[アンティークジュエリー]ローズカットダイヤモンドのお話
Stay homeで色々本や資料を読んで勉強しています。
先日は[アンティークジュエリー]「ダイヤモンドのカットのお話」を書いたので、今日はローズカットダイヤモンドのお話。
ローズカットは、底辺が平で、上部を三角のファセット状にカットしたものですが、カットもセッティングも時代や国によって色々な種類があります。
デコパージュでお取り扱いしたローズカットダイヤモンドジュエリー(sold outも含みます)の写真で紹介していきたいと思います。
初期のローズカットは、原石の形に合わせてラフに研磨3面または6面にされていました。原石がいびつな場合、カット面もまた三角の面になっていないものもありました。
1750年頃から1850年頃の初期のローズカットダイヤモンドダイヤモンドのジュエリーたち。ダイヤモンドは裏が閉じられたクローズドセッティングにマウントされ、光が石の裏側から通りぬけないようなっていました。色付きのフォイル(箔)をマウントと宝石の裏側の隙間に敷いて、ダイヤモンドの色を補正していました。
クローズドセッティングのジュエリーは、水が中に入ったときに曇ってしまったりすることがあるので、お手入れは乾いた布で表面をふいたりするのをおすすめしています。(私の場合、自分の私物は軽く中性洗剤を薄めた水に30秒くらいつけて乾いた布ですぐに拭いたり、手洗いくらいは気にせずにしてますが、気になる方は水にはつけない方がいいと思います)
フォイルバックのクローズドセッティングのジュエリーの表側と裏側。
シルバー ローズカットダイヤモンド フレミッシュクロス
14金 シルバー ローズカットダイヤモンド クラスターリング
その後、ローズカットダイヤモンドはカット数の多い「アントワープローズカット」と「アムステルダムローズカット」(ダッチローズ)が登場します。
アントワープローズカットダイヤモンドのピアス
アントワープローズカットダイヤモンドのピアス
アムステルダムローズカットダイヤモンドジュエリー。石に高さがあるのがダッチローズの特徴です。裏側にも細工がほどこされ、クローズドセッティングのフォイルバックになっています。表側はシルバーのセッティング、裏側はゴールドになっています。
クローズドセッティングのダイヤモンドジュエリーは、ブリリアンシー(白く強い反射光)とファイヤ(虹色に分散する反射光)をそこなってしまうので、1900年頃からオープンコレット(そこが開いたもの)かクロウ(爪)にセットしたものが登場し始めました。ローズカットダイヤモンドも、裏がオープンセッティングになって、光が通るものが作られました。
オープンセッティングのローズカットダイヤモンドは1900年頃から1930年代ごろまで作られ、ダイヤモンドも透明でブリリアンシーが高く、アムステルダムローズカット(ダッチローズ)が多いようです。
オープンセッティングは裏が透けているので光が通ります。裏があいているので、洗浄などお手入れはしやすく、現代物のジュエリーと同じ感覚のメンテナンスが可能です。
18金 ローズカットダイヤモンド クラスター アールデコリング
18金 ローズカットダイヤモンド サークルフラワーネックレス
1800年代の古い時代のジュエリーは残っている数が少ないので貴重です。クローズドセッティングの味わい深いダイヤモンドと、立体的なシルバーのセッティングの組み合わせが、渋いテイストのアンティークジュエリーの魅力となっています。
また、1900年代前半のオープンセッティングのローズカットダイヤモンドジュエリーも、ブリリアントカットのダイヤモンドのような煌びやかな輝きとは違い、光がダイヤモンドの表面を滑り、ひかえめでありながらも潤いのある輝きの魅力があります。