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『Pokemon LEGENDS アルセウス』Any%RTA解説の振り返り~感想編【RTA in Japan Summer 2023】


はじめに

解説の補足などはこちら→

本編をまだ見てない人は見てくれ

ということで、こんセウス~(ヒスイ地方の挨拶)
RTA in Japan Summer 2023でPokemon LEGENDSアルセウスの解説をさせていただきました、麹屋です。

今回の記事では私がこのRTAの解説として参加に至るまでの経緯や、解説に当たって気をつけたことなどの裏話と感想を書いていきたいと思います。
(時系列順に書いてるのでかなり長いですがご了承ください。)

1.自分のLEGENDSアルセウスRTAへの取り組み

まずは私(麹屋)がこのゲームにどのように取り組んできたかをざっくり語らせていただきます。

2022年1月末:LEGENDSアルセウス発売、当日から初見プレイ。週末のうちには”打破”し、2/3に(フォロワーと交換などを駆使し)アルセウスを捕獲。

22年2月初旬:既にキャロさんをはじめポケモンRTA走者たちが動き始めるのを観測。自分もこのゲームは非常に楽しかったので、初のポケモン本編作品のRTAとして挑戦してみようと他の走者の配信視聴や自力での検証を開始。

22年3月中旬:ようやく自分なりのチャートが完成。ヒノアラシ選択&アゲハント狩りルートを初めて両採用した記録を出す。
初走:4時間43分32秒 → 2走目:4時間28分19秒

22年4月~:キャロさんがヒノアラシ選択&アゲハント狩りチャートでWRを更新。ここから海外勢も一気にヒノアラシルートを研究しだし、また日本勢も海外で先に研究されていたひそやかスプレーの研究を取り入れるなど一気に研究が進む。
一方その頃私はというと、①4時間半を切って半分満足していた ②基礎動作の特訓を兼ねてより短いバサギリ討伐レギュに手を出していた ③当時のチャートでほぼ必須枠となったイシツブテの捕獲が苦手すぎて挫折していた という理由で、情報は仕入れつつもAny%RTAからは少し遠ざかっていました。

2.RTA in Japan 参加への布石- Japanese Restreamでの解説活動

そんなこんなで22年の5月ごろ、”RTA in Japan Summer 2022”の募集が始まり、キャロさんがLEGENDSアルセウスAny%の並走で応募するという話を聞きました。
自分は走者として参加できるほどタイムを詰められていなかったので見送りましたが、このRTAに対する理解度にはそこそこ自信があったので、解説で参加出来たらいいな~などと思っていました。
ですが、走者の経験はあっても解説参加の実績がない自分に声がかかることなどないだろうなという直感がありました。

そんな折に、Japanese RestreamというチャンネルでLEGENDSアルセウスの解説を募集していることを発見しました。

Japanese Restreamというのは、海外のSpeedrunイベントを日本語で実況・解説するためのミラー配信をおこなっているチャンネルです。
その時はESA Summer 2022というイベントの解説募集をしており、その中にLEGENDSアルセウスのAny%が入っていたため、試しに応募してみました。
何度かチャンネルを見ていて、ここでは基本的に司会+解説または解説2名の体制で進行することを把握していたので、解説初心者でも入りやすそうな雰囲気だったのはとてもありがたかったです。

そして最初の解説が無事終了。
この時一緒に解説をした「るぱん」さんはポケモンの他にFFシリーズ等も走っている走者の方で、シナリオや会話の内容もしっかり補足しながら解説をリードしてくださいました。一方でるぱんさんはヒノアラシ選択ルートやひそやかスプレーについては未着手だったということで、その辺りは私が解説を入れていくという形で進行しました。

一方RiJの方では、2022年内にはアルセウスは採用されないまま年が明けます。明けてすぐの1月下旬、再びJapanese RestreamでLEGENDSアルセウスの解説募集がありました。この回では当時のWR保持者が走るということで、速い人の走りを解説できるまたとない機会でした。

この時一緒になった方はアルセウスのRTAは未経験の方だったので、走りの内容の解説はほぼ自分が行いました。
また、カテゴリはクレベース戦までの短いカテゴリでしたが、寄付額投票によるショーケースも一緒に解説したので、結果的に4時間くらいずっと解説することになりました。

この2回の解説参加によってだいぶこの作品を解説することに自信ができました。また走者のコミュニティの間でも「麹屋さんよくアルセウスの解説してるね」というイメージを持ってもらうことができ、キャロさんの配信でRiJの話題が出た時も「採用されたら解説依頼待ってますよ~」と自信をもってアピールすることができました。

