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『Pokemon LEGENDS アルセウス』Any%RTA解説の振り返り~補足編【RTA in Japan Summer 2023】

初めに


見てない人はまずこれを見てください。

こんセウス~(ヒスイ地方の挨拶)
こちらのRTAの解説をさせていただきました、麹屋です。

この記事では、イベント内の実際の走りの中で解説ができなかったことの補足をメインに書いていきたいと思います。
(本当は感想や解説をするまでの経緯、当日の話なども書きたかったけど、補足が長くなったので2記事に分けようと思います。)

あくまでも”RTAイベントのメインは走者”だと思っているので自分語りはほとほどにしたいと思いますが、何かしらが今後他の参加者の皆さんの参考になれば幸いです。

本番中に解説できなかったことの補足

ヒノアラシ選択チャート(およびアゲハント狩りの開発)について

まずこれ。今回披露したヒノアラシ選択→アゲハント狩りレベル上げのルートについて、走者のキャロさんの方から「(私麹屋が)ヒノアラシチャートを開発した人」とコメントされましたが、これについてTwitter上で「アゲハント狩ってレベル上げは私もやってたけど…」とか「アゲハント倒すのは発売日当日に既に話題になってたよ」という感じのコメントがX…Twitter上で確認できたので、誤解のないよう補足をしたいと思います。

先に結論から言うと、
①アゲハント狩りのルート自体はかなり初期から認知されていた。
②そのうえで、ミジュマル選択時のアゲハント狩りは遅いと(最初は)考えられていた。
③ミジュマル選択の意味が薄れるとともに、ヒノアラシ選択が評価され始めたが、その際のアゲハント狩りが非常に噛み合っていて、アゲハント狩りルートが再評価された。
←ここで登場したのが私
ということになります。

①について

これについては、現日本3位の走者のとらっしーさんが非常に精力的に研究されていました。

ライブ配信の履歴を確認すると、2022年2月10日の時点でアゲハント狩りルートを採用しているのが窺えます。(発売から約2週間後です)
この方はミジュマル選択アゲハント狩りルートで日本人初(日本語レギュ初)の4時間切りを達成した走者の方で、今回イベントで走ったキタムラさんは彼の配信を大変参考にしてルートを考えていたという話です。

②について

これについては非常に複雑な事情があります。
まず第一に、当時はまだミジュマル選択が絶対だと考えられていた頃でした。
そうすると、同じアゲハント3匹を狩るルートを採用しても、ヒノアラシ選択する場合と比べて以下の違いが生まれます。

  • アゲハント狩りを終えた時点でミジュマルのレベルが進化レベルに到達していない
    →控えのポケモンに入る経験値は半分になるのでそこまで効率が良いわけではなく、そこから先は獲得経験値のレベル差補正によりアゲハント狩りをしなかった場合と大差なくなっていく

  • ミジュマル&アゲハントの研究レベルが10に到達しない
    →ミジュマルとアゲハントを余計に戦闘で使う必要がある

  • アゲハントを倒すためにムックル2~3匹を手持ちに入れる必要がある
    →ビッパ捕獲を諦めるか、手持ち整理を余計におこなうか

上記についてさらに詳細を書くとめちゃくちゃ長くなってしまうので割愛しますが、そんな感じの事情でアゲハント狩りのメリットはそこまで大きくないという考えが(特に海外勢の間で)強かったのです。

③について

そんなこんなで色々とタスクや戦闘の研究が進み、ヒスイニューラ2匹+スカタンクの採用で終盤の戦闘面がかなりマシになり、ヒスイダイケンキの採用に異を唱える走者が現れました。(これが2022年3月中旬ごろ)

それが私と、ポケモンRTA走者としては大御所のイトタカさんになります。
そして我々が気付いたのが「1匹目をヒノアラシで倒した後、レベルアップ時にころがるを習得するので、2,3匹目のアゲハントをひのこ→ころがるで倒すことでちょうど40ptのタスクを稼ぐことができる(この40ptのおかげでアゲハントを捕獲するだけで研究レベル10にできるうえに、ヒノアラシ側のタスクは十分稼げている)」ということでした。
(本番ではキャロさんが複数のアゲハントに群がられたりキタムラさんが「しびれごな」を撃たれたりしたことでそちらの実況を優先し、うまく全てを説明することができませんでした。)

なお私とイトタカさんはそれぞれ別々にヒノアラシ選択ルートの研究をしていましたが、先に通しで走って記録を出したのが私です。
そして、我々の検証や記録がキャロさんの目に留まり、キャロさんもヒノアラシ選択ルートの研究に加わった結果、22年4月1日に当時のWRである3時間55分52秒の記録が生まれました。この記録が海外勢の目にもとまり、余りにもヒノアラシ選択とアゲハント狩りルートの相乗効果がありすぎる、ということで文字通り界隈に激震が走りました。

参考:Speedrun.com(履歴ボタンをクリック)

とまあこんな感じなので、私自身がこの一連の流れにいるんですが、アゲハント狩りルート自体は既知のものだったこと、同時期にイトタカさんもほぼ同じ結論に辿り着いていたこと、そして実際にWRを更新したのはキャロさんであったことから、私自身が起源だと主張するのではなく、あくまでも「日本人コミュニティによって発展させたルート」という紹介の仕方をしたわけです。ややこしくてごめんな!

