見れる、そんな未来を心から願って本noteを締めさせていただきます。




きっと全て、彼の背負った宿命に導かれて…。



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Special Thanks(データ等出典)
悟@野球とデータ(@bb_satoruさん
桃にツバメ(@yswallows_funさん
スワローズ公式Webサイト

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