3.LEGENDSアルセウスの採用決定と、解説に向けた準備

そんなこんなでRTA in Japan Summer 2023の採用タイトルが決定し、キャロさん・キタムラさんの並走応募したLEGENDSアルセウスが採用されていました。キャロさん視点では3度目の正直だったということで他人事ながら嬉しかったですね。(自分はNewポケモンスナップの全種撮影で応募するも不採用、だけどポケモン枠がアルセウスになってくれた喜びの方が大きかった。)

そして、これまでのロビー活動(?)の結果、解説役を任せていただけることになりました。
採用決定時のTwitter上での反響からも今回の注目タイトルのひとつであることは明らかだったので、期待に応えられるような解説をしなきゃいけないというプレッシャーも多少ありましたが、何よりこの数万人に注目される大舞台で解説ができるということが楽しみでした。

正式に解説を依頼されてから約1か月、なるべく完璧な解説に近づけるための準備に取り掛かりました。

3度目のJapanese Restream解説

そんなわけで解説の準備に取り掛かり始めたころ、またもやJapanese Restreamの方でLEGENDSアルセウスの解説募集がありました。これに関してはJR Discord鯖で事前に知っていたので、RiJの採用結果いかんに関わらず解説応募しようとしていましたが、RiJでも採用されたことでちょうどいい予行演習になってくれました。

しかも今回、事前のマイクチェック後にスタッフの方から「麹屋さん、過去2回解説されてますしお一人でも大丈夫ですか?(=司会が相槌や質問などをしなくてもいいか?)」という打診をされ、それを了承したので思いがけず一人での解説ができる機会になりました。

この際、RTAのプレイ内容は何も用意せずともいくらでも解説できるのですが、シナリオパート・セリフなども自力で一通り解説できるようにする必要があるなと思い、それで用意した資料がこちらになります。

これは「ポケモンWikiからシナリオ部分の各キャラのセリフをGoogleドキュメントにコピペしてシナリオの順番に並べ、解説する内容を都度コメント機能で付けた解説資料β版」になります。
なんか分量エラいことになってない?

で、これをJapanese Restreamの解説の際に使おうと思ったのですが、案の定こんな嵩張る資料をゲーム画面見て解説しながら別タブで辿っていくなんて器用な真似はできませんでした。
ちなみに自分は解説を現地ですることにしていたので、現地に80ページもある資料を持ち込むのか…?という点もありこれはボツになりました。

解説資料のコンパクト化

Japanese Restreamの反省を受け、解説用資料を再考することに。
この際、同じポケモン作品でありレース形式だったRTA in Japan Summer 2021のポケモン剣盾のことを思い出しました。

このような進行表を作成し走者側にも共有するのが一番コンパクトでいいなと思ったので、これを参考に進行表を作成してみました。
ということで、実際に作成したものを公開しちゃいます。

結果的に、だいたい喋りたい内容を網羅しつつ、A4用紙4ページ程度の分量に圧縮することができました。
なお、意図的にタスク消化の詳細については省いています。どうせ運要素である程度ブレたりリカバリーが必要になる要素なので。

各走者のチャートの確認

これに関しては本番前に2回、予行演習のような形で並走会を開いていただいたのでそこで確認しました。
ちなみに2人とも前日に自己べ更新していたのですが、時間の都合でそれを確認することはできず。本番で大きなチャート変更がないことを祈っていました。

自己べ更新

さて、前述の通り私の自己ベストって4時間28分のまま止まってたんですよね。
これだけ注目されるタイトルで、走者2人がすごい記録を持ってて、じゃあ解説は?ってなった時に出てきた記録が1年以上前のしかなくて、しかもひそやかスプレーもばりばりだまも使ってなくてウォロ戦で負けてもなくてディアルガ手持ちに入れるためにBox弄ってる記録なの、ちょっとカッコつかないな~、と思ったので、走りました。

思ったよりタイム更新できなかったな……
(手持ちにゴーストじゃなくてグライガーがいるのは、山麓の夜時間に時間かけすぎたためです…)

ちなみにここで実際に走ったおかげで、今タスク消化に採用されてるポケモンのだいたいの捕まえやすさとか、お金の管理の感覚とかをより掴めたのでその点でも良かったなと思います。