(ちなみに企業系攻略サイトにアゲハント狩りが紹介されていることは今回初めて知りました。どこのサイトか知らないけど結構やるじゃん。)

状態異常について

ちょこちょこ「さいみんじゅつ」を使う/使われるシーンがあったにもかかわらず説明するのを忘れていた「ねむけ」状態についてです。このゲームには「ねむり」状態が存在せず、代わりに「ねむけ」状態があります。
もしかしたら「なぜ眠ったのに行動できてるんだ?」と思った方がいるかもしれませんね。ねむけの効果については以下の通りです。

・33%の確率で技が出せなくなる。この時「(ポケモン)は ねむたくて 動けない!」というメッセージが流れ、使おうとした技は表示されない。
・受けるダメージが増加する(1.33倍になる)。

ポケモンWiki より

また、麻痺の行動不能確率が剣盾やSVとちょっと違ったり、「しもやけ」という状態異常があったりという話もありますが、この辺は説明が渋滞しそうだったので割愛。

ペリーラさんの教え技、および技思い出し

初期のRTAではコリンクにキバ技を覚えさせていたのでちょっと触れる予定だったけど思ったより時間がなかったのでカット。
今は全く使ってないどころか、手持ちポケモンの技思い出しすら使わないようになってしまった。(本作ではいつでもどこでもメニューから技思い出しができます)

カメラ感度

そういえば理由を説明してなかった……。エサやりやアグノムの試練でカメラ移動が速くなるのでちょっと加速します。

霧などの天候変化

キャロさんが途中で引いていたらしいけどこちらで気づかなかったのでスルーしてしまいました。解説の余裕があるタイミングでもなかったので……。
霧は天候変化の一種で、技の命中率が低下します。やめてね。

他にも、キタムラさんが途中で引いていた雨や、快晴、雷雨、雪などがあり、状態異常と同じく剣盾やSVの天候とは効果が少し違います。
特にAny%で遭遇頻度が高く厄介なのが雨で、炎技の威力が下がるので原野のカイ戦やオタケのユキノオー戦でチャートが崩されたり、ロコンが出現しなくなったりします。ちなみに水技の威力は上がりません。なんで?

コントローラー、及びテキスト送りのボタン連打について(追記)

キタムラさんが手元映像を出されていて、ジョイコンを使用していたことに驚いた方も多いかと思います。(私も驚きました。)
これについてはアーカイブの方でご本人が補足されていますが、ジョイコンはスティックの跳ね戻りが少なく、ボール投げなどの操作がしやすいからです(効果には個人差があります。)

ではキャロさんの方はどうかというと、恐らく連射機能付きのコントローラーを使用しております。
これはテキスト送りでB押しっぱなし+A連打が最速のため、連射コンを使うのが速いからですね。
(ポケモン本編シリーズのRTAでは、Speedrun.comのルールで連射機能付きコントローラーの使用が認められています。)

重要だけどあえて解説しなかったこと

タイムライン制(バトルシステム)

諸悪の根源です。あまりにも複雑すぎてとても数分では解説できません。
RTAとして見るだけなら「よくわからないかもしれないけど、そういうもんです」と割り切ってしまった方がいいと判断しました。
もしちゃんと知りたいという方がいたら、こちらの動画がたぶん一番詳しいので見てみてください。

いわゆる種族値・個体値・努力値、性格補正、がんばレベル

通称三値とか呼ばれるやつ。ポケモンについて語ろうと思ったらほぼ必ず触れざるを得ない要素ですが、これも到底数分では説明がつかないので割愛。
そもそもレジェンズアルセウスでは個体値と努力値が統合されてがんばレベルというものになっています。これも解説すると面倒なのでバッサリカット。
個体の良し悪しでタイムが変わる場面もあるっちゃあるのですが、小難しい話を続けることよりもライブ感を重視しました。

キング戦の相手のレベル、獲得できる経験値量

そもそもキングとポケモンバトルをしないので、レベルや技については調べてすらいないです。
戦闘後に入手できる経験値は、バサギリが1000でそこから1000ずつ増えていくのですが、今回走ったお二人はあんまりキング戦での経験値を重視しないルート組み立てをしていたのでスルーしました。
ドレディア戦でヒメグマに経験値を入れて進化させたり、タスクのリカバリーで山麓で進化させたいポケモンを連れていく場合キング戦で得られる経験値が重要になったりします。

キタムラさんの湿地新ルート

4日前に確立されたということでこちらの理解がまだ十分ではないという点と、ここではひそやかスプレーの解説が最優先事項だろうということであまり詳細には触れませんでした。
吟味してはいないですが見た感じ優秀そうなルートなので、いつかご本人から解説が出てくることを期待したいと思います。

オリジン鉱石あたりのシナリオ

最初は解説するつもりだったのですが、お二人のタイム差がそこそこついたのでまるっとカットしました。大事なのは走者のプレイの内容なので。

会話の男女差(追記)

今回、走者2人で主人公を男女それぞれ違う方を選んでもらいましたが、実は女の子主人公の方が先輩の性別の違いによる総テキスト数が少ないと思われ、若干ですがタイムが速くなると思われます(恥ずかしながら、未検証です)。
また、終盤でセキorカイを選びましたが、実はここでもディアルガかパルキアかという違いだけでなく、セキを選んだ方がテキストが短くなります。
タイムを詰める上でかなり重要な要素だと思う方もいらっしゃるでしょうが、とある事情のため解説はしませんでした。(詳細は感想編で)


以上、ざっと説明不足だったなぁと思った点を洗い出してみました。
もしここに書いたことや、本番で解説した内容について質問や、ここをもっと詳しく聞きたいということがあればお気軽に私のTwit……Xまでどうぞ。(https://twitter.com/Camptocin530)

当日の感想・解説に至るまでの経緯などのパートはこちら→


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