4.解説において意識したこと

序盤の解説事項の順番

これまでJapanese Restreamで解説していた時は、イベントのセットアップ時にミラー配信側では解説者が入り説明を始めるという流れだったので、事前にカテゴリの説明や走者の紹介、細かいゲームシステムの話ができました。しかし今回は走者と一緒に解説も喋り出すため、そういった猶予がないことを念頭に入れて序盤の説明を組み立てる必要がありました。
結果的に入村してからイモヅル亭のイベントの間にゲーム・カテゴリ・クリア条件の説明をすることにしました。この選択自体は良かったのですが、うっかり最後の最後までムベさんのキャラ紹介をすることを忘れてしまいました。ごめんムベさん。

特定キャラの扱い

さて、RiJは年々チャットルールが厳しくなっていっているのは皆さん承知のことでしょう。走者・解説には注意事項のドキュメントが共有されるため、この辺はかなり注意する必要がありました。
当然ながら規制対象になるコメントはコメントをする方に非があるとはいえ、解説がそのコメントを誘導し得るような言い方をするのもよくありません。

特に、RiJではゲーム内の登場キャラに対する侮辱なども走者・解説・視聴者を問わずご法度です。
直接的に悪く言わなくても、紹介の仕方を間違えるとコメント欄で湧き上がってしまってモデレーターに負担がかかってしまいます。なので、キャラを紹介する際にも注意を払う必要がありました。具体的な例で言うと…

  • アルセウスを「邪神」と呼ばない

  • シュウゾウを「邪悪」と呼ばない

  • ウォロは良い人で押し通す(実際Any%では終始良い人だし…)

  • ツバキに関してはゲーム内の行動だけ淡々と説明する。Bully Melliカテゴリについては一切触れない

  • 追放されてもデンボクを責めない

あとはセンシティブなネタに繋がる懸念や、ネットミームの過剰投稿に繋がりそうな点にも注意しました。(一部Japanese Restreamでは使ってたネタもあるけど、規模感が文字通りケタ違いなのでだいぶ安全策をとりました。)

  • プレートを「まな板」と呼ばない(「すごいまな板だよ!」などの連投や、女性キャラの容姿の話に発展する可能性がある)

  • 群青の海岸のカイ戦終わりの「私は小さいなぁ…」コメントは拾わない(容姿の話に発展する可能性がある)

  • 主人公の男女選択、セキカイの選択によってセリフの長さが変わることは言わない(女は話が長いみたいなコメントを書かれると困る)

  • ヒナツ発見時に「アシクビヲクジキマシター」と言わない

  • ムベ戦の時に「アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」は言わない

「こんだけ注意しておけば大丈夫だろう、過剰なコメント規制も起こらないはずだ」と思っていたら、ヒナツ登場時に太ももコメントで大量にコメBANされているのを見てしまった。いやこれは回避不能だって……

5.当日の振り返り

現地入り

前日(8/9)まで仕事だったので、8/10は普通に起床後諸々移動の準備をして昼過ぎに新幹線で東京へ。

私は現在関西に住んでおり、走者2人もオンライン参加だったのですが、①ポケモンWCSの現地観戦に当選したのでどうせ関東に行く ②深夜帯なので声量を出しにくかったりネット回線に悩まされる恐れがあった という理由から現地での解説を希望しました。

JRの四ツ谷駅に到着後、荷物を預けるコインロッカーを探しコンビニで資料を印刷、夕飯を軽く食べていよいよ現地入り。
現地ではちょうどモンスターハンターライズをやっているところでした。

少し早めに現地入りした理由としては、深夜になると建物のガラス扉が開くのが15分おき(猶予1Fで話題になったやつ)になってしまうことと、せっかくなのでロックマンエグゼ2を現地で見たいなぁという理由でした。

これ、めっちゃ面白かったです。
当然配信で見ていても面白さはわかると思いますが、実際に走っている走者の様子を直接見れたり(チャートを印刷して見てるんだ、コントローラーってそう持ってるんだ等)、「人力で状況再現をおこなっていきます」と言われた時の会場のどよめき、プリズムを5枚引いた時の盛り上がり、プリズムコンボが決まった時/初手で決まらなかった時の笑いなどが全て間近で臨場感を持って体感できたのが楽しかったです。

ついでに、エグゼ2で「コトブキ町」というのが登場することを思い出し、これがアルセウスのコトブキ村と名前が似ているので、異変パートの時に電磁波ネタを入れたら面白そうだなというのはここで思いつきました。

本番の準備

そんなこんなで暫く現地で観戦し、ついにセットアップの時間がやってきました。
進行が40分くらい巻いていたこともあってか、Twitchの視聴者数も6万人程度いて、流石にこの時は緊張してました。

解説席に座り、ヘッドセットやモニターの位置を調整し、走者お二人と通話で合流。
ここで、開始時の挨拶についてちゃんと決めていなかったので話題に出したら、「麹屋さんに全てお任せします」ということでした。

さて、開始の挨拶についてはフォロワーの方からとある案をもらっていました。

ポケモンsleepに乗っかるネタはいいなと思ってたんですが、これだけだとなんとなく納まりが悪いとも感じていたので、もう少しいい感じの挨拶を考えました。シズメダマを思いつくときのラベン博士くらい考えました。

そして思いついたのが、「皆さんお待たせしました。そして、カビゴン、ピカチュウ、ごめんなさい!」という挨拶でした。
結果的に当時のコメント欄でもカビゴンやピカチュウに謝ってる人が多かったようで、なんかいい感じにシンクロして好評だったので良かったです。

本番開始

そんなこんなで本番になり、いい感じの挨拶を決めてRTAがスタート。
ここからはスマホで配信を開いてコメントの様子も余裕があったら見ようと思ってました。

しかし開幕、とあるハプニング?がありました。
自分のヘッドホンから聞こえるゲーム音が思った以上に大きかったのです。
しかし、セットアップ中にゲーム音の確認も長いことしていたので、既に始まってしまった段階で止めてしまうのは悪いと思い、ゲーム音に解説がかき消されないよう声をなるべく張り上げることで対策しました。
いやあ、本当に現地に解説に行って良かった。自宅じゃなかなかこの対応は出来なかったですからね。
なお、コメントを見ていたおかげで自分の解説の内容にコメントが反応している=聞こえていることは察することができました。後からアーカイブを見返してもそんなに問題なさそうだったので本当によかった。

走りの内容に関しては、キタムラさんが序盤のエラー落ちに始まり不運をかなり引き寄せてしまっている感じではありましたが、2人ともしっかりEST以内に収めてクリアしていて流石だなと思いました。

あとちょいちょい音ズレに関するコメントがありましたが、これは両走者ともオンライン&Vモデルor手元映像付きだったので仕方ないところはあったかなと。解説してる上では全然音ズレは気にならなかったのでアーカイブ確認して初めてこんなにズレてたんだって気が付きました。
映像がちょくちょくカクつくなというのは解説中にも思ったのですが、解説がいちいち映像の乱れを指摘するのも印象よくないですし、まあこのRTA100回以上は見てるので脳内で補完しながら解説してました。

感想

兎にも角にも出番は終了。完走した感想ですが……

最初に出てきた感想はこれ。4時間もほぼ休まずぶっ通しで喋ったらそらそう。
ちなみに買っておいたお茶は出番の前に飲み切ってしまい、会場にはレッドブルしか置いてなかったので、外の自販機まで買いに行くことになりました。皆は余分に水を買っておきましょう(1敗)

あと、出番が終了した後、会場の皆さんが自分にも拍手をしてくれて嬉しかったです。深夜帯にも関わらず観戦席に10人くらい来てくださってて、しかも自分のフォロワーさんがわざわざ来てくれて挨拶までしてくれて、感慨深かったです。

終了直後は疲労と渇きでだいぶへばってましたが、練習部屋でしばらく休ませてもらいながらTwitterの反響を眺めているうちに「ああ、楽しんでもらえたんだなぁ」という実感が湧いてきました。
また開始後しばらくしてから「アルセウスRTA」がトレンドに載ったらしいんですが、終わってからもしばらく(夕方くらいまで?)トレンドに残り続けていてびっくりしました。
当然ながら走者のお二人もすごかったんですが、ありがたいことに解説への反響も好意的な声が多くて、頑張ってよかったなと思えました。

6.反響

勝手ながら、Twitt……X上での反響をTogetterでまとめさせていただきました。
Togetter、久し振りに使ったら日時指定検索とかできるようになってたので、当日の感想を振り返りたい走者・解説の皆さんにもおすすめです。
(もしまとめられていることに問題がある方がいらしたら、@camptocin530 までご連絡ください。)

ちょっと驚いたこととして、「声が落ち着く」「解説の声で寝落ちした」みたいな反応が多かったですね。普段自分の声をあんまり意識しないので、そんなに眠くなる声質だと思っていなかったのでびっくりしました。(話の内容的に眠くなる、というのはわかるけど……)

その他、色んなコメントに返信していきたい気持ちは山々ですが、長くなるので割愛。
是非各走者の配信などでコメントしていってあげてください!

終わりに

そんなこんなで、RiJの振り返りを終わらせていただきます。
最後に、今回参加してみて強く思ったことを一言書いて終わりたいと思います。

RiJの現地参加、めちゃくちゃ面白かったので、機会があればまた行きたいです。

それではまたどこかで。お疲れ様でスター!


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